• 国連ユニタールは、2024年度「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」プログラムの参加者の声を紹介する政策提言シリーズを公開します。
  • 本政策提言シリーズは、気候変動、自然災害、環境劣化といった喫緊の海洋と人間の安全保障課題に対応するための具体的な提言を発表しています。
  • 1弾では、専門家パネルによって評価された上位3本の政策提言を紹介しており、深海採掘、海洋の脱炭素化、地域に根ざした海洋保護区をテーマとしています。
  • 更新情報(2025611日):本シリーズの最新の更新として、新たに6本の政策提言が追加公開され、これまでに計9本の政策提言が掲載されています。

2025326日、広島 - 国連訓練調査研究所(ユニタール)は、インド太平洋地域における海洋と人間の安全保障に関する政策提言シリーズを公開いたします。本シリーズは、日本政府の支援を受けて国連ユニタールが実施した、2024年度「国連ユニタール 自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」プログラムの一環として作成され、政府関係者、NGO職員、学識者、民間セクターの関係者など、インド太平洋地域の参加者による協働の成果を示すものです。国連ユニタールは、本シリーズを通じて、地域の新たなリーダーたちの声を広く発信することを目指しています。

本政策提言シリーズでは、気候変動、自然災害、環境劣化など、沿岸地域に暮らす人々の生計や海洋生態系のレジリエンスを脅かしている海洋と人間の安全保障上の重要課題に対し、同地域に向けた実行可能な提言を示しています。

政策提言の紹介

1弾として、専門家パネルにより評価された上位3本の政策提言を取り上げています。それぞれ、インド太平洋地域における海洋と人間の安全保障の重要課題を取り上げたものです。

  1. Protecting the Oceans: ASEAN-Pacific Nations Call for Moratorium on Deep-Sea Mining 
    著者: Jennifer Coffin, Frances Satini, Grace Tufuga, Elisa Shafiqah, Nguyen Duc TrungLavata Nivaga
  2. Race to Zero: Maritime Decarbonization in the Indo-Pacific 
    著者: Maria Regina B. Monsayac-Pabalate, Dania Safiya Binti Danny Iswandy, Romario Henry Imoa Pose, Mor Channsovannrith, Asenaca Sulago MaqanataganeYrhen Bernard Sabanal Balinis
  3. Local Action, Integrated Region: Strengthening Community-Based Marine Protected Areas (MPAs) in the Indo-Pacific 
    著者: Nasri Tahir, Peter Paul Quibranza, Jona Baro, Natinee Na Chiangmai, Nur Rochma Amaliah 

 

これら3つのグループは、2025221日に国連大学(在・東京)にて開催された公開イベント「インド太平洋の海洋アクションに向けた今後の道筋」で政策提言を発表しました。本イベントはYouTubeでもライブ配信されました。

 

最新の更新情報(2025611日)

政策提言シリーズに新たに以下の6本が加わり、現在までに合計9本が公開されています。(順不同)

  1. Sinking Islands: A Call to Action on Sea-Level Rise Post-Sendai Framework
    著者: Mriganika Singh Tanwar, Vivian, Bryan Sinatra, Hafford J. Norea
  2. Can Our Oceans Breathe Again? A Call for Oil Spill Ecosystem Restoration
    著者: Nailatikau. A.L, Ram. A.A, Petsul. L, Theorupun. T, Diroiroi, V.
  3. Combating Illegal, Unreported, and Unregulated (IUU) Fishing in Asia-Pacific
    著者: Sike Chan, Shaunalee Ketafono, Rajneel Singh, Pathum Ranasinghe
  4. A Practical Roadmap for Circular Wastewater Management: Smart, Sustainable, Shared Solutions for Asia-Pacific
    著者: Phimmaly Thammavong, Andrea Taliauli, Loretta Dilu, Sabrina Pania, Anawat Meepien, Irene Bougenville Martin
  5. Emerging Indo-Pacific Leaders Call for Coalition to End Single-Use Plastics
    著者: Rachel Steele, Alyssa Manalo, Ana Tagivetaua, Aye Yupar, Putri Hadini Mayningsih, Shirlene Hiru
  6. Marine and Coastal Aquaculture in the Asia-Pacific Region: Balancing Sustainable Growth and Conservation
    著者: P Buddhi Maheshika Pathirana, Yuri Pratama Widiyana, Obed Timakata, Mary Tegavota, Emma Powan

 

政策提言文書および本プログラムの詳細は、「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」プログラムの公式ページにてご覧いただけます。

プログラムの主要成果

同研修プログラムは、20247月にオンラインフェーズを開始し、インド太平洋地域の900人以上の参加者が学びを深めました。今回の政策提言は、2025210日~21日に日本で実施された12日間のワークショップ(第3フェーズ)の成果としてまとめられたものです。

研修の第3フェーズには、アジア太平洋18か国からの参加者50名が集い、専門家の助言のもとグループワークを通じて政策提言を作成しました。日本国内で行われた講義や現地視察から得た学びが各提言に反映されています。

国連ユニタールは、政策提言の審査に協力いただいた専門家の皆様、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」(FOIP)研修事業について

「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」(FOIP)研修事業は、日本政府の支援を受け、国連ユニタールが実施しています。この事業の主な目的は、参加者に気候、社会、経済、食料、海洋に関わる安全保障の強化のために必要なスキルや知識を提供し、インド太平洋地域全体での連携メカニズムの構築を支援することです。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2024年には、55万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

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