国連ユニタール持続可能な繁栄局ニュースレターの第4号をお届けします。国連ユニタールの様々なプログラムや取組をご紹介しています。既刊についてはこちら(英文はこちら)。Facebook、Instagram、LinkedIn、Twitterをフォローしていただくと、最新情報をご覧いただけます。ニュースレターご購読のお申し込み・解除、ご質問・ご意見は、prosperity_communications@unitar.orgまでメールをお送りください。
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世界経済フォーラムとの連携
国連ユニタールは、世界経済フォーラムにおいてシュワブ財団が主導する社会起業家のためのグローバル・アライアンスに新たに加わりました。グローバルアライアンスは、新型コロナウイルスのパンデミックの最前線にいる社会起業家への支援を結集するため、新型コロナウイルスへのレスポンス・アライアンスとして2020年4月に発足。このほど装い新たに、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(2022年5月22日~26日、ダボス(スイス))でグローバル・アライアンスとして生まれ変わり、国際的に著名な100団体と推計10万人以上の社会起業家が参加しています。ユニタールは社会起業家を支援するための専門知識を提供しているほか、修了生や研修生のネットワークと、世界中から集まった同じ志を持つ協力者たちとをつなげることができたことをうれしく思っております。
パンデミック後初のハイブリッド型研修(イラクの若手起業家支援)
2022年3月に終了した国連ユニタール持続可能な繁栄局「新型コロナウイルス対応・復興支援プログラム:食糧不安、公衆衛生、失業に対処するためのレジリエントな起業家の結集-イラクの若者のために」において、バグダッド(イラク)でワークショップを開催しました。新型コロナウイルスのパンデミックによりオンラインでの研修に変更を余儀なくされるようになって以来、持続可能な繁栄局では初めての対面式のプログラムです。オンラインでの研修と対面でのグループ学習を組み合わせた新しいハイブリッドな研修モデルの幕開けとなりました。
イラクでは、2016年から若手起業家への研修を行っています。2021-2022年のプログラムでは、180人以上が参加し、スタートアップや中小企業でのビジネスを通じて今日の複雑な課題の解決策を紐解くためのツールを身につけました。2022年3月25日には、公開ウェビナー「青年層のエンパワーメント:イラクにおける包括的な起業家精神の育成」を開催。過去6年間にわたるユニタールのイラクでのプログラムを振り返り、若者のアクセシビリティと成長を促す取組について議論しました。
コロンビアビジネススクールとデジタルヘルスに関するパートナーシップ樹立
2022年3月、ユニタールとコロンビアビジネススクールエグゼクティブエデュケーションは、デジタルヘルスとテクノロジーに関する新たなパートナーシップを結びました。新たな研修コース「ユニタール デジタルヘルスを活用した社会的起業」が、両者ともに取り組む初のプログラムとなります。アフリカや中東の研修生に、健康・衛生に関する社会的なビジネスやデジタル技術に関するスキルを身に付ける機会を提供します。
このコースは、コロンビアビジネススクールのヘルスケア&ファーマシューティカル・マネジメントプログラムのファカルティディレクターであるCarri Chan教授が講師を務め、参加者に人工知能や分析など、医療関連のデジタル技術の主要なトレンドを紹介しました。ユニタール持続可能な繁栄局長の隈元美穂子は、「世界で最も革新的で先進的な機関と協力し、女性や若者が自分たちのコミュニティを変えるためのツールを身につけることができることを嬉しく思います」と述べています。
ヨルダン・レバノンでのジェンダーエンパワーメントプロジェクト
「ジェンダーエンパワーメントNow!プロジェクト」の新たなコースが、2022年4月5日に始まりました。キプロス政府からご支援いただいており、ヨルダンとレバノンの政府関係者を対象に、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関する政策立案スキルと知識を構築することを目的としたプログラムです。
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに取り組む約50名の政府職員が、10週間にわたり、それぞれの国や省庁やジェンダー主流化の取り組みに関してどのように行動するべきかを学びます。オンラインコースでの学びや、専門家とのウェビナー、グループディスカッション、相互評価、メンタリング、ネットワーキングのセッションに参加します。
貿易・食料安全保障・栄養に関するオンライン講座をFAOと共同開催
ユニタールは、国連食糧農業機関(FAO)と、東部・南部アフリカのための4週間のオンラインコースを共催で実施する協定を締結しました。2022年5月23日から6月17日にかけて実施されます。2019年に行われた貿易・食料安全保障・栄養に関するプログラムを拡張・更新した研修となります。農業政策の策定に直接携わる政府職員を対象としています。
地域ごとに貿易に関連した開発を支援することが急務となっている中、国や地域の貿易についての優先順位や課題を明確にするために、様々なレベルでの団体・機関の能力を開発することがますます求められています。このコースは、貿易政策の実施や貿易協定の立案・交渉、経済成長、食糧安全保障、構造改革のためのニーズを管理する職員のスキルを強化することを目的としています。
国際貿易協定における農業(2019年)および貿易、食料安全保障、栄養(2020年)に関するプログラムの実績をご覧ください。※このストーリーは2021年末に公開されたものです。
公開セミナー:情報格差の解消
2022年3月24日、持続可能な繁栄局は、先進国と途上国の間に広がるデジタルディバイド(情報格差)に対処するための公開セミナー「デジタルディバイドの解消:デジタルリテラシーとインフラの強化」を開催しました。200人以上が参加し、デジタルインフラ開発者、サービスプロバイダー、政府関係者、デジタルスキルプログラムのファシリテーターなど、多様な専門家からの指摘に耳を傾け、アフガニスタン、イラク、アフリカ・サヘル地域におけるデジタル化の取り組みについても意見交換しました。
パネルディスカッションは、デジタルディバイドを解消するための起業機会を創出するデジタルインフラ開発へのアプローチについても及びました。デジタルインフラは、ユーザーが必要なスキルを持っていなければ、効果的に開発することはできません。若者や女性、社会的に弱い立場にある人々が技術と雇用の機会を確保し、デジタル経済と関わる機会を増やすには、デジタルスキルの研修が不可欠です。教育のほか、官民や国際的なアクターによるパートナーシップが、デジタル化の機会創出を促します。このため、草の根の取組が重要です。
参加者の声
トンガの災害リスク軽減に取り組むMele Moimoiさんは、2021年国連ユニタール広島津波防災(DRR)に関する女性のリーダーシップ研修に参加しました。トンガで最近発生した火山噴火と津波に直面した際、このプログラムでの学びが避難や復旧に役立ったと言います。
新型コロナウイルスのパンデミックがケニアに押し寄せる渦中、Maureen Ndutaさんはケニア・モンバサ沿岸で有機農業に関するビジネスの起業に取り組んでいました。Maureenさんは、「アフリカの女性起業家のための起業・イノベーション・リーダーシップ研修」で学んだ起業の手法を応用し、ビジネスを成長させ、コミュニティの女性たちの雇用・社会参画の機会ももたらしました。
教育のためのプラットフォーム開発でアフガニスタンの女性に希望を
Hosnaさんは、「インクルーシブな第四次産業革命(4IR)を牽引する:デジタルスキル向上によるアフガニスタン女性のエンパワーメントを目指して」の修了生で、19歳のアフガニスタン人です。イラクで学びながら、アフガニスタンの教育やジェンダー不平等の危機に立ち向かおうとしています。
Raghad Havさんは、「イラクの若手起業家育成・リーダーシップスキル向上プログラム」の研修修了後、She Codes Tooというイニシアティブを立ち上げ、母国の女性たちにコーディングを教え、ジェンダーについての偏見の解消に取り組んでいます。このたび、国連ユニタール協会とともに開催したWaffle Camp x SDGs Workshopに講師として参加し、これまでの学びの成果を伝えてくれました。
お知らせ
Sarah Anyang Agbor教授が持続可能な繁栄局諮問委員に就任
Sarah Anyang Agbor教授が国連ユニタール持続可能な繁栄局の諮問委員会の一員に加わりました。カメルーン出身のAgbor教授は、アフリカ女性教育者フォーラムアフリカ理事会の副会長を務めています。Agbor教授は、教育および研修に関する幅広い専門知識を有しており、若者や女性、社会的に弱い立場にある人々に学びやイノベーションなどの機会を拡大することや政策立案の支援に助言いただきます。アフリカ地域におけるユニタールの存在感が増すことにも期待しています。
日本のプロバスケットボールチームである広島ドラゴンフライズとユニタールは、持続可能な開発目標(SDGs)に向けて協力することに合意しました。2022年4月7日、広島ドラゴンフライズの浦伸嘉代表取締役社長とユニタールの隈元美穂子持続可能な繁栄局長が国連ユニタール広島事務所で署名式を行いました。広島ドラゴンフライズとユニタールは、それぞれの強みを生かし、(1)スポーツを通じた平和構築、(2)持続可能な開発、(3)格差の是正、(4)女性と若者のエンパワーメントの4つのテーマで協働していく予定です。署名式では、ユニタールのロゴが入った広島ドラゴンフライズのユニフォームも紹介されました。
アフガニスタン女性の経済的自立のための能力開発ワークショップをカブール(アフガニスタン)で開催
国連ユニタール協会(日本におけるユニタールの国内委員会)は、国連ユニタール持続可能な繁栄局、モラア教育施設(アフガニスタン・カブールの女性向け高等教育機関)とともに、「アフガニスタン女性の経済的自立のための能力開発」プログラムを開発しました。2022年4月、25名の参加者と対面でのワークショップを実施。国連ユニタール協会が2021年10月から11月にかけて行ったファンドレイジングキャンペーンで寄せられた寄付金によるものです。
2022年4月、国連ユニタール協会は、ウクライナの人々のための緊急募金を実施し、国際NGOPolish Humanitarian Actionの「SOS UKRAINE」プロジェクトを通じて現地の人道支援に貢献しました。日本各地より、約6,300ドルの寄付が寄せられました。国連ユニタール持続可能な繁栄局は、ウクライナ危機を深く憂慮しており、研修を通じて中長期的な支援にあたる方法について検討を進めています。
世界イノベーション経済会議への参加
2022年5月25日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会のサイドイベント(World Innovation Economics主催)に参加しました。持続可能な繁栄局長の隈元美穂子は、ユニタールが世界各地で行っている研修の革新的な学習ソリューションとその効果について話しました。また、同局のパートナーシップ担当者であるJudit Kozenkowは、ビジネス活動を成功させるための経済やデジタル化に関する青年層の研修について話しました。