• Lavinia Taumoepeau-Latuさんは、トンガ初の安全・保護クラスター調整官です。彼女は、2018年度国連ユニタール事業「津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」に参加しました。
  • Taumoepeau-Latuさんは同プログラムで災害リスク軽減の原則について知り、この知識は現在の彼女の災害管理の仕事の基盤となっています。
  • 国連ユニタールは以前、トンガの災害時の標準業務手順を開発し、コミュニティと政府間の関係を促進するTaumoepeau-Latuさんの活動を特集しました。特集から6年が経った今、Taumoepeau-Latuさんがどのような活動に取り組んでいるか、さらなる取材をしました。
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2024823日、広島 - トンガはもう、津波やサイクロンが引き起こす災害に対して無防備な国ではありません。トンガ系アメリカ人であるLavinia Taumoepeau-Latuさんは、防災訓練や教育を通じて、母国がこのような災害に対してより良い備えができるよう、強い使命感を抱いて取り組んでいます。

20185月、国家危機管理局(NEMO)でトンガの安全・保護クラスター調整官に任命されたばかりの Taumoepeau-Latuさんは、国連ユニタールの「津波防災に関する女性リーダーシップ研修」に参加する機会を得ました。6年たった今も、Taumoepeau-Latuさんはトンガの人々が災害に備えることができるよう、活動に情熱を燃やし続けています。

国連ユニタール研修での気づき

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日本政府の支援を受けて実施される国連ユニタールの災害リスク軽減研修事業は、小島嶼開発途上国の女性を対象に災害リスク軽減のリーダーシップ研修を行っています。2018年度のプログラムで、 Taumoepeau-Latuさんは災害リスク軽減の原則について初めて学び、また、国連加盟国に対し、災害リスクから開発の進歩を守るための具体的な行動指針を提供する主要な協定である「仙台防災枠組」についても理解を深めました。

災害リスク軽減の原則や人道支援機関が重視している基準、政府における持続可能な開発目標、それが 仙台防災枠組とどのように関係し、整合しているのか (...)、それが私の研修での学びであり、気づきの瞬間でした。―Lavinia Taumoepeau-Latu、災害管理の専門家、国連ユニタール研修修了生(トンガ)

国連ユニタールの研修は、 Taumoepeau-Latuさんがトンガ初の安全・保護クラスター調整官の務めを果たし、さらに後任者のための基礎を築くことに役立ちました。同研修から帰国後、 Taumoepeau-Latuさんは学んだことや、研修をともに受けた女性たちから受けた刺激を忘れず、トンガの他の集団の手本となる災害時の標準業務手順、職務権限規程、行動規範の策定に貢献しました。

国連ユニタール研修をモデルにした研修カリキュラムの開発

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津波のような災害に対処するためには、地域レベルでのリスク軽減が不可欠であるため、 Taumoepeau-Latuさんは常にトンガのコミュニティレベルでの能力強化の必要性を強く感じてきました。

家庭の事情で2020年に米国に帰国した Taumoepeau-Latuさんは、国際緊急・災害管理の修士号を取得しました。そして、トンガの地区・町役場の職員を対象とした研修カリキュラムを開発するための奨学金を獲得しました。彼女はトンガに1年間滞在し、トンガの文化的文脈に沿った効果的なカリキュラムを開発するために、職員や地域住民からの情報収集や意見聴取を行いました。

Taumoepeau-Latuさんは、国連ユニタール研修で学んだ基礎が、今の彼女の仕事につながっていると述べています。

国連ユニタールの研修で経た時間は、私のキャリアの基礎を作り、津波や災害の管理の見方を刷新したものであったと感じています。―Lavinia Taumoepeau-Latu、災害管理の専門家、国連ユニタール研修修了生(トンガ)

彼女の携わる地区・町役場職員向けの研修カリキュラムはついに完成し、トンガ語に翻訳されました。同カリキュラムは今年中に確認され、承認を経て、実用化される予定です。

日常生活でのより良い備え

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2022年のフンガトンガ火山噴火と津波の発生時、 Taumoepeau-Latuさんはアメリカにいました。トンガから遠く離れた彼女は、日本にいたトンガ人の研修同窓生のSandy Siutiti Tuipulotu さんとSimata-e-la'ā Paluさんと連絡を取り合い、お互いに心を支え合いました。3人は、遠く離れたトンガの家族や友人を助けるために何ができるかを話し合い、計画しました。

中には、全く備えができていない人もいました。(…)災害時に意志決定する人たちでさえ、準備不足なのです。―Lavinia Taumoepeau-Latu、災害管理の専門家、国連ユニタール研修修了生(トンガ)

国連ユニタールが他にできることは何かと尋ねると、 Taumoepeau-Latuさんは若者のエンパワーメントを挙げました。トンガの人口は比較的若く、人口の3分の1以上が若者と推定されています。彼女は、2018年のサイクロン・ギタによって日常生活が破壊された後、若者の間で学校の中退や犯罪率が増加したことを振り返りました。災害復興時には、若者の災害被害へのレジリエンスの備えを高め、災害リスク軽減へのより活発な関与を促し、遅延なく心理社会的サポートを提供することが優先事項です。「国連ユニタールのユース向けプログラムは、若者を巻き込むすばららしい方法だと思います」と彼女は述べています。

国連ユニタールの研修が継続的な効果をもたらしていることは、 Taumoepeau-Latuさんの歩みを見れば明らです。国連ユニタールは、 Taumoepeau-Latuさんのようなリーダーが今後も増え、政策が持続的に改善され、効果的な災害リスク軽減の基盤が築かれることを期待しています。

 

英語版は以下からご覧いただけます。

6 Years On: Improving District-Level Disaster Preparedness in Tonga | UNITAR

国連ボランティア Daphne KW Tsoiさんのご協力のもと記事化されました。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

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