- カメルーン出身のVannie Djounguepさんは、ジェンダー平等の提唱者であり、起業家、環境保護活動家でもあります。インフォーマルセクターにおける女性のエンパワーメントと、特にカカオのバイオ炭の活用を通じた環境持続可能性の推進を目的として協会を設立しました。
- 2023年度の国連ユニタール「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント促進のための起業家精神と金融リテラシー」研修事業への参加を通じて、困難な局面を乗り越え、起業目標を達成するためのレジリエンスと決断力を高めました。
- Vannieさんは、女性起業家の金融リテラシー強化と、カメルーンにおける気候変動と貧困に対処するために、カカオのバイオ炭の導入を目指しています。
Vannie Djounguepさんは、カメルーン国内外において、ジェンダー平等、起業家精神、環境持続可能性分野で革新を引き起こしています。執筆家でもあり、ジェンダー専門家、社会学者である彼女は、特にインフォーマルセクターにおいて、ジェンダー平等と環境保護を提唱する団体の創設者であり事務局長も務めています。
彼女は国連訓練調査研究所(UNITAR)が国連開発計画(UNDP)の協力のもと、カナダ政府の支援を受けて開催した「2023年度ジェンダー平等と女性のエンパワーメント促進のための起業家精神と金融リテラシー」研修事業に参加しました。
起業における困難と成長
Vannieさんは、カメルーンで起業家として活動する中で、多くの困難に直面してきました。その一つが財務を圧迫する重い税負担であり、彼女のビジネスの成長の妨げとなっていました。これを受けて、彼女はより費用効果の高い経営手段として協会を設立することになりました。
カメルーン政府は、2020年の国家開発戦略に示されているように、起業に適した環境を整備することを目指していますが、2016年のカメルーン国家統計局の調査(フランス語)によると、重い税負担が起業の起業の最大の障害として挙げられています。国際労働機関の報告によれば、国の労働力の90%以上を占めるインフォーマルセクターが依然として優勢であり続けているのは、これが理由の一つです。
また、女性として、彼女は性別に基づく偏見や困難にも直面してきました。ビジネスの世界で彼女がどう見られ、どう扱われるかは、ステレオタイプが影響していました。しかし、自身を支えてくれる友人や「求めれば必ず見つかる、前に進みなさい」という言葉をかけてくれた母親の励ましが、彼女の起業家としての粘り強さと目標達成への情熱の源になっています。
すべての人には夢があり、それが生きる原動力となっています。他人の発する否定的な言葉に流されない強い信念を持つことが大切です。
— Vannie Djounguep、起業家/国連ユニタール研修修了生(カメルーン)
こうした経験から、Vannieさんは特にインフォーマルセクターの女性たちに焦点を当て、起業で成功するためのツールとリソースを提供しています。
夢を叶える
Vannieさんは国連ユニタールでの経験を「夢の実現」と語っています。以前、国連ユニタールの同様のプログラムに応募して不合格だった経験があり、今回の機会を最大限に活かそうと決意していました。EdAppというオンライン学習ツールの使用に当初は苦戦しましたが、それをITスキル向上のチャンスと捉え、前向きに取り組みました。全体として、プログラムは包括的で、参加意欲をかき立てられるもので、実用的な能力強化につながる内容だったといいます。
ディスカッションルームはとても貴重であり、起業を志す動機について深く掘り下げることができたと言います。また、専任のコーチによる個別指導や、同じような困難を乗り越えた人々の成功事例を聞けたことも、大きな励みになったと話します。
融資へのアクセスが限られ、資金調達コストが高いという課題に直面してきたVannieさんにとって、候補となる投資家についての学びや有益なウェブサイト情報を得られたことは非常に有意義でした。これらのリソースのおかげで、投資環境への理解を深め、起業のための投資家を探す際に役立つ知識が得られた、と彼女は語ります。これらのリソースを活用して事業資金を確保したいと考えています。
起業家としてのインパクト
Vannieさんは、研修で学んだ知識を地域の起業家たちに共有したいと意欲的です。彼女は、金融リテラシーが起業において非常に重要でありながらも見落とされがちであると考えており、カメルーンの女性起業家たちが財務に関してよく理解した上で判断できるよう支援したいと考えています。
私たちは他人に与えるべきなのですが、まずは自分自身が満たされていなければなりません。そうでなければ、何も与えられません。
彼女は環境の持続可能性を提唱しており、特にカカオのバイオ炭の普及に注力しています。カカオ殻を熱分解してリサイクルすることで得られるバイオ炭は、気候変動への対処に有効であることが示されています。 Vannieさんは、この技術革新を活かすためにカカオバイオ炭企業の設立を構想しており、これを自身の研修成果の実践的活用とし、カメルーンの貧困緩和と気候変動対策に貢献したいと考えています。 彼女の取り組みは、女性のエンパワーメントの体現であり、具体的な変化を起こそうとする人々にとってのロールモデルです。ジェンダー平等、起業家精神、環境保護など多岐にわたる貢献は、多くの人々にインスピレーションを与え、より公平で明るい未来の実現に向けた協働を促しています。
本記事の執筆には国連オンラインボランティアKisum Forgwei さんが協力しました。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2024年には、約55万人が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。