- タイの外交官Aiyarat Kosakulさんは、2024年2月、国連ユニタール「核軍縮・不拡散(NDNP)広島研修」 に参加しました。
- このプログラムでは、世界の核軍縮に関する基本的な知識を、広島ならではの視点で学ぶことができました。
- Kosakuさんは外交の仕事のダイナミズムに魅力を感じています。将来、国連ユニタール研修の同窓生とも協働したいと期待を膨らませています。
核兵器の非人道性
Kosakulさんが外交官になったきっかけは、国のために貢献したい、ダイナミックな問題に取り組みたいという思いからでした。彼は、2024年2月に広島で1週間にわたって行われた「核軍縮・不拡散(NDNP)研修」に参加した外交官・政府関係者18名のうちの一人です。広島県と広島市が支援するこのプログラムは、核軍縮・不拡散に関する外交官の理解を深めるとともに、交渉力を高め、交渉の最前線に立つアジア太平洋地域の人々のネットワーク作りを促進することを目的としています。
Kosakulさんは、国連ユニタールのNDNPプログラムは包括的かつ効果的であり、第一線で活躍する講師や現場の専門家と関わることができたと述べました。また、広島という地だからこそ体験できる内容であったと語りました。Kosakulさんにとって特に印象的だったのは、広島平和記念資料館を訪れ、原爆犠牲者の遺品を目にしたことです。彼にとってこの体験は、核兵器の非人道性を強烈に印象づけるものでした。
私たち参加者にとって、学術的に学ぶだけでなく、核兵器が人々や都市に与える影響を(自ら)実際に見て学ぶための絶好の機会でした。"-Aiyarat Kosakul、タイ外務省一等書記官
Aiyarat Kosakulさんは現在、核軍縮に直接的に携わっているわけではありませんが、核軍縮・不拡散は彼の専門分野と密接に関係しているため、国連ユニタールの研修が役に立ったといいます。「例えば、生物兵器の問題を分析したり、扱う際には、参考のために核兵器不拡散条約の要素を検討します。」外交官の業務は持ち回りであるため、いつか自身が核軍縮を担当することになったときの心構えもできているといいます。
外交官としてのさらなる精進
Aiyarat Kosakuさんは自身の仕事のダイナミズムに魅力を感じています。外交官は赴任地や業務などの変わる異動があるため、新しい文化、食事、環境に速やかに適応し、新しい専門分野を習得し、新しい上司や同僚と仕事をしなければならないことが通例です。外向的な性格を自認する彼は、世界中で新しい人々と出会えることに大きな魅力を感じており、国連ユニタールの研修も例外ではありませんでした。国連の安全保障の枠組みで働く仲間とも知り合いになりました。彼は、国連ユニタールの同窓生と将来的に協働する機会があるだろうと確信しています。
世界の紛争はすべて、武力ではなく交渉によって終結しました。戦争がなくても、武器がなくても、平和は実現できると信じています。"-Aiyarat Kosakul、タイ外務省一等書記官
「他の外交官にも機会があればぜひこのプログラムに参加して欲しい、外交官としての使命がさらに明確になるはずです」と、他の外交官にも国連ユニタールのプログラムへの参加を推奨したいと声を強めました。
タイと核軍縮
タイは2023年、核兵器禁止条約 の国連通知を共同提出しました。「タイは、核兵器の軍縮と不拡散に関する国際協定の完全かつ効果的な履行に尽力しています。」タイは1968年の核兵器不拡散条約(NPT)の3つの柱、核不拡散、軍縮、原子力の平和利用のすべてを優先事項としています。
英文記事は以下からご覧いただけます。
Thai Diplomat in Focus: Navigating Nuclear Disarmament, Negotiation, and Networking | UNITAR
国連ボランティアAlana Picozziさんのご協力のもと記事化されました。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。