- 戦略マネジメントを専門に研究を行う、パプアニューギニア出身のLoretta Diluさんは、2024年の国連ユニタール「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」を修了しました。
- 海洋と人間の安全保障に関する予備知識がほとんどなかったにもかかわらず、彼女は並外れた努力と成果により、最終フェーズに進出した優秀な参加者の一人に選ばれました。
- Lorettaさんがこの研修で得た重要な学びのひとつは、集合的な行動の力でした。研修後、彼女は環境と地域社会の両方に資する、湖の再生プロジェクトを立ち上げました。
- 彼女は、環境問題には共同での解決が不可欠だと認識しており、人々に「自分にも変化を起こせる」という自信を持つよう促しています。
2025年6月03日、広島 – 大学講師のLoretta Diluさんは国連ユニタール「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」プログラムに参加する以前、海洋と人間の安全保障に関する知識はほとんどありませんでした。しかし、彼女は粘り強く取り組み、見事な成績を収め、プログラムの最終フェーズへの進出者に選ばれました。
この研修を通じて、Lorettaさんは海洋と人間の安全保障に対する理解を深めただけでなく、世界を支える複雑なつながりの重要性にも新たな気づきを得ました。今後はこの学びを研究活動に活かし、社会の発展に貢献していきたいと考えています。
海洋と人間の安全保障という未知の分野への挑戦
パプアニューギニアで学術研究を行うLorettaさんは、戦略的マネジメントを専門としており、学術的知見を社会貢献へつなげたいと考えています。海洋と人間の安全保障という重要な課題において研究の役割を重視する国連ユニタールの研修に魅力を感じ、迷わず応募しました。
本プログラムは2024年7月から2025年2月にかけて実施され、日本政府と日本国民の支援のもと、アジア太平洋地域の参加者に対し、実践的な解決策を通じて海洋と人間の安全保障の課題に取り組むスキルを育成し、地域連携の促進を図ることを目的としたものでした。オンラインフェーズでは、900名以上の参加者が非同期型の学習プラットフォームとウェビナー受講を通して学びました。
Lorettaさんは、戦略マネジメントという自らの専門分野とは異なる内容に最初は不安を感じましたが、むしろその挑戦を前向きに受け入れました。彼女が最も共感したのは、「人間、環境、動植物は互いに深くつながっている」という概念です。
この世界は人間、環境、植物、動物がすべてつながっているということを学びました。私たちが陸上で何をするかが、海に影響を与えるのです。 — Loretta Dilu、研究者、国連ユニタール研修修了生(パプアニューギニア)
研修最終フェーズへの参加
オンライン学習での熱意と努力が評価され、彼女は第2フェーズである地域ワークショップ(2024年10月、フィジーのナンディで開催)への進出を果たしました。Lorettaさんにとっては初めての海外渡航で、多様な背景を持つ参加者たちと交流できたことは刺激的な体験でした。
特に印象に残ったのは、ヴィセイセイ村へのスタディツアーでした。参加者は、気候変動による海面上昇などの脅威に直面しながらも自然資源の持続的管理と経済開発を両立させる村の取り組みを学びました。村長と住民の密接な協力関係によって組織的に運営されている様子に感銘を受けたといいます。
集団行動の力を活かして
最終フェーズである日本で開催された対面ワークショップに進出する優秀者50名を国連ユニタールが選出した際、Lorettaさんもその一人に選ばれました。これは、彼女にとってとても大きな経験となりました。他国の参加者の高い技術的知識に驚かされつつも、グループワークやディスカッションを通じて多くの学びを得ました。
参加者との交流以外にも、日本での経験やベストプラクティスは彼女に永続的な印象を残すものとなり、母国でも同様の取り組みを導入したいという意欲を高めました。特に、日本国内での草の根的な共同行動による変革の推進力に深い感銘を受け、また、自然に根差した解決策と先進技術を融合させる日本の取り組みに強い関心を抱きました。
知識を行動へ
8か月にわたる研修を終え、Lorettaさんは自身が得た知見を実践に移す準備が整いました。日本での研修中に参加したマイクロプラスチックのフィールドワークに触発され、地元の汚染された湖の再生と保全を目的とする湿地保全プロジェクトを設計しました。このプロジェクトでは湖の清掃と海洋ごみのリサイクルを行い、衛生状態の改善を図ります。また、若者の積極的な参加を促すことで地域全体の意識向上と主体的な行動を目指しています。
さらに、彼女は研究と出版活動を通じて、自国の重要な社会課題に対する政策提言にも力を入れていく予定です。
このプログラムで得たスキルは、政策提言書の作成や実践的な研究活動に大いに役立つと思います。
Lorettaさんは、海洋と人間の安全保障の重要性を認識し、人々が自分自身の力を信じて前向きな変化を起こすことの大切さを説いています。たとえ小さな努力であっても、集団的な努力が、すべての人にとってより持続可能でレジリエンスのある未来に貢献できることを強調しています。
自分を信じて、何事にも決意を持って取り組むことが大切です。環境問題に立ち向かう力は誰にでも備わっています。境遇や経験に関係なく、皆の貢献が必要なのです。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で55万人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくは国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所をご覧ください。