- 2024年12月21日、250名以上の研修参加者が国連ユニタール「スーダン緊急支援:組織能力と生計向上を通じた社会経済の安定促進」研修事業 の第1フェーズを修了しました。
- 紛争が勃発してから約2年が経過した今、スーダンは依然として政情不安、経済の低迷、数百万人の強制移動に苦しんでいます。
- 日本政府の支援により開催されている国連ユニタールのオンライン研修事業は、参加者にデジタル分野と起業におけるスキルを提供しています。これにより、気候変動に強い革新的なビジネスを立ち上げ、食料不安や貧困の課題への取り組みを促進することを目指しています。
- 第2フェーズは2月上旬から始まっており、オンライン・ブートキャンプの後、2日間のバーチャルハッカソンを行います。また、上位20名の参加者は今後第3フェーズへと進みます。
2025年2月4日、ジュネーブ、スイス - 2024年12月21日に250名以上の女性と若者が国連ユニタール「スーダン緊急支援:組織能力と生計向上を通じた社会経済の安定促進」研修事業の第1フェーズを修了しました。日本国政府拠出の本事業は、2024年8月より開始されました。スーダンでは紛争が勃発してから約2年が経過し、依然として拡大し続ける人道的危機に直面する中、同事業では、スーダン国民が食料不安と貧困に対処できるよう、農業ビジネスを中心に起業家精神を育成し、デジタルリテラシーと気候変動への適応力を高めることを目指しています。
紛争や強制移動の影響を受けたスーダンのコミュニティの生計再建と平和構築の取り組みを支援することは、国の未来にとって重要です。また、国民の能力開発の機会に対する需要が高まっています。それに応じて、国連ユニタールのこの研修事業は当初150名の参加者を対象にすることを計画していましたが、特に女性からの広範な参加の必要性と、人々の生活を脅かし国の成長を妨げる継続的な暴力に対する持続可能な対応の重要性を認識し、研修対象を300名に拡大しました。
第1フェーズ「豊かな未来のためのレジリエントな成長」
本研修事業は3つのフェーズから構成されており、第1フェーズの「豊かな未来とレジリエントな成長」は、2024年8月から12月までオンラインで実施されました。研修参加者は、主に起業家精神、イノベーション、デジタルスキル、広島の戦後復興について学びました。
第1フェーズでは、計24のウェビナーが実施され、個別指導の機会も補足として提供されました。参加者は非同期学習モジュールを終了し、同時に研修参加者でスキルの共有や交流を行うコミュニティの構築に励みました。このオンライン研修は、多くのスーダン人にとって地域と繋がる生命線となり、特に紛争のために故郷を離れざるを得なかった人々にとって大切な学びと繋がりの機会となりました。約5か月にわたって開催された第1フェーズでは、専門家主導のセッション、研修生参加型のウェビナー、また、ビジネス業界、金融機関、規制機関、政府の専門家からの指導が含まれていました。これらの専門家は、参加者がビジネスプランを企画立案するために必要なアドバイスを提供しました。
第1フェーズの成果
本研修から得られた重要な成果の一部は以下の通りです。
女性と若者のエンパワーメント:女性の参加に重点を置くことで、彼女たちの経済的なエンパワーメントを促進したのみならず、コミュニティ全体の発展の触媒となる女性の役割を示しました。
専門家によるビジネスモデルと起業機会の講義:ビジネスモデルの設計とビジネス企画の立案に関するセッションは、特に農業部門における起業とビジネスの持続性に関する実践的な洞察が得られ、高く評価されました。地域のビジネス専門家は、参加者がスーダンだけでなく周辺地域市場全体に価値を創造できるよう支援しました。
インタラクティブなウェビナーと実例:参加者主導のウェビナーは、参加者同士の学び合いを促進し、起業や地域参画の成功事例を提供しました。これらのインタラクティブな形式は、学習をより魅力的にし、日常の課題に直接適用できるものとなっています。
デジタルスキルと新技術:参加者はデジタルリテラシー、人工知能(AI)、ブロックチェーンにおける専門的なスキルを強化し、変化し続けるテクノロジー主導の市場における包摂性とレジリエンスの向上への道を開きました。特に、国連ユニタール研修修了生のInshirah IdrisさんによるAIと技術に関するメンター指導が注目されました。彼女の経験は地域を超え、女性のためのスキル構築と新技術とビジネスを結びつける重要性を強調しています。
第2、第3フェーズについて
本研修事業の第2フェーズは2月に開始しています。第1フェーズから選抜された約40名の参加者は、1か月のブートキャンプに参加し、その後二日間のオンライン・ハッカソンを実施します。また、第2フェーズの成績優秀者20名は、更に3月に予定されている第3フェーズ(2週間程度の研修)へと進みます。
第2フェーズ:「レジリエント・スクワッド」(困難な状況で乗り越えるための結束力)
- ビジネスプランのピッチ
- スーダン、ケニア、ウガンダの起業成功者によるメンター指導
- エコシステムの関与 - Investment, Savings and Social Development Bankの責任者Awadallah Babiker氏や、Savings and Social Development Bankのガダーレフ支店長Mohammed Ishag氏など、多様な関係者との情報交換と交流
第3フェーズ「平和と繁栄のためのレジリエンスある未来」
第2フェーズより選抜された20名の成績優秀者は、ビジネスセクター、金融、政府機関の専門家などが出席するグローバルな聴衆に各自のビジネスプランを発表し、資金調達の機会を得ます。各自の発表は、雇用創出の可能性、市場ニーズとのギャップやビジネスチャンスの理解、持続可能性とイノベーション、『Build Back Better(よりよい復興)』、実行能力といった基準に基づいて評価されます。
研修参加者の声
国連ユニタール研修の第1フェーズの内容は新しい発見が非常に多かったです。自分のビジネスアイデアについて再度見直すきっかけとなり、よりしっかりとした計画を立てるための枠組みを提供してくれました。今では自分の能力に自信を持てるようになりました。—Salma Kamil、国連ユニタール研修参加者、ガダーレフ州
紛争のために避難を余儀なくされ、未来についての不安で途方に暮れていました。しかし、この研修のおかげで前向きに立ち直ることができました。また、従来の政府職に限らず、他にも多くの選択肢があることに気づきました。この研修は私に実践的なビジネススキルと新たな希望を与えてくれました。 - Khadija Adam Ahmed、国連ユニタール研修参加者
国際機関が主催する起業家研修事業に参加することは、私にとって大きな変化をもたらす経験であり、ビジネスの世界をナビゲートするための重要なスキルを身につけることができました。この包括的な研修は私の起業家精神を高め、機会の特定や課題への対処、そしてグローバルなビジネス環境に意味のある貢献をする準備を整えることができました。-Dahab Abaker Dahab Elnour、国連ユニタール研修参加者
英文は以下からご覧いただけます。
Over 250 Women and Youth Complete Phase One of Livelihood Development Programme in Sudan | UNITAR
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2023年には、世界中で54万人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくはウェブサイトから(国連訓練調査研究所(ユニタール) 広島事務所 )。