- 国連訓練調査研究所(ユニタール)は、「早期警報システムを用いた気候危機への緊急対応:だれ一人取り残さないために」研修事業の第2フェーズの活動として、太平洋島嶼国11か国から約30名の政府関係者や専門家を迎え、日本での12日間のスタディツアーを開始しました。
- 本スタディツアーは、専門家による講義や現地視察、グループワークを通して、太平洋島嶼国の人々や地域コミュニティが気候関連の異常気象を含む自然災害の早期警報信号を効果的に伝達、監視、分析し、対応するための知識と技能を習得することを目的としています。
- 広島で開催された開会式では、三上知佐国連ユニタール広島事務所長が挨拶し、自然災害に対する効果的な備えと対処に関するスキルをさらに深めるよう、参加者らを激励しました。
2024年11月11日、広島 - 2024年11月11日、国連訓練調査研究所(ユニタール)は、「早期警報システムを用いた気候危機への緊急対応:だれ一人取り残さないために」研修事業の第2フェーズの活動として、太平洋島嶼国11か国から約30名の政府関係者や専門家を迎え、日本でのスタディツアーを開始しました。研修参加者らは本日より12日間にわたり、広島市、京都市、神戸市、東京都内、つくば市、千葉県柏市、埼玉県春日部市を訪れ、専門家による講義や現地視察、グループワークに臨みます。
この研修事業は、太平洋島嶼国の人々や地域コミュニティが気候関連の異常気象を含む自然災害の早期警報信号を効果的に伝達、監視、分析し、対応するための知識と技能を習得することを目的とし、日本政府の資金提供のもとで国連ユニタールが実施しています。
日本スタディツアーの内容
日本でのスタディツアーを通して、参加者らは自然災害から生じる課題や解決策を検討し、信頼性のあるタイムリーな気候情報の発信の促進や、マルチハザードに対応した早期警報システムを国や地域コミュニティに導入する方法を学びます。
スタディツアー期間中、参加者は指導を受けつつ、地元コミュニティでの災害リスク軽減のための早期警報システムの導入を想定した計画を練り上げ、最終日には国別にグループ・プレゼンテーションを行う予定です。また、このスタディツアーでは、参加者間でのネットワーキングの機会を提供し、太平洋島嶼国全域でのレジリエンスの強化を目指した連携メカニズムの構築に貢献します。
活動日程
スケジュールは以下を予定しています。(最終プログラムは変更になる可能性があります)
広島
- 11月11日:開会式、専門家による講義(早期警報システムの紹介など)、広島平和記念公園にて献花
- 11月12日:広島市豪雨災害伝承館の見学、広島テレビ放送株式会社の訪問・講義(早期警報や防災におけるメディアの役割などについて)
- 11月13日:広島市による講義、ひろしまNPOセンター訪問・講義(モバイルアプリケーションを活用した早期警報システムの取組、インクルーシブな災害対応などについて)
京都・神戸
- 11月14日:京都大学にて専門家による講義(文化遺産保護のための早期警報システムや備えと災害への備えと対応について)
- 11月15日:京都市役所にて講義、人と防災未来センターの見学
首都圏エリア
- 11月18日:東京大学柏キャンパスにて専門家による講義、柏の葉スマートシティツアー、東京大学生産技術研究所グローバル水文予測センター視察
- 11月19日:宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センター見学
- 11月20日:江東区水害対策など視察
- 11月21日:気象庁にて講義、首都圏外郭放水路の見学
- 11月22日:国連大学にてグループ発表、閉会式
広島での開会式
11月11日、広島市内にて同スタディツアーの開会式が行われました。三上知佐国連ユニタール広島事務所長は、気候レジリエンスに対する参加者らの取組を評価するとともに、研修の第1フェーズの成績上位者として日本での研修に招かれた参加者らを祝福しました。さらに三上所長は、この学びの機会を活かし、地域コミュニティを異常気象などによる災害から守るための効果的な対応を見極め、迅速に行動するスキルを深めるよう、参加者らを激励しました。
また国連ユニタールのプログラムチームは、第2フェーズの上位15名が第3フェーズに進み、フィジーで実施されるワークショップでプロジェクト案の最終プレゼンテーションを行うと発表しました。
「早期警報システムを用いた気候危機への緊急対応:だれ一人取り残さないために」研修事業について
同研修事業は、太平洋島嶼国の人々や地域コミュニティが自然災害の早期警報信号を効果的に伝達、監視、分析し、対応するための知識と技能を習得することを目的としています。これにより、人命を救い、社会経済への災害被害を軽減することに貢献します。
オンラインで実施された研修第1フェーズには、太平洋島嶼国16か国から集まった200名を超える熱心な 実務者や専門家が参加しました。受講生らは、2か月間にわたるオンライン学習を通じて、早期警報シス テム(EWS)に関するリスク評価やツール、知識、技術についての理解を深めました。研修の第1フェーズで優秀な成績を収めた受講生が、第2フェーズの参加者として選ばれました。
この事業は、国連ユニタールが日本政府の資金提供により実施する「しまなみコレクティブ」プログラム の一環として実施されています。同プログラムは、特に若者と女性のエンパワーメントに重点を置き、ア ジア太平洋地域災害に対するレジリエンスの構築と海洋と人間の安全保障強化のための一連の研修プ ログラム(「海洋と人間の安全保障」、「早期警報システム」、「津波防災に関する女性のリーダーシップ」) で構成されています。
国連ユニタールの早期警報システムに関する研修 オンライン実施の第1フェーズ関連記事
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。