- 2025年2月3日、国連訓練調査研究所(ユニタール)は、第10回「核軍縮・不拡散広島研修」を広島市内で開始しました。
- 今年の6日間のプログラムには、アジア太平洋地域14か国から15名の外交官が参加し、核軍縮に関する理解を深め、交渉スキルを強化します。
- 専門家による講義に加え、2月6日には国連ユニタール広島事務所にて、地元の若者と参加者が交流するユースセッションが開催されます。
- 研修最終日の2月8日、参加者は東京で開催される日本核兵器廃絶 キャンペーン(JANA)主催「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」のイベントに出席します。2月9日には、国連ユニタール主催公開セッションを同フォーラム内で開催します(研修プログラム外)。
- 本研修プログラムは、国連ユニタールおよび国連ユニタール協会が実施し、広島県および広島市の支援を受けて行われています。
2025年2月3日、広島ー国連訓練調査研究所(ユニタール)は、核実験被害国を含むアジア太平洋諸国14か国から15名の外交官を迎え、6日間にわたる「核軍縮・不拡散(NDNP)広島研修」を広島市内にて開始しました。この研修は、核軍縮および不拡散に関する外交能力の向上を目指し、国連ユニタールが広島県および広島市の資金提供を受けて、一般社団法人国連ユニタール協会との共催で実施しています。
研修初日の2月3日、研修参加者一行は、広島平和記念公園内のバーチャル・リアリティ(VR)ツアーや平和記念資料館の見学を通して、広島での被爆の実相への理解を深めました。
第10回目の開催
今年度の研修は、平和都市・広島に拠点を置く国連ユニタール広島事務所が2015年以降実施してきた同研修事業の第10回目に当たります。これまでの計9回にわたる研修を通じて、国連ユニタールは延べ180名以上の外交官を対象に核軍縮および不拡散に関する外交能力の向上を支援してきました。
研修には、元国際原子力機関(IAEA)検証・安全保障政策課長のタリク・ラウフ氏、国連軍縮研究所(UNIDIR)上級研究員であるティム・コーリー氏、元国連アジア太平洋平和軍縮センター長のユーリー・クリヴォノス氏といった、核軍縮・不拡散分野での国際的な専門家を研修顧問・講師として迎えます。これらの専門家によるセッションでは、世界の核軍縮と不拡散の現状、核兵器をめぐる最新の議論などについての講義や、実際の地政学を考慮したシミュレーション演習などを実施します。
広島と長崎への原爆投下から80年を迎える2025年、世界ではいまだ武力紛争が人命を奪い、核兵器使用のリスクが懸念される中で、核軍縮は国際連合の最優先課題の一つです。国連ユニタールは、この研修が世界の核軍縮のさらなる進展に貢献する有意義な機会となることを目指します。
若者や市民と深める、核軍縮の知見
研修4日目の2月6日には、国連ユニタール広島事務所を会場として、地元広島で核軍縮に取り組む若者を招き、ユースセッションを開催します。このセッションで研修参加者は、国連ユニタール広島青少年大使を中心とした広島の若者から、広島で実施されている平和教育や被爆体験伝承の重要性を学びます。さらに、広島の平和のシンボルである折り鶴作成を通じて、被爆地広島から平和実現のために発信する若者や市民社会の役割についての理解を深めることを目指します。また広島の若者にとっても、この海外実務者との交流は、広島からの平和のメッセージを世界に発信する実践の場を提供し、平和への取り組みに対する意識と意義をさらに高める機会となります。
研修最終日の2月8日には、研修参加者は、日本核兵器廃絶 キャンペーン(JANA)主催の「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」の一環として東京で開催されるイベント「『核兵器のない世界』を想像/創造する」に参加します。このイベントを通して、研修参加者は日本国内外で核軍縮に取り組む市民や専門家と貴重な対話や交流の機会を得ます。
関連イベント:東京での一般公開フォーラムとの連携
また、2月9日には、同フォーラムの一環として、国連ユニタールは市民と共に核軍縮の重要性を多角的に考えることを目的としたイベントを開催します。第一部では、「核軍縮問題に関する国連の近年の動向」をテーマにした議論を行い、第二部では、参加型展示イベント「バーチャル・リアリティで伝える被爆の実相」を開催します。国連ユニタールは、被爆の実相をより正確に伝えるため、広島での研修でVRを活用しており、今回は東京会場で参加される一般市民や関係者の皆様に広島の被爆の実相を追体験いただく場を設けます。これを通じて、広島県を超えて核兵器廃絶の重要性を再認識する機会を提供します。
詳細は以下のイベント案内をご覧ください。
研修の主な日程
2月3日:広島 専門家講義、広島平和記念公園VRツアー、原爆慰霊碑献花、平和記念資料館見学、歓迎レセプション
2月4日:広島 専門家講義、被爆者講話(八幡照子さん)
2月5日:広島 専門家講義、広島市表敬訪問、広島県表敬訪問、シミュレーション演習1
2月6日:広島 専門家講義、広島の若者たちとのユースセッション
2月7日:広島 シミュレーション演習2・3、研修の振り返り・評価、修了証授与式
2月8日:東京 公開イベントへの参加:「『核兵器のない世界』を想像/創造する」―「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」内イベント
2月9日:東京 *研修外 国連ユニタールが公開セッション開催「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」
詳細はこちらから
「核軍縮・不拡散(NDNP)広島研修」について
国連ユニタール広島事務所は、アジア太平洋各国からの外交関係者を対象に、広島県および広島市の支援を受けて「核軍縮・不拡散(NDNP)広島研修」を2015年より実施しています。本研修は、国際原子力機関(IAEA)、国連軍縮研究所(UNIDIR)、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)、および長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)などの国内外の専門機関と連携し、広島の歴史的背景を踏まえた核軍縮と交渉スキルに関する研修を行っています。
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報道関係の方のお問い合わせ
取材やプレスリリースに関するお問い合わせは、以下よりご連絡ください。
田村(広報):Momoka.Tamura@unitar.org
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。