• 国連ユニタール研修の研修生であるRachel Nunnさん、Alex Rilifiaさん、Alex Rilifiaさんの3名が、ソロモン諸島でのインクルーシブな早期警報システムを開発する国家事業で活躍しています。
  • この早期警報システムの技術は、インターネットや個別の電話番号を必要とせず、すべての携帯電話利用者に即時の警報を届けることが可能です。
  • 研修生たちの取り組みは、国連ユニタールが日本政府の支援を得て2024年度に実施した「誰一人取り残さない:気候危機への緊急対応のための早期警報システム」研修事業の具体的な成果の一例です。
UNITAR

202571日、広島— 国連訓練調査研究所(ユニタール)の「早期警報システム(EWS)」研修の修了生たちが、ソロモン諸島において学びの実践を通して活躍しています。

Rachel Nunnさん(世界モバイル事業者協会(GSMA) 人道支援のためのモバイル(M4H)イノベーション・プログラム コンサルタント)、Branson Pitakiaさん(ソロモン諸島国家防災管理局 IT担当官)、Alex Rilifiaさん(ソロモン諸島気象局 上級気象予報官)の3名は、2024度に日本政府の支援の下で国連ユニタールが実施した「誰一人取り残さない:気候危機への緊急対応のための早期警報システム」研修を修了しました。

現在、3名は連携して、ソロモン諸島における新たなモバイル型早期警報システムの導入に貢献しています。この技術は、インターネットや個別の電話番号を必要とせず、すべての携帯電話利用者に即時の警報を届けることが可能です。

連携各社は共同で、このソロモン諸島の新たなモバイル・セルブロードキャスト型早期警報システムを、太平洋島嶼国電気通信協会(PITA)年次総会・ビジネスフォーラムおよび大阪・関西万博2025にて紹介しました。

知識と技術の実践

この画期的な技術は、電話番号やインターネットへの接続を必要とせずに、すべての携帯電話利用者に迅速かつ安全な緊急警報を配信するもので、プライバシーの保護、情報の見える化、信頼性を備えた形で、災害時の備えや対応に貢献します。

この国家的な取り組みは、GSMAと太平洋島嶼国電気通信協会(PITA)が中心となり、国連の「すべての人に早期警報を(Early Warning for All)」イニシアチブの第3の柱「警報の発信と伝達」のもと、国際電気通信連合(ITU)と緊密に連携して推進されています。

「この技術は、自然災害、感染症の発生、インフラ被害、重大な交通事故など、さまざまな場面での警報発信に活用できます。国家防災管理局(NDMO)、気象局、政府ICTサービス、モバイル通信事業者(MNO)など、国内の主要な関係機関との緊密な連携を通じて、より強固で統合された防災体制の構築が可能になります。」

「このシステムのローンチは、国連ユニタールの研修や他の研修生との学び合いを実践に移し、危機の時にも遠隔地や脆弱なコミュニティを取り残さないという理念を体現するものです。」― Rachel Nunn、国連ユニタール研修修了生(ソロモン諸島)

ソロモン諸島は、深刻な地震や気象災害が頻発する群島であり、災害発生時には通信や調整に多くの課題を抱えています。関係者によると、新たに導入されたモバイル型セルブロードキャスト技術により、警報発令当局はリアルタイムで携帯電話に警報を送信できるようになり、情報伝達の速度と正確性が向上し、緊急対応やリスク軽減の取り組みが強化される見込みです。

「国連ユニタールの早期警報システム(EWS)研修プログラムは、ソロモン諸島でのGSMAパイロットプロジェクトの準備に大いに役立ちました。この研修を通じて、効果的な早期警報システムの基本原則を深く理解できただけでなく、コミュニティに根ざしたアプローチやインクルーシブなコミュニケーションの重要性も再認識しました。また、一貫した警報システムに関する知見は、ソロモン諸島における実践的なソリューションの開発・実施に直接役立っています。」

「国連ユニタールのEWS研修プログラムを通じて、ソロモン諸島での効果的な災害リスク削減や緊急時のコミュニケーションの取り組みへの私の貢献と自信を高めることができました。」— Alex Rilifia、国連ユニタール研修修了生(ソロモン諸島)

国連ユニタール研修が促す連携と地域の連帯

国連ユニタールの「誰一人取り残さない:気候危機への緊急対応のための早期警報システム」研修事業は、太平洋地域の実務家を結集し、技術的知識の習得だけでなく、気候変動や災害緊急時における地域の連帯を築くことを目指し、実施されました。

日本政府の支援により実施されたこの研修で、参加者は早期警報システム(EWS)に関する理論的な理解を深めるとともに、早期警報システム設計、関係者間の調整、日本各地で実施される地域に根ざした対応計画などについて実践的な研修を受けました。

「私たちの能力開発とネットワーク構築の取り組みが、具体的な成果として現れているのを実感しています。」

「このプロジェクトは『誰一人取り残さない』という理念の本質を体現し、太平洋諸島国がそのリーダーとして、すべての人を包括する気候変動対に先駆的役割を果たしていることを示しています。」島津準子、国連ユニタール広島事務所プログラムオフィサー

ソロモン諸島のこの早期警報システムの技術は、統合と運用テストの段階にあり、2025年末には国内テストが計画されています。これを皮切りに、クック諸島、キリバス、サモアでも同技術を活用した災害対策強化が期待されています。

国境を越えた学びの機会の提供と実りある協力関係の醸成を通じて、国連ユニタールは個人や組織のエンパワーメントを促進し、持続可能で豊かな未来という共通のビジョンに向けて、世界の課題に取り組み続けます。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2024年には、約55万人が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

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