- 上田はるかさんは、モザンビークにある国際移住機関(IOM)で、緊急対応および復興支援活動を主導しています。
- 上田さんは、1週間にわたる平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業「ミッドキャリア・コース」(2025年度)に参加しました。
- このコースを通じて、自身のキャリア目標をより明確にし、リーダーシップの在り方を見つめ直すとともに、コミュニケーションやチームマネジメントのスキルの向上に向けた新たな視点を得ました。
- 本プログラムは、外務省の委託により広島大学が国連訓練調査研究所(国連ユニタール)と連携して実施しています。
人道支援活動の原点
2026年8月26日、広島―上田はるかさんは15年以上にわたり、アフリカ、中東、アジア各地で、紛争や避難、災害によって影響を受けた地域の人々を支援してきました。現在は、モザンビークにある国連の国際移住機関(IOM)で、緊急対応および復興支援活動を主導しています。
上田さんが人道支援に携わることを志すようになったきっかけは、1995年に故郷の神戸に甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災を経験したことでした。この経験が、人道支援および国際開発の分野でキャリアを築くという、その後の進路選択に大きな影響を与えました。
その後、国際移住機関(IOM)に加わり、緊急対応や復興支援プログラムの運営、チームマネジメントなどの分野で、着実に経験を積んでいきました。
次のステップを模索する時間
多忙な業務に加え、組織の変革期に直面する中で、上田さんは、自身の成長やキャリアについて振り返ることの重要性を感じるようになりました。そのような折に「ミッドキャリア・コース」を知り、自身のこれまでのキャリアを見つめ直し、今後のキャリア形成について考えるためのよい機会になると考えました。
「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」は、平和構築および開発分野で活動する人材の能力強化を目的として、日本国外務省によって設立されました。2024年度からは、広島大学と国連訓練調査研究所(国連ユニタール)の協力によって実施されています。上田さんは、将来的に管理職を目指す人材を対象とした「ミッドキャリア・コース」に参加しました。本コースは、2025年12月に実施されたオンラインによる事前研修と、2026年1月7日から13日にかけて広島で行われた対面研修で構成され、日本から8名、オーストリア、カメルーン、フランス、グアテマラ、インド、インドネシア、モロッコ、ネパール、パキスタンから各1名が参加しました。
リーダーシップについて新たな視点で考える
上田さんは当初、自身のキャリア形成に重点を置いて本コースに参加しましたが、リーダーシップについて振り返る機会が、予想以上に大きな気づきになったといいます。研修を通じて、自身のリーダーシップの在り方を見つめ直し、成長のための課題を明らかにするとともに、複雑な環境下でも効果的にリーダーシップを発揮するにはどうすればよいかを考えるきっかけとなりました。
このコースはまた、上田さんが自身の役割に求められていることを整理し、今後も継続して学び、成長していくための具体的な課題を見出すための、体系的な振り返りの場にもなりました。
学びを実践につなぐ
コースでの学びは、個人としての成長だけにとどまりませんでした。職場に戻った上田さんは、コミュニケーションや感情知能(エモーショナル・インテリジェンス:EQ)のスキルを、組織再編への対応を含むさまざまな業務の中で活用しています。研修で得た知見が、すでに日々の実践に生かされています。
今後も上田さんは、人道支援のリーダーとして成長を続けながら、危機の影響を受けている地域の人々への支援に取り組んでいく決意です。これまでの実務経験と「ミッドキャリア・コース」での学びを生かし、リーダーシップとチームを支える力をさらに高めることで、人道支援および復興支援活動に貢献していく考えです。
外務省「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」について
麻生太郎外務大臣(当時)の政策演説「平和構築者の『寺子屋』を作ります」を受け、2007年から外務省が平和構築分野の人材育成事業を実施してきました。2015年度からは、国際機関での人材の発掘・育成・キャリア構築を包括的に実施するため事業内容を刷新・拡大し、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を開始。2024年度から、広島大学が外務省より委託を受け、国連訓練調査研究所(国連ユニタール)と連携し事業の実施・運営を行っています。
外務省ホームページ: https://www.mofa.go.jp/fp/ipc/pagewe_000001_00215.html
Global Peace and Development Career Network:https://gpad.hiroshima-u.ac.jp/en/
広島大学について
広島大学は、人類史上初めて原子爆弾が投下された被爆地広島に1949年に創設された国立の総合研究大学です。広島大学は、国立大学としての使命を果たすため、活動の基本原則として広島大学憲章を次の通り定めています。それは、平和を希求する精神、新たなる知の創造、豊かな人間性を培う教育、地域社会・国際社会との共存、絶えざる自己変革という理念五原則の下、自由で平和な社会を実現し、人類の幸福に貢献することです。また、一人ひとりの人権と人格を尊重し、教育や研究を通じて、地域社会および国際社会に貢献するとともに、平和で持続的な発展を可能とする社会の実現に向けて、貧困や紛争、人権の抑圧、感染症、環境や資源・エネルギー問題など地球規模の課題に対する先端的な解決策を世界に先駆けて実践しています。