- タリク・ラウフ(Tariq Rauf)氏は、国連ユニタールの核軍縮・不拡散広島研修の専門家講師です。元国際原子力機関(IAEA)検証・安全保障政策調整課長で、核軍縮、不拡散、軍備管理に関する豊富な経験を持つ専門家です。
- 国連ユニタールの核軍縮・不拡散広島研修は、外交官を広島に招き、彼ら・彼女らが爆心地に立ち、原爆ドームを実際に目にする機会を提供します。
- ラウフ氏は、アジア太平洋諸国の外交官を対象としたこの広島での国連ユニタール研修は、安全な世界の構築の促進にとって重要な能力を育成するものであると信じています。
見逃されがちな核兵器の人道的側面
ラウフ氏は、核兵器に関する議論が、核戦争の人道的影響を無視していると感じています。
残念ながら、外交的および学術レベルでの核兵器問題に関する議論は非常に抽象的で、核兵器の生産と保有の人道的および環境的な影響とそのリスクを無視しています。これらの問題と核兵器の生産と保有がまるで無関係であるかのように議論を進めているのです。―タリク・ラウフ、元IAEA核検証・安全保障政策調整課長、国連ユニタール研修顧問
しかし、この人道的側面こそが、核兵器のない世界が不可欠であることの核心です。ラウフ氏は、外交官たちを広島に招く国連ユニタール核軍縮・不拡散広島研修は、特に重要な価値を持っていると考えています。
広島では、外交官たちは核軍縮の理論的および実践的な要素を学ぶだけでなく、爆心地に立ち、原爆ドームの歪んだ鉄骨を目の当たりにします。彼らは被爆者と出会い、一発の核兵器が人口密集地に与えた壊滅的な被爆の実相について直接耳にします。
ラウフ氏は、国連ユニタールの研修が外交官たちにとって非常に貴重であると信じています。それは、彼ら・彼女らの核軍縮と不拡散に対する責任を再認識し、これを達成するための交渉術を学ぶ機会を提供するからです。
すべての国々が核問題に関する十分な資源や情報を持っているわけではありません。ラウフ氏は、国連ユニタールの活動は、そのような国々にとって障壁となるギャップを埋め、安全な国際社会の構築を支援する能力を育成していると述べています。
国連ユニタールの核軍縮・不拡散広島研修に参加した外交官たちが、核兵器不拡散条約(NPT)や国連総会第一委員会(核軍縮)で積極的な役割を果たすのを見ることは特に喜ばしいことです。例えば、2023年7月24日から8月11日までウィーンで開催されたNPT運用検討会議第1回準備委員会でもそのような成果が見られました。―タリク・ラウフ、元IAEA核検証・安全保障政策調整課長、国連ユニタール研修顧問
核軍縮・不拡散広島研修については、以下よりご覧いただけます。
英文は以下よりご覧いただけます。
Spotlight on Our Experts: Tariq Rauf, Nuclear Disarmament and Non-Proliferation | UNITAR
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。