- Josephine Jereさんは、ジンバブエの植物病理学者で、農業と廃棄物管理の研究分野で教鞭をとっています。
- Jereさんは「アフリカの女性と若者を対象としたグリーン生計の開発:食料安全保障の強化と気候変動に強い経済活動の支援」研修事業に参加しました。
- Jereさんは、研修の一環である日本でのスタディーツアーとワークショップに参加し。ビジネスプランの作成に重点を置いた国連ユニタールの研修から多くを学びました。
国連ユニタールの研修を通し、プロジェクトを計画
Jereさんのアイデアは、首都ハラレにある最大級の農産物市場ムベア・ムシカから着想を得ました。その市場は、非常に多くの有機廃棄物を排出しており、適切に管理されなければ健康や環境被害が発生してしまいます。Jereさんの解決策は、有機廃棄物を堆肥にすることで有機肥料として使えるようにするというものです。
大学講師のJereさんは、国連ユニタールの「アフリカの女性と若者を対象としたグリーン生計の開発:食料安全保障の強化と気候変動に強い経済活動の支援」研修事業に参加する中で、このアイデアを思いつきました。本プログラムは、タンザニアやザンビア、ジンバブエの女性や若者が起業スキルやデジタルスキルを習得することを目的とし、気候変動の影響への適応・緩和に資するビジネスモデルの確立や、包摂的かつ環境に配慮した、成長性の見込める雇用と生計手段の創出を目指します。
本研修は、彼女のアイデアを先鋭化させ、ビジネスプランの具体化を助けました。
国連ユニタールの研修開始時、ビジネスプランの提案を作成するようにと言われました。私は、我々が実際に直面している様々な課題を鑑み、貿易における廃棄物の蓄積という重大な問題を取り上げることにしました。さらに、農村部では、工作適地が、作物を育てることができなくなるほど荒廃していたのです。― Josephine Jere、ジンバブエ大学生物学・生態学講師、国連ユニタール修了生(ジンバブエ)
彼女は研修の第1フェーズを終えた時点で、日本でのスタディーツアーとワークショップに招かれる上位24名の参加者に選ばれました。日本スタディーツアーで視察したJereさんは日本の農業界大手である株式会社サタケの軌跡と成功談に感銘を受けました。またプログラム全体では、ビジネスプランを作成するための重要なスキルとアイデアを共有する重要性を学びました。Jereさんは、国連ユニタールの研修での学びを活かし、学生とともに科学に基づき有機廃棄物を良質の肥料に変えるプロジェクトのプロトタイプを作り始めました。
研究を市場につなぐ
Jereさんの大学では、研究者や講師が、研究成果の研究成果の実用化と商業化を追求することを奨励しています。そこで彼女は、地域の資源と大学の支援の両方を活用し、これらの革新的技術を市場に送り出す会社を設立するチャンスがあると考えています。
まだ多くの課題があります。投資に対するリターンを保証することが困難なため、銀行から融資を受けるのは難しいと考えられます。それでもJereさんはプロジェクトの持つ可能性と、それが長期的にもたらすことのできる影響については楽観的です。たとえ時間がかかったとしても、プロジェクトが成功すれば、再び農業ができるようになるかもしれないと前向きに考えています。
Jereさんのプロジェクトは、イノベーションと実用的な解決によって、地域社会のさまざまな課題に対処できることを示しています。廃棄物を貴重な資源に変えることで、国連ユニタールの修了生は都市の廃棄物管理を向上させるだけではなく、農村部の農業生産性を高め、ジンバブエの持続可能な未来への道を切り開いていくでしょう。
国連ボランティア John Mateweさんのご協力のもと記事化されました。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。