• 2024年度の国連ユニタール「津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」の最終フェーズとなる5日間の集中ワークショップが、202537日にフィジーで閉幕しました。
  • 3か月間のオンライン学習で構成された研修第一フェーズを修了した約130名の中から選ばれた、アジア太平洋地域11か国からの参加者17名が、フィジーでのワークショップに集まりました。
  • 参加者は、専門家による講義、体験型学習、グループ発表に取り組み、災害リスク軽減に関する具体的な解決策を発表しました。
  • また、参加者は、ヤブサニア村への視察を通じて、コミュニティ主体の防災管理の実例や、気候変動の影響に対するレジリエンス強化における女性の積極的な役割について学びました。
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202537日 フィジー・ナンディ - 国連訓練調査研究所(ユニタール)の2024年度津波防災に関する女性のリーダーシップ」研修事業は、202537日にフィジーで行われた5日間の集中ワークショップをもって閉幕しました。本ワークショップには、研修第一フェーズを修了した約130名の中から選ばれた、アジア太平洋地域11か国からの実務者17名が集まりました。参加者は、防災・減災分野における女性のリーダーシップの強化と地域コミュニティの災害に対するレジリエンスの強化に取り組みました。 本事業は、日本政府および日本国民の支援を受けて、実施されました。

専門家による講義と現地視察を通じた学びの成果

フィジーで行われたワークショップは、3か月間にわたるオンライン学習フェーズの後に実施されました。専門家による対面での講義や現地視察を通じて、実践的かつ体験型の学びの機会が提供されました。

ワークショップ初日の開会式では、道井緑一郎 駐フィジー共和国、ナウル共和国、ツバル日本国特命全権大使から開会のご挨拶を賜りました。道井大使は、日本と太平洋諸国が自然災害に直面する上で共通した課題があること、また、災害への備えと気候変動に対する行動を促進するために、多様なバックグラウンドを持つ人々の間での知識共有が重要であることを強調しました。

研修の講義では、災害リスク軽減における多様なアプローチが取り上げられました。生態系を活用した防災、コミュニティ主体の防災、また、その土地固有の知識や信仰団体の役割に関する議論が行われました。さらに、観光業と防災の関係や、防災における心理的サポートとメンタルヘルスの重要性、ジェンダーや子ども、障がい者などを包摂した防災の意義についても取り上げられました。

本研修のハイライトの一つは、フィジー本島ビチレブ西海岸のナンディ川沿いに位置するヤブサニア村への視察でした。同村では、河岸浸食対策のための河川構造物の建設や、コミュニティ主体の災害リスク管理研修への参画など、防災と気候変動適応に積極的に取り組んでいます。

本視察を通じて、参加者は、地域社会が自主的に災害対応計画を策定・実施し、防災力を強化している実例を学びました。また、気候変動の影響に対するレジリエンス強化における女性の積極的な役割を示す、女性主導の環境保全プロジェクトの紹介もありました。

ワークショップ最終日には、参加者がグループ発表を行い、より包摂的な災害リスク軽減を目指した女性のリーダーシップと意思決定への参加の重要性について議論しました。発表では、研修で学んだ知識を実践的な解決策に落とし込み、それぞれの地域で応用できる提案がなされました。

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ワークショップの締めくくりと今後の展望

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ワークショップの締めくくりとして、国連ユニタールは閉会式および修了証授与式を開催し、参加者の成果を称えました。

この研修は、災害への備え、対応、そしてレジリエンスについて、特にジェンダー包摂の観点から貴重な学びを得ることができました。ーJob Sam、国連ユニタール研修参加者(パプアニューギニア)

閉会式では、国連ユニタール広島事務所の三上知佐所長がビデオメッセージを通じて、参加者が今後、防災・減災分野でリーダーとして活躍することへの期待を込め、励ましの言葉を贈りました。

皆様は、技術的な専門知識だけでなく、実際に変化をもたらすリーダーとしてのスキルも学びました。道のりは決して平坦ではないかもしれませんが、一人ひとりが、レジリエンスの強化と変革の担い手となることを確信しています。 -国連ユニタール広島事務所 三上知佐所長

国連ユニタールは、同事業への日本政府と日本国民のご支援、そして、研修参加者に貴重な知見を共有いただいた専門家の皆様に心より感謝申し上げます。

2024年度「津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」について

国連ユニタールの「津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」は、アジア太平洋の参加者が包摂的な災害リスク軽減計画を策定するためのスキルを身につけることを目的としています。本研修は「しまなみコレクティブ」プログラムの一環として実施され、日本政府および日本国民の支援を受けています。

本研修は2つのフェーズで構成され、女性のエンパワーメントと防災に対する強い関心と情熱を持つアジア太平洋地域からの実務者が参加しました。 1フェーズでは、3か月にわたる非同期型のオンライン学習が実施され、専門家によるウェビナーやグループ演習を通じて学びを深めました。

事業詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
国連ユニタール広島世界津波の日における津波防災に関する女性のリーダーシップ研修

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

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