- 2025年11月22日、国連ユニタールは「SDGsとデジタル未来 ― AIとデジタル・ストーリーテリングで切り拓く変革」研修の一環として、公開ワークショップ「ブロックで築く平和:マインクラフトと広島」を広島市内で開催しました。
- 本公開ワークショップは、研修の成果を広く社会に共有するとともに、デジタルツールを用いて広島の歴史と平和について考え、学び合う場となりました。
- また、デジタル技術を活用した創造的な平和学習とストーリーテリングの実践に、セクター、世代、国境を超えてともに取り組む貴重な機会となりました。
- 被爆80年の節目である2025年、広島県、広島市をはじめ、多くの関係者やパートナー機関の協力を得て、この被爆80年記念事業を無事に終了しました。
「SDGsとデジタル未来」研修の修了
国連ユニタールは11月15日、「SDGsとデジタル未来―AIとデジタル・ストーリーテリングで切り拓く変革」研修のデジタルストーリー作品発表・審査会をオンラインで実施しました。参加者12名は、森林破壊、自然災害後の復興、海洋資源の保全、平和と広島のレガシー継承、地球温暖化など、持続可能な未来に向けたテーマで制作物を発表し、外部専門家を含む審査員により3作品が優秀作品として選出されました。
仲間のストーリーテラーたちと学んだ時間、そして広島での経験は一生大切にしていきます。私の作った動画が、私たちすべてをつなぐ海を大切にしたい、という思いにつながることを願っています。―キアナ・ドミニク・セザール、研修参加者、優秀賞受賞者(フィリピン)
本研修事業は、AIやデジタル・ストーリーテリングを社会変革のツールとして活用する力を若者に育むことを目的として、広島県と広島市の支援を受け、一般社団法人国連ユニタール協会の協力のもと実施されました。2025年6月からのオンライン研修には、広島を含むアジア各地域から22名の若者が参加し、うち13名が続く8月の広島実地研修に集い、さらに学びを深めました。本研修は、今回の審査会をもって無事修了しました。
デジタルツールで平和を学び合う: ワークショップの開催
国連ユニタールは11月22日、公開ワークショップ「ブロックで築く平和:マインクラフトと広島」を広島市内で開催し、研修の成果を広く社会に共有するとともに、デジタルツールを用いて広島の歴史と平和について考え、学び合う場を提供しました。
本イベントは、広島県と広島市の支援のもと、一般社団法人国連ユニタール協会、日本マイクロソフト株式会社の協力を得て実施され、広島の若者が参加しました。
イベント前半では、研修参加者による制作物を公開し、一般社団法人国連ユニタール協会の佐々木茂喜理事長より総評をいただきました。優秀作として公開されたのは、1)曾祖母の被爆体験を題材にAIを駆使して制作したビデオ作品、2)フィリピンの漁業従事者の状況と海洋環境問題を描いたビデオ作品、3) 広島原爆投下直後と現在の街の様子を対比できるアプリの3作品です。
続いて渡邉英徳東京大学大学院教授による基調講演、そして被爆者である近藤紘子氏による講話が行われました。
後半の参加型ワークショップでは、特定非営利活動法人デジタルものづくり協議会の土井隆代表理事の進行のもと、参加者が教育版マインクラフトを用いて原爆投下前の広島の街並みを再現するグループワークに取り組みました。参加した広島市内の高校生は、これまでの小・中・高校で受けてきた平和教育ではなかったような体験型の取り組みを通して、視点やイメージを新たにする良い機会となったと感想を述べています。
今まで被爆者の方のお話を聴いたり、写真を見るというような平和教育が主だったが、今回のような原爆が落ちる前の姿を復元してみるという活動は自分の中では新鮮でした。原爆投下前の広島の、平和な状態の広島を想像することもあまりなかったのでとても良い機会になりました。
―広島市内高校生参加者
座学は集中力を失ってしまいがちだけれど、マインクラフトなどを使って自分で作る、という活動となると、もっと真剣に平和について考えることができるので良い教育方法だと感じました。
―広島市内高校生参加者
同ワークショップは、デジタル技術を活用した創造的な平和学習とストーリーテリングの実践に、セクター、世代、国境を超えてともに取り組む貴重な機会となりました。
被爆80年の節目である2025年、広島県、広島市をはじめ、多くの関係者やパートナー機関の協力を得て、この被爆80年記念事業を無事に終了しました。そこで育まれた若者のデジタル・ストーリーテリングの力と創造的な取り組みは、社会に広がり、平和で包摂的な未来づくりに寄与することが期待されます。国連ユニタールは、本事業にご協力いただいた関係者ならびにパートナー機関に感謝するとともに、皆さまとともに持続可能な発展に向けた取り組みを推進していきます。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。2003年に設立された国連ユニタール広島事務所は、平和と復興の象徴である広島を拠点に、平和構築や核軍縮、紛争や災害からの復興に関する国際的な研修を展開し、世界の持続可能な平和と繁栄の実現に貢献しています。https://www.unitar.org/ja/hiroshima