- アフガニスタン出身のZarif Ludinさんは、ACCA(Association of Chartered Certified Accountants:公認会計士協会)の機関間連携責任者として、会計、公共財政管理、専門人材育成に取り組んでいます。
- 2012年に国連ユニタールがジュネーブ高等国際・開発研究大学院との連携により、アフガニスタン財務省向けに開始したエグゼクティブ修士課程を、2016年に修了しました。
- 現在は、同プログラムで学んだ分析力、意思決定力、コミュニケーション力を活かし、会計を通じて公共財政管理システムの発展に貢献しています。
- 金融、サステナビリティ、デジタルイノベーション、起業、公共財政管理、倫理、価値創造の分野において、実践的な学習機会を広げるため、ACCAと国連ユニタールの新たなパートナーシップの実現に貢献しました。
アフガニスタン出身のZarif Ludinさんは、ACCA(Association of Chartered Certified Accountants:公認会計士協会)の機関間連携責任者です。2016年に国連ユニタールのエグゼクティブ修士課程を修了し、現在は会計専門職を通じて、世界各地の公共財政管理システムの強化に取り組んでいます。
Zarifさんは、今年5月に締結されたACCAと国連ユニタールの新たなパートナーシップの実現にも貢献しました。この連携を通じて、両機関は、金融、サステナビリティ、デジタルイノベーション、起業、公共財政管理、倫理、価値創造の分野において、実践的な学習機会を共同で設計・提供し、拡大していくことを目指しています。
ガバナンス向上を軸に築いてきたキャリア
現在は米国で暮らすZarifさんにとって、アフガニスタンは故郷です。同氏のキャリアは、自国のガバナンス、意思決定、そして人々の福祉を向上させたいという思いによって形づくられてきました。
国連ユニタールのプログラムに参加した当時、Zarifさんはアフガニスタン財務省のもとで、同国の会計専門職団体および会計専門職の規制機関であるアフガニスタン公認会計士協会(CPA Afghanistan)の設立を主導していました。
彼は、公共政策がどのようにつくられ、それが国の発展にどのような影響を与えるのかについて強い関心を抱いていました。市民が目にするのは完成した政策ですが、その背後には、詳細な分析、限られた資源の配分、倫理的な課題への対応といった、複雑なプロセスがあります。Zarifさんは、その舞台裏で何が行われているのかをより深く理解したいと考え、それが国連ユニタールのプログラムに興味を持ったきっかけでした。
政策の背後にある意思決定のプロセスをより深く理解し、公共政策について自分の言葉で語り、行動に移せる力を身につけたいと思っていました。― Zarif Ludin(アフガニスタン)、エグゼクティブ修士課程修了生
国連ユニタールでの実践的な学び
エグゼクティブ修士課程は、国連ユニタールがジュネーブ高等国際・開発研究大学院とのパートナーシップを通じて2012年に開始し、3期にわたり実施されました。本プログラムは、アフガニスタン財務省および国連ユニタール研修修了生の協力を得て開発されたものです。
Zarifさんは、講義が実践に根ざし、参加者が公共政策の現場で直面する課題や葛藤に直結していた点を高く評価しています。また、他国の専門家から学び、各国の取組を比較することで、ある国では成果を上げた手法が、別の国ではなぜ同じように機能しないのかを考える機会にもなりました。
私たちが学んだことは、単なる知識ではなく、日々の業務に直結するような実践的な力でした。
このプログラムを通じで、Zarifさんは、異なる専門性を持つ組織が連携することで、その相乗効果が大きな成果につながるということを実感しました。その経験は、ACCAと国連ユニタールが今回のパートナーシップを通じて目指す方向性とも重なっています。
学びを公共財政を支える力へ
現在、Zarifさんは、会計専門職の専門性を活かして公共財政管理システムの強化を目指す開発パートナーや国際機関と協働しています。アフリカ、アジア太平洋地域、欧州の一部で、財務報告の改善やサステナビリティ開示基準の導入支援、会計専門人材の育成、監査・会計規制の強化などに携わっています。
国連ユニタールのプログラムで培った分析力、意思決定力、コミュニケーション力は、今もZarifさんの日々の業務を支える確かな土台となっています。彼は、本プログラムを通じて、現在協働している多くの上級専門家たちと共通の理解に立って議論する力を身につけたと語ります。また、大量の情報を的確に分析し、限られた時間の中で判断を下す力を養ううえでも、本プログラムでの経験が大きな支えになったと述べています。
会計が社会を支える力に
Zarifさんは、会計が退屈で狭い分野だという見方に強く異を唱えます。企業の成功が、財政面だけでなく環境・社会の持続可能性も含めて評価されるようになる中、会計専門職はますます重要な役割を担っていると語ります。
彼にとって会計は、イノベーションを切り拓き、AIのような新たな技術を取り入れながら、成長の可能性を広げる刺激的な専門職です。AI、新興技術、サステナビリティ、起業など、あらゆる分野において、知識、専門性、革新性、意欲を備えた会計専門家の存在が求められていると語ります。
会計は、企業、スタートアップ、公共機関など、すべての組織を支える基盤です。
Zarifさんは、人々の機会を広げ、可能性の扉を開き、未来を形づくる会計専門職に、より多くの人々が関われるよう支援したいと考えています。そのような思いから、これまで個人として国連ユニタールのプログラムを支援してきた同氏にとって、ACCAと国連ユニタールを組織レベルで結びつけ、より大きなインパクトを目指すことは、ごく自然な流れでした。
国連ユニタールが持つ広いネットワーク、誰もが学びやすい環境、そして価値観は、学びやスキル向上の機会を求める人々に研修を届けるうえで大きな強みになると、Zarifさんは考えています。そこに、ACCAの専門資格と、公共の利益に貢献するという使命が加わることで、両機関は金融・会計分野における専門人材育成の水準をさらに引き上げることができると期待しています。
このパートナーシップを通じて、Zarifさんは各国における会計専門職の育成と公共財政管理システムの強化を後押ししたいと考えています。同氏は、「かつて国連ユニタールのプログラムで学んだ自分が、今はそのパートナーとして関われることを大変光栄に思います。」と語ります。
国連ユニタール・ACCAパートナーシップについて
2026年5月29日、国連訓練調査研究所(UNITAR)とACCA(Association of Chartered Certified Accountants:公認会計士協会)は、世界中の人々に向けた能力開発の機会を拡大するため、覚書を締結しました。本合意のもと、国連ユニタールとACCAは、金融、サステナビリティ、デジタルイノベーション、起業、公共財政管理、倫理、価値創造の分野において、実践的な学習機会を共同で設計・提供・拡大します。
このパートナーシップは、ACCAが持つ世界的に認められた資格、認定学習コンテンツ、広範なネットワークと、国連ユニタールが持つ世界規模のネットワークとおよび能力開発分野における長年の実績を結びつけるものです。両機関の強みを相互に活かし、より大きな成果の実現を目指します。
ACCAについて
ACCA(Association of Chartered Certified Accountants:公認会計士協会)は、世界各国で会計・財務分野の専門資格や学習機会を提供する国際的な会計専門職団体であり、180か国に257,900人を超える会員と530,100人を超える将来の会員を擁する多様なコミュニティを支えています。
ACCAは、会計専門職のあり方を再定義しています。国際的に評価される最先端の資格、継続的な学習機会、専門的な知見は、あらゆる分野の雇用主から高く評価されています。これらを通じて、個人がビジネスと金融に関する専門性に加え、倫理的な判断力を身につけ、世界中の組織や経済において持続可能な価値を創出し、変革を主導していく力を育みます。
ACCAは、政策立案者、基準設定機関、ドナー・コミュニティ、教育者、その他の会計専門職団体と連携し、人、地球、繁栄に焦点を当て、すべての人に価値を生み出す会計専門職の強化と構築に取り組んでいます。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(国連ユニタール)は、1965年に設立された研修事業に特化した国連の専門機関です。質の高い研修と研究、革新的な学習ソリューションを通じて、人々の知識とスキルの向上を図ることを使命としています。
国連ユニタールは、戦略的パートナーシップとグローバルな学習プラットフォームを通じて、個人の能力開発と、特に脆弱な状況下にある機関・組織の能力強化に取り組み、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」および「未来のための協定(Pact for the Future)」の実現を推進しています。
詳しくは国連訓練調査研究所(国連ユニタール)広島事務所をご覧ください。