- フィリピン外務省の外交官であるPaolo Zuritaさんは、国際機関と連携しながら核不拡散および軍縮に取り組んでいます。
- 彼は専門分野における知識と能力を高めるため、2025年2月に国連ユニタール「核軍縮・不拡散広島研修」に参加しました。
- 広島でPaoloさんは、核兵器が人々に及ぼす人道的影響について学びました。そして、原子爆弾による苦しみを自国のより多くの人に伝えたいと考えています。
- また、各国の立場や視点に対する新たな理解が、軍縮をめぐるフィリピンの立場をより効果的に主張する上で役立つと考えています。
2026年1月30日、広島-Paolo Zuritaさんは、フィリピン外務省の国際連合・国際機関局平和安全保障課の副局長です。この役職において、核不拡散および軍縮を中心とした平和と安全保障に関する案件を担当しています。彼は高度な専門性を要する分野における知識と能力をさらに高めるため、2025年2月に国連ユニタール「核軍縮・不拡散広島研修」に参加しました。
核軍縮に取り組むフィリピン
1968年以来、フィリピンは核兵器の完全かつ不可逆的な廃絶を求める核兵器不拡散条約(NPT)の締約国として、強いコミットメントをもって取り組んできました。長年にわたり核兵器廃絶と不拡散を推進してきたPaoloさんは、フィリピンが他の締約国に対し、条約上の義務を遵守するよう働きかけるために最善を尽くしてきたと述べています。フィリピンはまた、2021年に核兵器禁止条約(TPNW)を批准しており、その採択に賛成票を投じた122か国のうちの一国でもあります。
「核不拡散条約(NPT)および核兵器禁止条約(TPNW)における私たちの取り組みは、短期および中期的な国家安全保障や国益の観点から重要であるだけでなく、フィリピンにとって長期的かつより持続的な利益である国際安全保障の促進においても重要です。」— Paolo Zurita、外交官(フィリピン)
Paoloさんは、核軍縮および核不拡散の分野は非常に高度な専門性と高い対応力が求められる分野だと述べています。フィリピンの外交官は、気候変動、持続可能な開発、人権、そして核軍縮といった多岐にわたる分野を横断的に担当することが求められており、その業務は決して容易ではありません。国連ユニタールの研修はまさに適切なタイミングで実施され、彼が自国の利益をより効果的に交渉し、主張するために必要な専門的知識と能力を高める機会となりました。
国連ユニタール研修プログラム
国連ユニタール「核軍縮・不拡散広島研修」プログラムは、Paoloさんがこの非常に専門性の高い分野について確かな理解を深める機会となりました。2015年以降、本プログラムは軍縮の取り組みに従事するアジア各国の政府職員を対象に研修を実施し、世界の核兵器関連政策をめぐる議論に関する最新の知見を提供するとともに、交渉力やコミュニケーション能力といった重要なスキルの育成を支援してきました。本プログラムは、広島県ならびに広島市の支援のもと、国連ユニタールおよび国連ユニタール協会が運営しています。
「国連ユニタールの研修は、私のような外交官が、核軍縮をめぐる最近の動向や現状を的確に把握する上で非常に有益です。」
2025年度研修では、アジア太平洋地域の14か国からの外交官15人が広島に集まり、核軍縮分野についての理解を深めるとともに、交渉スキルの向上を図りました。6日間にわたり、参加者は被爆者や広島市および広島県の関係者と面会し、広島平和記念公園や平和記念資料館を訪問したほか、専門家による講義への参加や地政学的シミュレーション演習にも取り組みました。
Paoloさんは、広島で学ぶことは非常に意義深い経験だったと語っています。彼は広島を「核兵器の恐ろしさを世界に訴える存在」と表現し、核兵器がもたらす壊滅的な影響を生々しく物語る場所だと述べています。こうした対話や体験を通じて、広島の人々が持つ独自の視点を理解することができたと感じているそうです。
Paoloさんは、とりわけ若い世代に対して、原子爆弾がもたらす人道的影響について伝えていくためには、まだ多くの取り組みが必要だと考えています。彼によれば、フィリピンでは核兵器といえば大規模な爆発や放射線を思い浮かべる人が多く、その背後にある長期的な苦しみまで十分に理解されていない場合が少なくありません。広島が経験した痛みや、その視点を共有することは、人々がこの現実を深く理解するための一助となります。
「私たちは通常、核兵器が使用された際の人間的な側面についてはあまり考えません。国全体にどのような影響が及ぶかは考えても、核兵器によって壊滅した都市に暮らす人々一人ひとりのことまでは、必ずしも思い至らないのです。」
彼は、国連ユニタールの研修が、経験豊富な外交官に対しては最新の知見を提供すると同時に、この分野に新たに携わる人々に対しては、その複雑さを理解する機会を与えている点を高く評価しています。Paoloさんは、新たな理解、特に各国の視点の違いに対する理解を活かし、核不拡散および軍縮に関する自国の立場をより効果的に主張していきたいと考えています。
より安全でより良い世界を目指して
Paoloさんは公務員の家庭に生まれ、幼い頃から外交官の道を志すよう父親に励まされてきました。外交という仕事の持つ活気ある魅力や、知的探求心をかき立てる側面に惹かれ、核軍縮および不拡散をめぐる高レベルの国際対話に携わることに大きなやりがいを感じています。核兵器禁止条約(TPNW)の条文交渉にフィリピン代表団の一員として携わったことも、彼にとって大きな名誉であり、外交官としてのキャリアを象徴する出来事の一つだと語っています。
専門的でありながら人間的な側面も大きいこの分野で働くことを志す外交官に向けて、Paoloさんは次のようなメッセージを送っています。
「長く困難な道のりになるでしょう。しかし、最初の一歩を踏み出すこと自体が称賛に値します。なぜなら、多国間の枠組みにおける取り組みとは、国益を追求するだけでなく、将来の世代のために世界をより安全な場所にしていくことでもあるからです。」
Paoloさんは、核兵器をめぐる国際交渉の場に立つときも、所属する省庁の能力強化のための取り組みに携わるときも、意義ある形で貢献し、自国フィリピンが世界での議論を形づくる一助になりたいと考えています。そしていつの日か自身の歩みを振り返ったとき、たとえその役割が小さなものであっても、世界をより安全で、より良い場所にするために貢献できたことを記憶に刻みたいと願っています。
英文記事はこちらからご覧いただけます。
本記事の執筆には国連オンラインボランティアButhaina R. Al Balushiさんが協力しました。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくは国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所ウェブサイトをご覧ください。