今号のニュースレターでは、2025年6月から2025年8月までの国連ユニタール持続可能な繁栄局の様々な研修事業や取り組みをご紹介しています。
主なニュース
国連ユニタール総代表 ミシェル・ジャイルズ=マクドノーが初来日
8月3日から8日にかけて、ミシェル・ジャイルズ=マクドノー国連事務次長補兼国連訓練調査研究所(ユニタール)総代表は、今年2月に同ポストに正式に就任後初めて来日しました。8月3日には、関西・大阪万博の国連パビリオンで開催されたイベントで登壇しました。8月5日から6日にかけては広島を訪れ、広島平和記念式典に参列したほか、弊機関と広島県・へいわ創造機構ひろしま(HOPe)共催の若者対話イベントにて司会を務めました。また、8月7日から8日には東京を訪れ、外務省への表敬訪問を行いました。
国連ユニタール AIとデジタル・ストーリーテリングで切り拓く変革 研修を広島とアジアの若者を招いて開催
2025年6月7日、5か月間のハイブリッド研修プログラム「国連ユニタール SDGsとデジタル未来:AIとデジタル・ストーリーテリングで切り拓く変革」を開始しました。広島県およびアジア諸国からの16歳から28歳の意欲ある若者が、持続可能な開発目標(SDGs)の推進に向けて、人工知能(AI)とストーリーテリングの活用を探求しました。また、8月25日から28日には広島スタディツアーを開催し、参加した若者13名は、最終日に自らのストーリーテリングの制作企画を発表しました。本研修事業は、広島県および広島市の資金提供を受け、国連ユニタール協会の協力のもと実施されています。
2025年度国連ユニタール広島青少年大使プログラム修了 持続可能な平和への提言を共有
2025年8月24日、広島県内の高校生25名が2025年度「国連ユニタール広島青少年大使プログラム」の研修を修了しました。本研修事業は、広島県と国際ソロプチミスト広島中央の支援および国連ユニタール協会の協力を受け、平和な世界の実現に向けた若者のリーダーシップ強化を目的として実施されました。同研修は6月に開始され、約2か月間にわたり、参加者は本プログラムの3つの主要な柱である、1)平和教育、2)被爆体験の継承と市民参画、3)人権と国際法について理解を深めました。
国連ユニタール、中東・北アフリカ地域を対象とした第5回ジェンダー平等および女性のエンパワーメント研修を開始
2025年6月30日、国連ユニタールは、中東・北アフリカ地域を対象としたジェンダー平等および女性のエンパワーメントに関するオンライン研修事業「Gender Empowerment Now!」の5期目を開始しました。本プログラムは、キプロス政府の支援を受けて実施され、同地域内の制度や政策環境の変革を担う、ジェンダーに配慮した次世代のリーダーの育成を目的としています。この研修では、エジプト、スーダン、シリア、チュニジアからの市民社会の若手リーダーや活動家約40名が参加し、オンライン学習やインタラクティブなウェビナー、受講生間の交流を通じて、ジェンダー平等に関する学びをさらに深める機会が提供されます。
サウジアラビアのAbeer S. Bin Farhan Al Saud 王妃殿下 、持続可能な開発に向けた共通の優先課題の推進のため国連ユニタールを訪問
2025年6月18日、サウジアラビアのAbeer S. Bin Farhan Al Saud 王妃殿下 が国連ユニタールのジュネーブ本部を訪問されました。王妃殿下は、学識者、多国間アドバイザー、起業家、そして慈善活動家としての立場で来訪され、国連ユニタールの幹部とともに、イノベーション、包摂的な開発、地域協力を中心とした意見交換を行いました。
国連ユニタール、エジプト・イラク・レバノンの若者500名以上を対象に2025年度起業・アグリビジネス研修を開始
2025年7月12日、国連ユニタールは、エジプト、イラク、レバノンからの若者524名を迎え、「RISE LAB: 起業・イノベーション・経済レジリエンスを通じて若者の可能性を切り拓く」研修事業(日本政府拠出)を開始しました。本研修は複数のフェーズから構成されており、エジプト、イラク、レバノンの意欲ある起業家やリーダーを対象に、地域での食料安全保障の強化や民間セクター全体の改善に資する、革新的な解決策の創出と実施を目指します。
SDGs達成に貢献するためのユース・リーダーシップ・ワークショップを東京で開催
国連ユニタールは2025年7月9日から11日にかけて、「若きイノベーターのエンパワーメント:SDGs達成に貢献するためのユース・リーダーシップ・ワークショップ」を東京で開催しました。本研修では、中国の様々な地域の大学から集まった若きリーダー88名を対象に、3日間のワークショップを行いました。参加者は、SDGsの進捗をどう確認し、課題をどう見極め、実効性のある行動をどう提案できるかを探求し、SDGsへの理解を深めるとともに、リーダーシップ能力を高めました。
若者が描く「核兵器なき平和な世界」への歩み:被爆80年を迎える8月6日、国連ユニタールと広島県が国際平和のためのユース対話を共催
2025年8月6日、被爆から80年の節目を迎えた広島にて、国連ユニタールは、広島県およびへいわ創造機構ひろしま(HOPe)と共催で、国際平和のためのユース対話イベント「被爆80年の今、広島から世界へ―若者が提案する 核兵器廃絶・平和への道―」を開催しました。本イベントは、広島県内の高校生を中心とする若者たちが、「2050年までに核兵器のない平和な世界」を実現するための具体的なロードマップを発表し、第一線で活躍する専門家や実務者との対話を通じて提案内容を深め、行動へとつなげることを目的として実施されました。
参加募集
「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」ミッドキャリア・コース研修員募集
2026年1月に広島で開催される「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」(外務省主催、広島大学受託、国連ユニタール実施協力)ミッドキャリア・コースの研修員が募集されています。
応募締切は、2025年9月1日です。
平和構築や開発分野でのリーダーを志す皆様からの応募をお待ちしています。
https://gpad.hiroshima-u.ac.jp/news-fy2025-mid-career-course-call-for-applicants-jp/
2025年度国連ユニタール広島世界津波の日における津波防災に関する女性のリーダーシップ研修
国連ユニタールは、2025年度「広島世界津波の日における津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」への参加者を募集しています。対象は、太平洋島嶼国 ・地域またはアジア太平洋地域に居住している、あるいは出身の18歳以上の方で、定員は100名です。本プログラムは、防災および包摂的なリーダーシップに関するスキルを習得することを目的に実施します。
応募締切は、2025年9月3日(水)23時59分(日本時間/UTC+9)です。
本研修事業はこちらから:国連ユニタール広島世界津波の日における津波防災に関する女性のリーダーシップ研修 | UNITAR
パートナーシップ
国連ユニタール「プロスペリティ・アライアンス深圳」は、国際協力の強化と持続可能なイノベーションの推進に向けた活動の開始にあたり、初の会合を開催しました。この会合は、2025年4月11日に締結された国連ユニタールとプロスペリティ・アライアンス深圳との協定書に基づくものです。この会合では、国連ユニタールの使命に沿ったアライアンスのミッション、ビジョン、主要目標、戦略の策定が議論されました。
国連ユニタールとGreycells、世代間の架け橋を築き、グローバルな知識の共有を促進するために提携
2025年5月29日、国連ユニタールと、元国際公務員の知識共有を目的とした協会「Greycells」(拠点:ジュネーブ)は、持続可能な開発を支援するため、世代間対話、人材育成、知識交流における協力を目的とした覚書(MoU)を締結しました。 両者は今後、リーダーシップ育成、職業訓練、イノベーションの分野における協力について検討を進めます。
国連ユニタール、HP Inc.と若者と女性のデジタル格差解消を推進
2025年7月、国連ユニタールとHP Inc.は、テクノロジーとイノベーションを通じたデジタル包摂、若者の雇用促進、女性のエンパワーメントに関する共同イニシアティブを実施するため、覚書(MoU)を締結しました。この戦略的合意は、支援が不十分なコミュニティがデジタル経済に備えられるよう、包摂的で未来志向の学習エコシステムの構築に向けた共通のコミットメントを示しています。
国連ユニタールとパソナグループ、学びと発展に向けた連携強化で新たに合意
国連ユニタールと株式会社パソナグループは、大阪・関西万博の国連パビリオンにおいて、8月3日に新たな覚書を締結し、持続可能な成長と包摂的な繁栄の実現に向けた共同の取り組みをさらに加速させることを改めて確認しました。新たな覚書は、2023年6月に締結された最初の覚書を土台としています。知識の共有、共同教育プログラムの開発・実施、そして持続可能な開発目標の推進を目的としたプロジェクトでの連携等の、今後数年間にわたる協力の具体的な範囲や内容について合意しました。
国連ユニタールと広島ドラゴンフライズ、協力覚書を再締結し関係深化へ
2025年8月6日、国連ユニタールと株式会社広島ドラゴンフライズは、国連ユニタール広島事務所において覚書を再締結し、スポーツ活動を通じた持続可能な開発と平和の分野における事業実施や啓発活動におけるさらなる連携の強化で合意しました。
プロスぺリティ・アライアンス・フランクフルトを新設、ドイツとスイスでESGスタディツアーを実施
2025年6月25日、国連ユニタールは「プロスペリティ・アライアンス・フランクフルト」を設立しました。設立を記念し、同アライアンスの関係者は、ドイツとスイスを巡る1週間のESG(環境・社会・ガバナンス)および持続可能な開発に関するスタディツアーを実施しました。 本アライアンスは、国連ユニタールの支援のもと、Censere Groupの主催で発足し、今後はESG研修とイノベーション、インクルーシブな成長、中国・ドイツおよびその他の国際パートナー間の官民連携の地域拠点としての役割を担っていきます。
国連ユニタールとスピングルカンパニー、「折り鶴再生スニーカー」贈呈で平和のメッセージ発信に協力
2025年8月25日、国連ユニタールと株式会社スピングルカンパニーは、国連ユニタールの「SDGsとデジタル未来:AIとデジタル・ストーリーテリングで切り拓く変革」研修に参加する国内外からの若者に「折り鶴再生スニーカー」の贈呈を行いました。このスニーカーには、平和記念公園に寄贈された「折り鶴」が素材として使用されており、商品のデザインを通してストーリーを紡ぐ実例を研修参加者に示しています。
研修参加者の声
2023年9月から2024年3月にかけて実施された国連ユニタールの研修「グリーン生計開発:食料安全保障の強化と気候変動に強い経済活動の支援」で得た知識を活かし、それぞれのビジネスを発展させています。本研修事業は日本政府の支援を受けて実施され、タンザニア、ザンビア、ジンバブエの女性と若者150名が、持続可能で気候変動に強いビジネスや生計手段を創出するための起業およびデジタルスキルを習得しました。女性起業家 Eorn Rudo Makandwaさん(ジンバブエ)、Amina Yusuf Kashoroさん(タンザニア)、Theresia Stephenさん(タンザニア)の研修体験談も掲載しています。
アフリカの女性と若者のためのエッセンシャル・デジタルスキル開発:事業の成果
本研修事業は日本政府の支援を受け、2023年11月から2024年3月まで実施され、アフリカ24か国の7,000人以上の女性と若者に、グローバルな労働市場での就業力と競争力を高めるために必要なデジタルスキルを提供しました。Abdulganiyy Oyeyemiさん(ナイジェリア)、Stephen Ilia Paulさん(ケニア)、Israel Enah Otei さん(ナイジェリア) 、Betty Mwende さん(ケニア)の研修体験談も掲載しています。
日本での平和構築と開発の学びをリーダーシップの実践に:Jacques Dembeleさん
マリ出身のJacques Dembeleさんは、国連開発計画(UNDP)ギニアビサウ事務所のモニタリング・評価担当官として働いています。2025年1月から2月にかけてオンラインと対面(広島と東京)で開催された2024年度「平和構築·開発におけるグローバル人材育成事業」プライマリー·コースに参加しました。広島での研修は、平和構築と開発に貢献する決意を新たにするきっかけとなりました。本事業は、広島大学が外務省の委託を受け、国連ユニタールと連携して実施しています。
緊急人道支援から平和構築への移行期に持続可能な解決策を:浅木⿇梨耶さん
開発分野の専門家である浅木⿇梨耶さんは、7年間にわたり、アフガニスタン、ラオス、ミャンマーで教育および人道支援に従事してきました。彼女は国連で働くことを目指し、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」の2024年度プライマリー・コースに参加しました。本事業は、広島大学が外務省の委託を受け、国連ユニタールと連携して実施しています。
学びを実践につなげ、レジリエンス強化へ:国連ユニタール修了生、ソロモン諸島でインクルーシブな早期警報システムを推進
国連ユニタール研修の研修生であるRachel Nunnさん、 Branson Pitakiaさん、Alex Rilifiaさんの3名が、ソロモン諸島でのインクルーシブな早期警報システムを開発する国家事業で活躍しています。この早期警報システムの技術は、インターネットや個別の電話番号を必要とせず、すべての携帯電話利用者に即時の警報を届けることが可能です。研修生たちの取り組みは、国連ユニタールが日本政府の支援を得て2024年度に実施した「誰一人取り残さない:気候危機への緊急対応のための早期警報システム」研修事業の具体的な成果の一例です。
自分にあったリーダーシップを探して:長谷川晶子さんの日本から世界へのキャリアの歩み
日本出身の長谷川晶子さんは、国連開発計画(UNDP)等での仕事を経て、キャリアのさらなる発展を見据えて、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」ミッドキャリア・コースに参加しました。この研修は、2025年1月に広島で開催されました。本事業は日本の外務省が実施するもので、広島大学が受託し、国連ユニタールの協力のもとで実施されています。
廃棄物を有用な資源に: エジプトの農業を変えるAhmed Hassaneinさん
Ahmed Hassaneinさんは、エジプトで農業廃棄物から有用なカーボン素材を製造開発するスタートアップを起業しました。彼のスタートアップは、農家のコスト削減、収穫量の向上、水使用量の削減を支援するものです。彼は2024年に国連ユニタール「エジプト、イラク、レバノンにおける食料安全保障と経済発展の促進のための起業家精神とイノベーション」研修事業に参加し、ビジネススキルを強化し、国際的なネットワークを築きました。彼は、自身のスタートアップを世界的に展開し、アグリテック分野において持続可能な革新を推進することを目指しています。
お知らせ
国連ユニタール、2025年9月に大阪・関西万博でイベント開催
2025年大阪・関西万博にご来場の際は、ぜひ国連パビリオンにお立ち寄りください!国連ユニタールも同パリビオンに参加しています。また、9月12日には、大阪・関西万博会場内でイベントを開催する予定です。詳細は弊所ウェブサイト・SNSにて随時お知らせいたします。皆様のご参加をお待ちしております。
自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修参加者による政策提言を追加公表
国連ユニタールは、2024年に実施した「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」プログラムの参加者による政策提言集を公表しています。本シリーズの最新情報として、2025年6月11日に新たに6件の政策提言が公開され、これまでに発表された提言は合計9件となりました。これらの政策提言は、気候変動、自然災害、環境悪化などの喫緊の海洋および人間の安全保障課題に対し、実行可能な提案を示しています。
持続可能な繁栄局について
国連ユニタールの持続可能な繁栄局は、広島事務所とジュネーブ本部を拠点とし、包摂的かつ持続可能で豊かな世界の実現に資するため、世界基準の学習と知識やスキルを提供しています。拡大する格差の是正に向け、変化を生み出す主体である世界各国のチェンジメーカー、特に女性や若者に対する支援を行っています。