国連ユニタール持続可能な繁栄局ニュースレターの第3号をお届けします。国連ユニタールの様々なプログラムや取組をご紹介しています。既刊についてはこちら(英文はこちら)。Facebook、Instagram、LinkedIn、Twitterをフォローしていただくと、最新情報をご覧いただけます。ニュースレターご購読のお申し込み・解除、ご質問・ご意見は、prosperity_communications@unitar.orgまでメールをお送りください。
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ファイナンシャルインクルージョン:AGFUNDとの新たなプロジェクト
AGFUNDとユニタールは、2022年2月、グローバル・パートナーシップ・ハブを設立するための新たな協定に調印しました。これは、持続可能な開発目標(SDGs)のための教育、研究、イノベーションを強化し、所得の低い国や人々が誰も取り残されることなく金融サービスにアクセスできるよう促していくことを目的としています。サウジアラビアで行われた調印式には、ユニタール総代表のニキル・セスと持続可能な繁栄局長の隈元美穂子が参加しました。
これに先立ちほかに2つの協定を結んでおり、ひとつは持続可能な繁栄局が実施するアフリカ・サハラ地域と中東におけるファイナンシャルインクルージョンと女性のエンパワーメントに関するもので、もうひとつは平和局が担当するアフガニスタンでの産婦人科医養成のプログラムについてです。調印式は、人間開発のためのPrince Talal国際賞の授賞式と並行して行われました。
360度バーチャルツアーで広島を世界に:核軍縮・不拡散研修
国連ユニタール持続可能な繁栄局は、核軍縮・不拡散に関する研修プログラムに新たに導入する、広島の慰霊碑などをめぐる360度のバーチャルツアーを開発しました。今年度のプログラムは、2022年2月25日から3月18日にオンラインで開催されます。360度ツアーでは、原爆による破壊と復興のシンボルである広島平和記念公園をめぐります。普段は入ることができない原爆ドームの内部も見ることができます。オンラインでの学習に、3D技術による迫力のある現地の映像を加え、学びを深めることが期待されます。
持続可能な繁栄局では、2015年から政府関係者を対象とする核軍縮のための交渉術に関する研修を提供しています。新型コロナウイルスのパンデミックでユニタールの研修がオンラインに移行する以前は、広島を実際に訪れ、被爆者の証言や平和への願いを体感するプログラムが盛り込まれていました。今回のバーチャルツアーは、モバイル機器によるマイクロラーニング、世界的な専門家を招いたウェビナー、模擬交渉演習を補完するものとなります。
デジタルヘルスのための社会的起業
持続可能な繁栄局は、コロンビアビジネススクールと共同で、(1)デジタルヘルスに関心のある女性や青年層の起業家、(2)女性や青年層のヘルスケア専門家(医療従事者、病院管理者、医事販売員など)のスキルアップを図る2週間のオンラインコースを開始します。日本国政府、広島県、および、ユニタールstrategic frameworkを通じたスウェーデン国際開発協力庁の支援により提供されるプログラムです。
アフガニスタンとイラクでは2022年3月7日に、サヘル地域諸国(ブルキナファソ、カメルーン、チャド、ギニア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル)では2022年3月14日に開始予定です。以下のコンテンツが含まれています。
- 社会的起業入門:テクノプレナーシップ・遠隔治療・ウェアラブル端末・起業戦略
- デジタルヘルス入門:患者中心の理論 ・ポピュレーションヘルス ・健康情報技術 ・遠隔医療(テレヘルス)・コンテキストに応じた健康
津波防災に関する女性のリーダーシップ研修:公開ウェビナー
2022年1月26日、ユニタールは2021年津波防災(DRR)に関する女性のリーダーシップ研修の締めくくりとして、太平洋女性のリーダーシップに関する公開オンラインパネルディスカッションを開催しました。サモア赤十字社、フィジー国家防災局、日本の福祉防災コミュニティの専門家が参加しました。小島嶼開発途上国(SIDS:Small Island Developing States)や日本が直面する緊急かつ複雑な災害リスクについて、また、ジェンダーの視点をどのようにDRRの政策や実践に取り入れるべきかについて議論しました。
また、トンガから参加した2名の修了生は、最近の火山噴火と津波に関する経験を語りました。2人は災害発生時日本にいましたが、ユニタールの研修により、家族や友人への声掛けや避難情報の拡散に迅速に動けたと言います。このプログラムは、日本国政府からの支援により提供しており、今後も太平洋諸島の開発途上国で、女性が災害リスク管理の実践をリードするための支援を行っていきます。
再建と発展のためにー南スーダンの若者たち
2020-2021年のユニタール架け橋をつくる:南スーダン奨学プログラム「起業家・プロジェクトプランニング」は2021年10月に終了し、約100名が受講しました。参加者は、プロジェクトプランニング、組織のニーズ調査、環境分析、プロジェクトの実施、リーダーシップなど、起業家精神の基礎を学びました。修了生のTabu Elderさんは、スタートアップ起業家や地元企業にこれらのスキルを教えながら、水や保健衛生に関する自身のコミュニティプロジェクトを計画しています。また、同じく修了生でラジオ・バキタに勤めるBaria Johnson Kiboさんは、ニーズ調査を行い、ラジオ局の運営を改善しました。
新型コロナウイルスの流行により、初めての全プログラムオンラインでの開催となりました。南スーダンでは、インターネット環境が未だ不安定で参加者の負担も大きくなるため、学習者とコーチにSIMカードを提供して学習環境確保に努めました。本プログラムは、南スーダンの青年層が数十年にわたる紛争から立ち直り、自国の再建と発展に貢献できるようにすることを目的に、日本国政府の支援により実施しています。
参加者の声
ユニタール新型コロナ危機に対する対応:デジタル技術を活用したサヘル地域の能力向上研修プログラムの修了生であるMohamadou Belloさんは、青年層と女性の教育機会を高めることに情熱を注いでいます。Mohamadouさんは現在カメルーンで多言語オンライン学習プラットフォームを開発しています。
Mustafa Musa JaberさんとMohammed Majid Ibraheem Al Hakeemさんは、イラクの人々を対象とした青年層に向けた起業家研修プログラムを受講し、イラクで深刻化する環境問題に対処しつつ新たなビジネスモデルを構築するため、それぞれプラスチックのリサイクルと植林に取り組んでいます。
国連ユニタール広島核軍縮・不拡散プログラムの修了生Amaraa Erdenebaatarさんは、自国モンゴルで、非核兵器国の交渉官として尽力しています。同研修に関連して、広島への原爆投下から76年を迎えた2021年8月6日、ユニタールは公開セミナーを実施しました。
Alvin Wongさん、Anna Weiさん、Bella Liさん、Jane Poonさんは、アジア太平洋地域のユニタール青少年大使プログラムで優秀者として表彰されました。SDGs達成のためのプロジェクトを練り、それぞれ音楽やネットワーキングなど様々な分野でコミュニティの課題に向き合っています。また、広島及びアジア太平洋地域の青少年大使たちは、気候変動にも着目し、より良い世界の実現に向けて目標を追求しています。
お知らせ
デジタルインフラとリテラシーに関するウェビナー
持続可能な繁栄局は、公開ウェビナー「デジタルデバイドの解消:サヘル地域、イラク、アフガニスタンにおけるデジタルリテラシーとインフラの強化」を2022年3月24日に開催します。英語とフランス語でお聞きいただける予定です。お申込みはこちら:https://unitar-org.zoom.us/webinar/register/WN_cZxezyjiTRGCGHj5t88NhA
デジタルインフラを改善し、「誰一人取り残さない」ためのデジタルリテラシーを高めるため、課題や実例を交えながら様々な取組について議論を交わします。パネリストは、フランコフォニー国際機関(OIF)、国際電気通信連合(ITU)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、サウジデジタル協力機構、GSMA、スウェーデン政府および日本国政府から出席する予定です。
持続可能な繁栄局とハンガリー中央銀行(MNB:Magyar Nemzeti Bank)は、金融分野のデジタル化に関する研修プログラムを開発するための新たなパートナーシップを樹立しました。この新しいプログラムは、デジタル金融と持続可能な開発をサポートするための中央銀行の役割に焦点を当てます。金融の専門家や政府関係者などを対象とする予定です。金融セクターのデジタル化、フィンテック・エコシステム、決済イノベーション、デジタル通貨、デジタルトランスフォーメーションなどについて学ぶコースを検討しています。
ブロックチェーン、AIなどのデジタル技術に関するコース(応募受付中)
5週間のオンラインコース「ブロックチェーン、AIなどのデジタル技術:持続可能な開発への応用」が2022年3月28日にスタートします。人工知能(AI)、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術、ロボティクスと自動化、モノのインターネット(IoT))について学ぶことができます。フィンテック、貿易、金融に関する今後開催予定のオンラインコースについては、こちらをご覧ください。
公開ウェビナー:IT分野におけるジェンダーギャップの解消
国際女性デーである2022年3月8日に、IT分野におけるジェンダーギャップ解消について考える無料のウェビナーを開催します。お申し込みはこちら:https://bit.ly/3rqVlLw
国連ユニタール持続可能な繁栄局、Waffle.org、国連ユニタール協会の共催で、5人の高校生が発表します。また、STEM分野でのジェンダー平等を達成するための方法について考えるパネルディスカッションを行います。パネリストは、為末大さん(国連ユニタール親善大使)、斎藤明日美さん(NPO法人Waffle.org共同設立者)、Raghad Havさん(イラクの女性のための学習イニシアチブShe Codes Tooの設立者)です。参加する高校生は、2022年1月から2月にかけて開かれたSTEMワークショップの受講者で、SDGsとコーディングについて学びました。