- • Ayesha さんはアフガニスタンの起業家で、自国の女性や自然、素材からインスピレーションを得たジュエリーをデザインし、輸出しています。
- • Ayeshaさんは、大学での学業が打ち切られた後、2022 年にジュエリーデザイン事業を始めました。
- • 2023 年、Ayeshaさんはアフガニスタン人を対象とした国連ユニタールの起業家研修に参加しました。
- • この研修により、Ayeshaさんは起業家として必要な知識とスキルを獲得し、自信を築くことができました。
アフガニスタンの女性起業家
2021年の政権交代以来、アフガニスタンでは女性の中等教育や高等教育が禁止され、推定110万人の女子児童と10万人以上の女性が学校や大学に通えなくなりました。女性はビジネスを経営することも禁止されており、女性同士で定期的に交流することも制限されています。
学業が中断されたため、Ayeshaさんはジュエリー事業を始めることにしました。他国から輸入した宝石や金属を使うのではなく、地元の素材を使って、ユニークなジュエリーを作ることにしました。政府の規制により、国内で店舗を開くことはできません。しかし、この制約は、彼女にビジネスの夢を諦めさせるのではなく、オンライン空間を活用して世界的にビジネスを拡大する機会となったのです。
国連ユニタールの研修を通して得た持続可能なビジネス構築への自信
2023年半ばから2024年2月にかけて、Ayeshaさんはアフガニスタン人を対象とした国連ユニタールの「グレート・アイデア・スペース 2023:アフガニスタンの食料安全保障と雇用創出のための起業家精神とイノベーション」研修に参加しました。この研修プログラムは、アフガニスタンの若い起業家が食料不安、失業などの様々な社会問題を特定し、課題解決のための革新的なソリューションを策定するために必要なスキルを身につけることを目的として実施されました。
日本政府の支援のもと無料で実施された同研修は、1) 起業家精神とイノベーションの基礎、2) リーダーシップ、戦略とイノベーション、の 2 つのオンライン学習フェーズがありました。その後、成績上位者として選抜された参加者は、対面式のワークショップに参加しました。ワークショップでは、参加者が協力し、ベンチャー企業の立ち上げに向けたビジネスプランを策定しました。
Ayeshaさんはすでにビジネスを経営した経験がありましたが、国連ユニタールの研修を通じて起業家および実業家として知っておくべき多くのことを学びました。特に、ベンチャー企業のビジネスプラン策定の演習は、今後ビジネスを成長させるために必要となる強固な基盤を得ることができました。
Ayeshaさんは、対面式ワークショップを「夢のような体験」だと語り、指導講師や起業家の仲間からのサポートとアドバイスが刺激になったと述べています。この経験により、彼女はビジネススキルへの自信を得ることができました。
起業家として知っておくべきことをたくさん学びました。特に重要な収穫は、私に必要な自信でした。 -Ayesha、国連ユニタール研修修了生(アフガニスタン)
Ayeshaさんは、ビジネスを強化するためのアイデアや助言、知識を事業に反映させることを楽しみにしています。彼女は現在、他のデザイナーと協力して新しいジュエリー・コレクションに取り組んでおり、それぞれのデザイナーの才能とスタイルを調和させることで、既存の境界をさらに押し広げようと考えています。
意志あるところに道はある
Ayeshaさんは自分自身、家族、そして周りの人たちを養うために懸命に取り組んでいます。彼女は世界一の女性起業家になることを夢見ていますが、同時に自分の仕事を通してアフガニスタンの文化を広く共有していくことも夢見ています。彼女のジュエリーのデザインは、アフガニスタンの女性や自国の自然からインスピレーションを得ているものが多く、Ayeshaさんは、ジュエリーを使って自国アフガニスタンとアフガニスタンの女性の才能を、世界中に広めたいと考えています。
アフガニスタンの女性は生活上のさまざまな制限があるにもかかわらず、Ayeshaさんは力強く暮らしています。彼女は女性には新しいアイデアを生み出す才能があると強く信じており、より多くの女性を巻き込んでいきたいと考えています。
女性がアイデアを生み出す才能を発揮し、宝石やジュエリーのデザインの仕事で活躍してほしいと思っています。 -Ayesha、国連ユニタール研修修了生(アフガニスタン)
彼女は、いつか海外で勉強し、イタリア、タイ、米国のジュエリー・ショーに参加し、多くの才能ある同志と出会うことへの期待を膨らませています。
Ayeshaさんは、意欲的な起業家に対し、自分のビジョンに忠実に、仕事を続けるよう呼びかけています。彼女は自らの生き方を通して、時には一歩後退ことも必要であり、それが変化について考え、変化とともに生きることを教えてくれる、と伝えています。
英語版は以下からご覧いただけます。
https://unitar.org/about/news-stories/stories/stepping-back-also-opportunity
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。