- 2024年11月27日、国連ユニタールは「津波防災に関する女性のリーダーシップ」研修事業の第1フェーズを終了しました。オンラインで実施されたこの第1フェーズでは、アジア太平洋諸国からの参加者130名以上が、バーチャルクラスルームでの一連のウェビナーとオンラインディスカッションに参加しました。
- 参加者は災害リスク軽減におけるジェンダー平等、コミュニティを基盤とした災害リスク軽減、障がい者のインクルージョン、脆弱な立場の人々のエンパワーメントについて学びました。
- 研修参加者のうち成績上位者は、2025年3月にフィジーで開催される第2フェーズの対面式ワークショップに招待される予定です。
2024年12月13日、広島-2024年11月27日、国連ユニタールは「津波防災に関する女性のリーダーシップ」研修事業の第1フェーズを終了しました。オンラインで実施されたこの第1フェーズでは、アジア太平洋諸国からの参加者130名以上が3か月間にわたり、気候や災害に対するレジリエンス、リスク管理、アジア・太平洋地域における課題について学びました。また参加者らは、第1フェーズの最終ウェビナーに参加しました。
この研修では、津波に対する認識と災害リスク軽減のための、コミュニティを基盤とした対策の重要性、そして男性優位になりがちな災害リスク軽減における女性のリーダーシップに重点が置かれました。最終ウェビナーでの閉会の挨拶では、フィジー国家災害管理局(NDMO)の前局長であるVasiti Soko氏が参加者を祝福し、激励の言葉を送りました。
第1フェーズの成績優秀者は、2025年3月にフィジーで開催予定の第2フェーズの研修である対面ワークショップに招待されます。参加者らは、専門家による講義やコーチングセッションに参加し、災害リスク軽減における女性の役割を促進するための実行可能で包摂的な災害リスク軽減計画を策定します。これらの計画は、それぞれの国で実施が想定されています。
この2024年度の災害リスク軽減研修事業は、日本政府の支援により実施が実現しました。
第1フェーズ バーチャルクラスルームによる学習
第1フェーズでは、オンラインの自主学習プラットフォームとバーチャルクラスルームによるウェビナーを実施しました。ウェビナーでは、太平洋地域における沿岸域リスク管理の課題、津波災害リスク軽減のためのコミュニティ空間の設計、災害リスク軽減における女性のリーダーシップなどが取り上げられました。
9月4日のウェビナー
- 災害リスク管理における女性のリーダーシップ(世界銀行東京防災ハブ防災戦略の専門家 Dixi Mengote-Quah氏)
9月18日ウェビナー
- 災害リスク軽減と災害廃棄物管理活動(国際協力機構(JICA)地球環境部専任参事 三村悟氏)
- ジェンダーの視点からの災害リスク軽減(国連防災機関(DRR)ジェンダーアドバイザー Branwen Millar氏)
10月16日ウェビナー
- 津波災害リスク軽減のためのコミュニティ空間デザイン(総務省消防庁消防大学主任研究官 大津暢人氏)
- 太平洋地域で利用可能な沿岸域リスク管理ツール(太平洋共同体地球科学・エネルギー・海事部海洋・沿岸域リスクデータ分析官Judith Giblin氏)
11月6日ウェビナー
- 災害リスク軽減における女性のリーダーシップ(アクションエイド・バヌアツ 国別プログラム・マネージャー Flora Vano氏)
- 危機における障がい者の代表と役割(フィジー障がい者連盟 気候変動・災害リスク軽減ユニット・プログラム・コーディネーター Jay Nasilasila氏)
11月27日最終ウェビナー
オンラインフェーズの最終ウェビナーでは、フィジー国家災害管理局(NDMO)の前局長であるVasiti Soko氏が登壇しました。彼女は包摂的な国家政策の重要性、パートナーシップ構築の必要性、災害リスク軽減アプローチと女性のエンパワーメントの相互作用を強調しました。
政策は女性を考慮したインクルーシブなものであり、標準作業手順書にはジェンダーの視点を含めることが不可欠です。また、会議に女性が出席していない場合には、女性リーダーの意見を代弁する男性の支持者が登場することを期待します。
ウェビナーの後は、活発なグループ・ディスカッションとクリティカル・シンキングの演習が行われました。このような意見交換を通じて、参加者はお互いを知り、災害リスク軽減のための地域ネットワークを構築しました。
次のフェーズ:フィジーでのワークショップに向けて
第1フェーズで特に優れた成績を収めた参加者は、次の段階として2025年3月にフィジーで開催される対面式ワークショップに招待されます。フィジーから学ぶことのできる知識と経験は、太平洋地域に重点を置く同研修に大いに関連するものであり、参加者は地域の課題や能力に関する貴重な洞察を得ることができます。ワークショップでは、災害リスク軽減における政策とガバナンス、災害リスクコミュニケーション、太平洋地域におけるハザードと災害リスク、災害リスク軽減におけるジェンダーと障がい者の役割に至るまで、様々なトピックについての専門家講義が行われます。参加者は行動計画を策定し、それぞれのコミュニティにおける効果的な災害リスク軽減計画についてグループ別プレゼンテーションを行う予定です。
津波防災に関する女性のリーダーシップ研修事業について
「津波防災に関する女性のリーダーシップ」研修事業は、災害リスク軽減における女性のリーダーシップに携わる人々がそれぞれのコミュニティや国のニーズに応じた包摂的な災害リスク軽減計画を策定するための生涯スキルを身につけることを目的としています。この研修は2024年9月から2025年3月まで、2つのフェーズに分けて実施されています。
- 第1フェーズ(2024年9月~11月):オンライン自主学習、専門家によるウェビナー、グループ演習、プレゼンテーション。
- 第2フェーズ(2025年3月): 成績優秀者をフィジーに招き、各々のコミュニティにおける効果的な災害リスク軽減のための行動計画を策定。
本研修は、日本政府の寛大な支援により、国連ユニタールの「しまなみコレクティブ」プログラムの一環として、無料で提供されています。同プログラムは、災害に対するレジリエンスの構築と海洋と人間の安全保障の強化を目的としています。
同研修事業について詳しくは以下をご覧ください。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。