- 2025年8月6日、国連訓練調査研究所(ユニタール)は、広島県およびへいわ創造機構ひろしま(HOPe)と共催で、被爆80年を迎える広島にて国際平和のためのユース対話イベントを開催しました。
- 国連ユニタール広島青少年大使たちは、2050年までに核兵器のない世界を実現するためのロードマップを発表し、専門家や実務者と意見交換を行いました。
- 来賓として出席した岸田文雄衆議院議員・元内閣総理大臣は、今こそ核兵器廃絶に向けて連帯と行動を強化すべき重要な時期であると強調しました。
- 本イベントは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場にてライブ上映され、オンラインでも同時配信されました。日英両言語の録画はYouTubeにて視聴可能です。
2025年8月6日、日本、広島 - 2025年8月6日、被爆から80年の節目を迎えた広島にて、国連訓練調査研究所(ユニタール)は、広島県およびへいわ創造機構ひろしま(HOPe)と共催で、国際平和のためのユース対話イベント「被爆80年の今、広島から世界へ ― 若者が提案する 核兵器廃絶・平和への道 ―」を開催しました。
本イベントは、広島県内の高校生を中心とする若者たちが、「2050年までに核兵器のない平和な世界」を実現するための具体的なロードマップを発表し、第一線で活躍する専門家や実務者との対話を通じて提案内容を深め、行動へとつなげることを目的として実施されました。当日の様子はYouTubeでリアルタイム配信され、また大阪・関西万博会場にもライブ配信されました。
世代・国境を超えた平和への対話
このユース対話には、今年度の国連ユニタール広島青少年大使プログラムの研修参加者として、平和や核軍縮について研修を通して学びを深めてきた広島県内の高校生と長崎の高校生の計22名が、世界を牽引する専門家や実務者との直接の対話に参加しました。また、聴衆として、広島県内外の大学・高校生約50名も出席しました。
ゲストには岸田文雄 衆議院議員・元内閣総理大臣を迎え、登壇者には、 中満泉 国連事務次長兼国連軍縮担当上級代表、湯﨑英彦 広島県知事・へいわ創造機構(HOPe)代表、被爆者の後東利治氏、ファンデルドゥース・瑠璃 広島大学平和センター センター長、レジス・サビオ 赤十字国際委員会(ICRC)アジア大洋州地域局長らが参加しました。ファシリテーターは、ミシェル・ジャイルズ=マクドノー 国連事務次長補兼国連ユニタール総代表が務め、世代を超えた国際平和のためのユース対話が繰り広げられました。
イベントの冒頭、岸田文雄 衆議院議員・元内閣総理大臣は、世代と国境を越えた被爆体験の継承や平和への取り組みに大きな期待を寄せるとともに、今こそ核兵器廃絶に向けた連帯と行動を強めるべきであると力強く訴えました。
「今日の国際安全保障環境は厳しさと複雑さを増しており、各国の立場や考え方の分断が一層顕著になっております。核軍縮を巡る厳しい現実の壁は、以前にも 増して大きく、我々の前に立ちはだかっています。 しかし、だからこそ、核軍縮に向けた国際社会の機運を今一度高めなければなりません。たとえ困難であっても、「核兵器のない世界」に向けた歩みを進めなければならないのです。これは唯一の戦争被爆国たる日本の歴史的使命であると考えております。」―岸田文雄 衆議院議員・元内閣総理大臣
若者が創る「核兵器なき平和な世界」へのロードマップ
若者たちは、今年6月から開始した研修プログラムの一環として、事前に複数回の研修セッションに参加し、知見を深めたうえで、グループごとに知恵を出し合い、2050年までに核兵器廃絶と平和な世界を達成するためのロードマップの発表に臨みました。考え出された案は「平和教育」「被爆体験の継承」「人権と国際法」という3つの視点から議論され、若者たちは同案を実行するうえでのチャレンジ、改善点について実務者と対話し、経験豊富な先駆者から具体的な助言や評価を直接受ける機会となりました。
国際法と国連に焦点を当てたグループで、核廃絶と国連の拒否権の廃絶に関するロードマップを発表しました。世界の最前線で活躍する国連機関の方から直接意見を聞くことができました。未来のことを考えてから、そして今何ができるか、といったことについて考えさせれられ、大変貴重な機会でした。―ハード 麻里花、国連ユニタール広島青少年大使プログラム参加者
今日の発表で私たちは、25年後の未来の自分たちについて考えられるような劇をしました。その後の対話では、被爆者に証言を直接聞けなくなる中で私たちに何ができるかについて、直接湯﨑知事に聞くことができ、平和について知ること、自分たちがどう行動したらいいか、といった貴重なアドバイスを聞くことができました、このプログラムに参加できてとてもよかったです。―山中詩、国連ユニタール広島青少年大使プログラム参加者
本イベントを通じて若者が提案したロードマップは、今後、広島から世界へと広がり、核兵器のない平和な世界に向けた対話と行動の礎となることが期待されています。国連ユニタールは、若者の育成を含む核軍縮と平和構築に向けた広島発の取り組みを一層強化し、広島県をはじめとする関係各所との連携のもと、持続可能な平和と包摂的な繁栄の実現を推進していきます。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。2003年に設立された国連ユニタール広島事務所は、平和と復興の象徴である広島を拠点に、平和構築や核軍縮、紛争や災害からの復興に関する国際的な研修を展開し、世界の持続可能な平和と繁栄の実現に貢献しています。https://www.unitar.org/ja/hiroshima