- 2024年2月10日、国連ユニタールと一般社団法人国連ユニタール協会の共催で、公開フォーラム「核軍縮と平和な世界の実現」を広島平和記念資料館で開催しました。
- 公開フォーラムでは専門家が、それぞれの視点から、核軍縮と現在の国際紛争、核兵器のない持続可能な平和な世界の実現について話し合いました。
- 公開フォーラムには、核軍縮・不拡散(NDNP)研修で広島を訪れていたアジア太平洋地域の13カ国・18名の外交官も参加しました。
2024年4月25日・広島 – 国連調査研究所(ユニタール)広島事務所は一般社団法人国連ユニタール協会と共催で、公開フォーラム「核軍縮と平和な世界の実現」を2月10日に広島平和記念資料館で開催しました。本フォーラムは、核軍縮とウクライナやガザ地区などにおいて現在で発生している武力紛争への理解を深め、持続可能な平和な世界の実現に向けて共に考えることを目的に開催されました。
長年核軍縮に携わってきた3名の専門家が、それぞれの視点から、多様かつ活発な議論を行いました。ディスカッションでは、核軍縮の議論の歴史的な変遷と昨今の国際紛争の現状、そして、G7に積極的に参加し、2023年に広島でG7サミットを開催した日本と核軍縮の関係が話されました。パネリストの方々は、多種多様な意見を述べましたが、核兵器における世界の動向は、核軍縮と平和な世界の実現から遠ざかっているという視点を共有していました。その上で、一人ひとりが核兵器問題を自分ごととして考え、市民レベルから核軍縮に積極的に関わることの重要性を強調しました。
本フォーラムは、広島県、広島市、公益財団法人広島平和文化センター、平和首長会議、中国新聞社のご支援により開催されました。
平和実現のためにクリエイティブな協力方法を考える
元国際原子力機関検証安全保障政策課長のタリク・ラウフ氏は、「核兵器がある限り、偶発的または意図的な使用の可能性は決してなくなりません。」と指摘しました。また、ラウフ氏は若者の軍縮分野への参加を後押しするべきとし、「核保有国の若者も含めて、若い人が周りの人々と連携を取り、軍縮についてのメッセージを広げることが必要だと思います。」と述べました。
コスタリカ元ジュネーブ国連大使のエレイン・ホワイト氏は、参加者にクリエイティブになるよう呼びかけました。
「我々には、問題を解決するためのクリエイティブな発想とイノベーションを生み出す力があります。我々がこれまでに築いた歴史を振り返って、皆さんには核兵器廃絶のための新たな規範を作り上げていただきたいです。」- エレイン・ホワイト氏(コスタリカ元ジュネーブ国連大使)
公益財団法人広島平和文化センター理事長であり平和首長会議事務総長の香川剛廣氏は、
「平和運動は政治的なものだけではありません。」と指摘し、芸術や音楽、スポーツなどを通して、人々は平和の大切さを互いに感じることができるとしました。またそのような活動が国際的な世論を形成するとし、「最終的には、国際的な世論が国々を動かす大きな力になっていくのです。」と述べました。
講演者リスト
パネリスト:
- エレイン・ホワイト氏(コスタリカ元ジュネーブ国連大使)
- タリク・ラウフ氏(元国際原子力機関検証安全保障政策課長)
- 香川剛廣氏(公益財団法人広島平和文化センター理事長/平和首長会議事務総長)
ゲスト:
- ティム・コーリー氏(国連軍縮研究所非常駐シニアフェロー)
- ユーリー・リヴォノス氏(国連アジア太平洋平和軍縮センター元ディレクター)
ユニタール広島 2024年 核軍縮・不拡散研修
公開フォーラムは、2024年2月5日から10日に開催されたユニタール広島 核軍縮・不拡散研修の一環として開催されました。本研修は毎年、アジア地域の外交官を対象に、国際的な核軍縮会議で求められる知識や交渉スキルを高めることを目的に行われています。2024年は、アジア太平洋地域の13カ国から18人の外交官が広島を訪れ、本研修に参加しました。本研修は、ユニタール広島事務所・広島県・広島市が核兵器のない世界の実現に向けて行なっている数多くの協力の一つです。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2022年には、世界中で395,000人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中に幅広いネットワークを持っています。
ユニタール持続可能な繁栄局は、現在、そして未来のチェンジメーカーたちに、世界規模の学習と知識共有サービスを提供しています。ユニタールの革新的な研修や学習機会を通じて、持続可能で包括的かつ公正な経済開発を支援し、すべての人に公正な雇用機会を創出することを目指しています。
また、拡大する不平等に対処するため、若者と女性の支援に力を入れています。私たちは、2030アジェンダと持続可能な開発目標を推進し、包摂的で持続可能な世界の実現のために、世界中のさまざまなパートナーと連帯して活動しています