• ウクライナの出版社に勤めていたOlha Vovchokさんは、20222月の戦争勃発によりウクライナからの避難を余儀なくされました。
  • Vovchokさんは、2023 年に日本政府のご支援のもとで実施された国連ユニタールの「生活基盤の向上を目指して:ポーランド在住ウクライナ避難民女性のためのデジタルリスキリング」研修に参加しました。
  • Vovchokさんは、ワルシャワのポーランド日本情報工科大学(PJAIT)との協力で実施された、広告・マーケティングデザインに関する研修プログラムを修了しました。
UNITAR

2024411日、広島 – ウクライナ、チェルカースィ州出身のOlha Vovchokさんは、国連ユニタールの「生活基盤の向上を目指して:ポーランド在住ウクライナ避難民女性のためのデジタルリスキリング」研修事業 の修了生です。Olhaさんは、同じように戦火を逃れてポーランドで避難生活を送る人々の集まるコミュニティの支援活動を行うために、自身の視野を広げる目的でこの研修に参加しました。

20242月にワルシャワで開催された「デジタル・チャンピオンズ・フォーラム」Vovchokさんは、大きなアヒルのぬいぐるみを抱えていました。参加者は、このアヒルの背後にある物語を知りたいと思いました。

Vovchokさんは、育児をしながらウクライナの出版社で働き、地域コミュニティの活動に積極的に参加していました。しかし、戦争が始まってすぐにポーランドへ避難し、新たにポズナンに避難しているウクライナの子どもたちを支援するための読み聞かせワークショップを立ち上げました。その後も彼女は、演劇クラブやポーランドとウクライナの文化活動ワークショップを始めました。

新しい環境は、Vovchokさんにとってスキルを磨き、新たなチャンスを見つけるきっかけとなり、さらに彼女を国連ユニタールの研修プログラムへと導く機会となりました。馴染みのない国では何もかもが初めてで、特に言葉の壁がVovchokさんを含む多くのウクライナ人を苦しめました。しかし、国連ユニタールの研修では、「共通の目的のために協力した」ことで、講師との言葉の壁をすぐに克服できた、とVovchokさんは述べました。

「アヒル」の取組

研修プログラムの最終課題の一環として、Vovchokさんは「カチュール・クラブ」のプロジェクトを紹介しました。 「カチュール(Kachur)」はウクライナ語で雄のアヒルを意味します。ここでぬいぐるみの謎が明かされました。

「カチュール・クラブ」は若者に向けた活動拠点で、ウクライナ語で読書をしたり、舞台芸術を練習したり、ポーランドとウクライナの文化について学ぶ場です。ウクライナから遠く離れた子どもたちにとっては、祖国の文化に触れあい、話し合える大切なコミュニティとなっています。

「あなたの存在は大切」

Vovchokさんは、国連ユニタールの研修は彼女の自尊心を養うのに非常に重要であったと述べています。

[この研修は] 参加者一人ひとりが大切な存在であることを強調し、前に進むために必要なスキルと隠れた才能を芽生えさせる機会を与えてくれました。 …あなたは想像以上に強いのです、と後押ししてくれました。 ― Olha Vovchok、国連ユニタール研修修了生

Olhaさんは、本イベントについて以下の通り述べています。

参加者は今までと異なる視点から学ぶことができ、私たちが慣れ親しんでいるものとは違った方法やアプローチを体験することができました。国連ユニタールの皆さん、このような機会をありがとうございました! ― Olha Vovchok、国連ユニタール研修修了生

Vovchokさんは、ワルシャワのポーランド日本情報工科大学(PJAIT)との協力で実施された広告・マーケティングデザインに関する研修プログラムに参加しました。また、この研修を含む本事業は、日本政府のご支援のもとで開催されました。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

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