• 国連訓練調査研究所(ユニタール)は、一般社団法人国連ユニタール協会との共催で、2026223日から227日まで、アジア太平洋諸国14か国から外交官15名を迎え、第11回「核軍縮・不拡散広島研修」を広島で実施しました。
  • 研修生は、国連ユニタールの研修顧問3名や長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の研究者から、現在の世界情勢下での核兵器を巡る議論や核兵器不拡散条約(NPT)運営検討会議などの国際会議で核軍縮を推し進めるための交渉術を学びました。
  • 広島平和記念公園や平和記念資料館を見学し、被爆者講和を通じて被爆の実相を学んだ研修生は、国連ユニタール広島青少年大使などの若者や広島の研究者とともに、2050年までに核兵器廃絶を可能にするための行動計画を考え、平和都市・広島における活動への知識を深めました。
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2026年3月4日、広島国連訓練調査研究所(ユニタール)は、一般社団法人国連ユニタール協会との共催で、2026223日から27日にかけて、第11「核軍縮・不拡散広島研修」を実施しました。広島県および広島市の資金提供を受けて実施している同研修には、核実験被害国のカザフスタンやマーシャル諸島を含むアジア・太平洋諸国14か国から外交官15名が参加しました。

第11回「核軍縮・不拡散広島研修」

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広島に拠点を持つ唯一の国連機関である国連ユニタールは、1946年に国連が最初に採択した核兵器に関する国連総会決議1号の理念に基づき、世界を舞台に核軍縮交渉に携わる現役外交官を平和都市・広島に招き、専門的な学習機会を提供する同研修活動を2015年より継続してきました。

この研修事業では、アジア・太平洋各国からの外交官が(1)世界的な核問題に関する議論の現状についての知識を強化し、(2)核兵器不拡散条約や核兵器禁止条約などに関する国際会議における交渉スキルを向上させ、(3)広島での経験を通じて核兵器の人道的影響に関する理解を深めることを目指しています。

今年度の研修では、国際原子力機関(IAEA)、国連軍縮研究所(UNIDIR)、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)などの専門機関での経験を持つ講師らが、刻々と変化する世界情勢を踏まえつつ、核軍縮の国際的な枠組み、アジア・太平洋地域における核兵器を巡る戦略、そして、核兵器不拡散条約や核兵器禁止条約などを話し合う国際会議の場で必要となる交渉力を培うことを目的とした講義を行いました。

さらに、参加した研修生は、被爆者による講話、広島平和記念公園や広島平和記念資料館の見学を通じて被爆の実相を学び、核兵器がもたらす人道的被害に関する知識を深めました。また、研修の一環として公益財団法人広島平和文化センターと共催で226日に開催したイベントでは、外交官参加者は国連ユニタール広島青少年大使や地元の若者や研究者との意見交換を行いました。これらの対話を通して、2050年までに核兵器を廃絶するための現実的な行動計画を、平和教育、国際法・国連の機能と役割、そして被爆体系継承の重要性という3つのテーマをもとに考えました。

核抑止力の高まりと安全保障 - 同研修の意義

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この研修顧問を事業開始当初から務めてきたTariq Rauf氏(国際原子力機関〔IAEA〕元検証・安全保障政策部長)は、昨今の世界を取り巻く核抑止論の議論の高まりについて、 Rauf氏は同研修に期待される役割は、本研修プログラムを通じて、国際安全保障の観点や核兵器が持つ非人道性などを学び、外交官が核軍縮の重要性・緊急性を認識するとともに、国際舞台で外交官が交渉力を身につけ、少しでも核軍縮を達成できるように締約国との対話を後押しすることです。

同研修に参加したマーシャル諸島の外交官であるKano Korlynn H. Balos氏は、一連の研修で学んだこと、最も印象に残ったことについて以下のように述べています。

このプログラムを通じて実感したのは、私たちの中にも広島の歴史――何が起き、どのような結果と影響が残ったのか――を十分に知らない人が多くいるということです。こうした証言に耳を傾けることは非常に重要ですが、世界の大国では見過ごされがちです。歴史が軽視されるからこそ、今日の国際安全保障がこれほど不安定になっているのだと思います。

また、これらの学びや経験を活かし、今後、外交の場で活躍する中で重視したい点について、彼女は以下のように答えました。

ここで起きた原爆投下の悲惨な現実を証言する数々の話を聞き、平和構築の精神と、その必要性・緊急性が改めて強く胸に刻まれました。

広島での学びを 核軍縮交渉の場につなぐ

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被爆地広島の市民、とりわけ若者が、どのような志を持ち、それを実行しているかを学んだタイ王国の外交官のOrndaporn Pewngern氏は、広島の若者や研究者との交流を終えて以下のように話します。

外交官として、そして世界市民として、世界史における重要な出来事を振り返り、学ぶことは非常に重要だと思います。過去に何が起き、どれほど大きな影響を世界にもたらし得るのかを十分に理解しなければ、私たちはより危険な世界に生きることになってしまいます。

15名の外交官は、国連ユニタールの研修を終え、核軍縮への道の険しさと重要性を学びました。参加した研修生の中には20264月にニューヨークで開催される第11回核兵器不拡散条約(NPT)運営検討会議に出席する外交官も含まれており、実践の場において本研修で学んだ知識を活かす予定です。

このNPT運営検討会議には、過去に同研修に参加した外交官も出席予定であり、広島で築いたネットワークを活かし、少しでも停滞している核軍縮議論を推進できるよう国連ユニタールは、引き続き教育・研修プログラムを提供し核軍縮、平和構築に貢献していきます。

 

 

同研修事業の詳細は、以下リンクからご覧いただけます。

核軍縮・不拡散広島研修プログラム | UNITAR

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくは国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所ウェブサイトをご覧ください。

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