21世紀は核兵器の時代とも呼ばれています。広島を含む日本の人々は、世界各国の関係者と共に核軍縮・不拡散の推進に継続的に取り組んできました。しかし、この分野を取り巻く状況は今まで以上に難しくなってきています。急激に進化する世界情勢を踏まえ、政府やNGOなどの非政府組織両者は核兵器の妥当性についての議論を深めつつあります。つまり、早急に核軍縮・不拡散についての活発な議論を地域ごと、多国間、そして世界的に再開し、継続していく必要があります。
核軍縮・不拡散を取り巻く国際議論は複雑です。国際会議の参加者や交渉担当者が各国の目標を達成し交渉の進展を図るためには、現状の議論を熟知するだけでなく、異文化コミュニケーションや交渉能力が必要となります。国連ユニタール広島事務所は国連軍縮研究所(UNIDIR)、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)とストックホルム国際平和研究所(SIPRI)共催で国際的な専門家を講師として招聘し、広島の経験をもとに核軍縮と交渉に関する研修を実施しています。
2018年度の研修
2018年度の研修ではカザフスタン、カンボジア、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、東チモール、マレーシア、ミャンマー、モンゴルとラオスの防衛省と外務省代表の19名の研修生を迎えました(女性10名)。参加国10か国のうち8か国が核兵器禁止条約(TPNW)に署名しており、5か国が非核兵器地帯です。
研修を実施する前のニーズアセスメントで研修生は、核兵器禁止条約(TPNW)など核軍縮の近年の動向に関する議論は業務との関連性が非常に高いと回答し、研修中にも活発に議論が行われました。また、研修期間中にトランプ大統領と金委員長の首脳会談が実施されており、研修生も朝鮮半島の核軍縮の取り組みについて議論しました。そして講師が核兵器禁止条約、核兵器不拡散条約(NPT)、中距離核戦力全廃条約(INF)や戦略兵器削減条約(START)など核軍縮・不拡散条約の現状と動向について説明しました。
国際的な軍縮会議の場での核軍縮に関する交渉術はニーズアセスメントの段階で研修生が現在の業務に非常に関連性が高いと回答したトピックの一つであり、研修の後半では交渉に必要な知識と交渉術をロールプレイを通じて学びました。
今回の研修ではティム・コーリー国連軍縮研究所(UNIDIR)上級研究員、今西靖治外務省軍縮不拡散・科学部軍備管理軍縮課長、ユーリー・クリボノス国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)所長、マ・ヨンサム国連ユニタールチェジュ地域・人材国際トレーニングセンター(CIFAL)所長とタリク・ラウフ包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)アドバイザー(アルファベット順)が講師を務めました。
(以下、英文のみ)