- ケニア出身でデジタルリテラシーの推進者であり障がいを持つBetty Mwendeさんは、2023年の国連ユニタール「アフリカの女性と若者のためのエッセンシャル・デジタルスキル開発:デジタル経済における雇用機会と生活向上の促進」研修を修了しました。
- ベティさんは、地域の子どもたちに基本的なパソコンスキルを教えるボランティア活動を行い、デジタル格差を解消する手助けをしています。
- 「国連ユニタールの研修は、プロジェクトマネジメントとデジタルスキルを向上させ、自信を深める貴重な経験でした。
- 日本政府の資金提供の下で実施された同事業は、アフリカの7,000人の女性と若者に、データ分析、ソフトウェア開発、プロジェクトマネジメント、ビジネス分析、人工知能、そしてリーダーシップやネットワーキングといったソフトスキルを提供しました。
ケニアのデジタルリテラシー格差の解消
田舎のコミュニティで育ったMwendeさんは、高校に入るまでパソコンを使う機会がなく、デジタルツールに適応するのに苦労しました。彼女は、パソコンの電源を切る方法さえ知らなかったことを恥ずかしく思ったことを振り返ります。この経験が、他の人々が同じような困難を避けられるよう手助けしたいという切実な思いを芽生えさせました。
Mwendeさんは変化をもたらす責任を感じ、自ら行動を起こしました。彼女と友人たちは、11歳から13歳の子どもたちを対象に、彼女の村でデジタルリテラシー研修を開催することにしました。Mwendeさんたちのデバイスを持参し、Microsoft のWordを使う方法や、YouTubeなどのオンラインプラットフォームの使い方など、基本的なパソコンスキルを子どもたちに教えました。
資源の不足や、パソコンへのアクセスの限界、そしてデジタル格差の急速な拡大という課題に日々直面しました。そのような中でもMwendeさんは恐怖を克服し、啓発活動を始めるための自信を築くことができました。彼女は、デジタル時代に地域コミュニティの誰一人も取り残さないために尽力することを決意しています。
誰一人取り残さないエンパワーメント:啓発活動とリーダーシップのためのスキル
Mwendeさんの道のりは、国連ユニタール「アフリカの女性と若者のためのエッセンシャル・デジタルスキル開発:デジタル経済における雇用機会と生活向上の促進」研修と出会ったことにより大きく変わりました。日本政府の支援を受け、マイクロソフト東アフリカ社およびIBM社と協力して実施されたこの研修事業は、デジタル主導の世界でアフリカの女性と若者の就業力と競争力を高めることを目的としています。2023年11月から2024年3月まで、サハラ以南アフリカ24か諸国から7,000人の女性と若者に、データ分析、ソフトウェア開発、プロジェクトマネジメント、ビジネス分析、人工知能、リーダーシップやネットワーキングなどのソフトスキルが提供されました。
Mwendeさんはその機会に興味を持ち、研修に応募し、Microsoftトラックに選ばれました。第1フェーズのオンライン研修では、Bettyさんは理論的でありながら実務環境にも適用できる基本的なデジタルスキルを習得しました。国連ユニタールで学んだことを活かし、Mwendeさんは民間の慈善団体が主催するデザインおよびピッチコンペティションで優勝しました。その賞金は1,000米ドルで、Bettyさんはその資金を使って地元の村の女子児童のために、デジタルスキル研修を提供するためのノートパソコンを購入しました。
その後、Mwendeさんは国連ユニタールの研修の第2フェーズに進み、自己主導型のプロジェクトを開発し、オンラインでのブートキャンプに参加しました。最終フェーズである第3フェーズでは、ナイロビで、持続可能性とコミュニティリーダーシップに関する対面型の研修ワークショップが行われ、Mwendeさんにとってはこの部分が最も印象に残るものとなりました。このワークショップでは、さまざまな分野からの人々とネットワーキングをし、多くの参加者が長年プロとして経験を積みながらもなお、デジタルリテラシーのスキルを高めようとしている姿に感動を覚えました。Mwendeさんはそこで築いたつながりから多くのインスピレーションを得ました。
Mwendeさんは、岡庭健駐ケニア共和国日本国特命全権大使や、国連ユニタール広島事務所の三上知佐所長に自身のアイデアや経験を伝えることで、自信を深め、彼女の活動へのさらなる注目を集めました。また、メディアによる取材を通じて、彼女は自分の啓発活動を広範な聴衆に向けて発信することができました。
国連ユニタール、マイクロソフト社、IBM社、そして日本政府と国民の皆さまには、心から感謝申し上げます。共に、私たちはジェンダーとスキルの格差を縮小し、より包摂的で強化された未来への道を切り開いています。" — Betty Mwende, 国連ユニタール研修修了生(ケニア)
Mwendeさんは、プロジェクトマネジメントとリーダーシップのスキルを活かし、デジタルリテラシー推進の取り組みを整え、持続可能なものにすることを目指しています。また、学んだことを活かして、より包摂的なデジタル未来を築くことを望んでいます。
「デジタル空間に踏み出す」:女性、取り残された若者、障がいをもつ人々に向けて
Mwendeさんは、特に女性、取り残された若者、そして障がいを持つ人々に対してデジタル空間に踏み出すことを呼びかけています。自身も障がいを持っており、5年から10年前にはテクノロジーを学ぶことが想像もできなかったと振り返ります。しかし、テクノロジーの分野がますます包括的になっている今、障がいを持つ女性にとってはこれ以上にないチャンスだと信じています。
Mwendeさんは、女性や若者に、たとえ難しいと思えることでもチャンスを掴み、前向きに取り組むよう励まします。「誰もあなたの代わりに行ってくれません。自分で決断しなければなりません」と語り、ネットワーキングや実務スキルの習得、障がいを乗り越えるための決意を持つことを推奨しています。
成功する人は、何度も挑戦し、面接に行って、毎日顔を出す人です。だから、諦めずにチャレンジし続けること。そして自分を信じてください。" — Betty Mwende、国連ユニタール研修修了生(ケニア)
将来について、Mwendeさんは引き続き村の子どもたちへのデジタルリテラシー研修を行う予定です。しかし、彼女は疎外された地域の若者たちにデジタルリテラシーを提供するためのより大きい規模での組織を立ち上げ、運営する準備も整ったと感じています。「社会で取り残された人々、都市のスラム街に住む人々は、今も貧困状態が続いています。これはデジタルリテラシーを学ぼうとする若い子どもたちにも影響を及ぼしています」とMwendeさんは述べています。私は、デジタルリテラシーに関して誰一人取り残さないようにするつもりです。」
国連ボランティア Faizah Faizahさんのご協力のもと記事化されました。
英文記事は以下からご覧いただけます。
Closing the Digital Gap for Marginalized Youth in Kenya: Betty Mwende
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2023年には、世界中で54万人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくはウェブサイトから(国連訓練調査研究所(ユニタール) 広島事務所 )。