• Gerald Cirilo Reyesさんは、国際機関の計画・プログラム・予算部門の責任者です。
  • 外務省委託「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」ミッドキャリア・コース(2025年度)に参加しました。
  • コース参加当時は、世界保健機関(WHO)シリア事務所の資源動員・パートナーシップ部門の責任者を務めていました。現在は、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)において、計画・プログラム・予算部門の責任者を務めています。
  • 研修を通して、Geraldさんはさまざまな人道支援分野の専門家と共に学ぶことで、自身のリーダーシップの在り方を見つめ直し、協働の重要性や危機下におけるリーダーシップ、人道支援と長期的な開発を結び付けることの意義について、新たな視点を得ることができました。
  • 本プログラムは、広島大学が国連訓練調査研究所(国連ユニタール)と連携して実施しています。
Hiroshima University and UNITAR

2026818日、広島―Gerald Cirilo Reyesさんは、15年にわたり国連システムのもとで人道支援と開発の両分野に携わってきました。世界保健機関(WHO)シリア事務所の資源動員・パートナーシップ部門の責任者を務めていた当時、日本の外務省が実施する2025年度の「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」ミッドキャリア・コースに参加しました。日々の業務から一歩離れ、これまで培ってきた経験を振り返るとともに、より優れたリーダーとなるために今後何を学ぶべきかを問い直す機会となりました。

二つの世界をつなぎ、一つの目的を追求する

フィリピンとオーストリアで育った Geraldさんは、人々の生活を取り巻く環境の違いを幼い頃から目の当たりにしてきました。こうした現実に触れた経験が、社会に存在する不平等に対する問題意識を育み、人々の生活の向上に貢献できる仕事を志すきっかけとなりました。

「一人の人間として、社会に良い影響を与えられる仕事に就きたいと思っていました。」 

Geraldさんは、真の変化というのは、人々に寄り添うことから始まると考えています。長年にわたり緊急人道支援と開発支援の双方に携わってきた経験を通じて、その信念はさらに強固なものとなったといいます。緊急人道支援であれ、長期的な開発支援であれ、持続可能な成果は、人々のニーズを深く理解し、あらゆる意志決定の中心に人を据えることが重要であると考えています。

一歩立ち止まり、次の一歩へ

すでにさまざまな国や人道支援の現場で豊富な経験を積んできたGeraldさんは、これまでのキャリアで培ってきた考え方を改めて見つめ直し、新たな視点を得る機会を得たいと考え、本コースへの参加を決めました。

「これまで自分が学んできたこと、これから学ぶべきこと、そして他者からどのように学ぶことができるのかを、改めて見つめ直したいと思いました。」 

「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」は、平和構築および開発分野で活動する人材の能力強化を目的として、日本国外務省によって設立されました。2024年度からは、広島大学と国連訓練調査研究所(国連ユニタール)の協力によって実施されています。

Geraldさんは、将来的に管理職を目指す人材を対象にしたミッドキャリア・コースに参加しました。本コースは、202512月に実施されたオンラインによる事前研修と、202617日から13日にかけて広島で行われた対面研修で構成され、日本から8名、オーストラリア、カメルーン、フランス、グアテマラ、インド、インドネシア、モロッコ、ネパール、パキスタンから各1名が参加しました。

Geraldさんは、本コースが自己を振り返り、多様な分野で活躍する参加者と意見を交わす貴重な機会になったと語ります。

異なる組織や専門分野で活躍する仲間が、共通する課題にどのように向き合っているのかを知ることで、新たな視点を得ることができました。

また、保健、栄養、生計支援、保護など、幅広い分野の専門家と共に学ぶことで、自身の専門分野の枠を超え、人道支援の課題が相互に深く結び付いていることを改めて認識し、分野を越えた連携が不可欠であることを強く実感しました。その理解は、広島平和記念公園と平和記念資料館への訪問を通じて、さらに深まりました。

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「聴くこと」から始まるリーダーシップ

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本コースは、Geraldさんがリーダーシップへの向き合い方を考え直す機会にもなりました。長年にわたり各地でチームを率いてきた経験はありましたが、経験を積むだけでは優れたリーダーにはなれないことを改めて実感したといいます。真に求められるリーダーシップには、謙虚さ、柔軟な姿勢、そして学び続ける意欲が欠かせないと考えています。

「一歩立ち止まり、常に心を開いて、相手の声に真摯に耳を傾けることを大切にしています。」 

本コースを通じて、Geraldさんは、リーダーシップとは自己理解を深め、人として継続的に成長し続けるプロセスであると捉えるようになりました。特に印象に残ったのは、優れたリーダーは他者をまねるのではなく、自分らしいリーダーシップのスタイルを確立することが大切だという考え方です。自分自身の価値観やリーダーシップのあり方を理解し、受け入れることが、将来より良いリーダーになるための鍵になると考えています。

より戦略的なリーダーシップを目指して

今後、Geraldさんは、戦略的な意思決定に携わる立場へとキャリアを広げ、人道支援や開発分野の政策形成や戦略強化にも貢献していきたいと考えています。コース終了後には、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の計画・プログラム・予算部門の責任者に就任しました。これまで15年にわたり培ってきた経験と知識を、現場での業務にとどまらず、より戦略的なリーダーシップへと活かしていきたいと考えています。

「ミッドキャリア・コースは、私のキャリアにおける大きな転機となりました。日々の業務から一歩離れ、自身のリーダーシップを見つめ直すとともに、「聴くこと」や協働の重要性、そして人道支援と長期的な開発を結び付けることの意義を改めて理解することができました。」

本コースで学んだリーダーシップの手法やアプローチは、Geraldさんの現在の業務にも活かされています。これまでの経験に基づく従来の解決策だけに頼るのではなく、一歩立ち止まり、多様な視点から状況を捉え、新たな考え方を柔軟に受け入れることを常に意識するように努めています。

最後にGeraldさんは、今後本コースへの参加を目指す人々に対し、好奇心と謙虚な姿勢を持って学びに臨んで欲しいと呼びかけます。先入観にとらわれず心を開いて学ぶことで、長年の経験の中で培ってきた考え方や仕事の進め方であっても、見直し、さらに発展させる余地があることに気づくことができるといいます。 Geraldさんは、真に社会に良い変化をもたらす第一歩は、「問い、学び、成長し続ける勇気」を持つことから生まれると考えています。

外務省「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」について

2007年から外務省が平和構築分野の人材育成事業を実施。2015年度からは、国際機関での人材の発掘・育成・キャリア構築を包括的に実施するため事業内容を刷新・拡大し、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を開始。本プログラムは、この分野における能力開発を積極的に推進し、キャリアの第一歩を踏み出そうとする若手人材から、これまでの経験を生かしてさらなる飛躍を目指す中堅人材まで、幅広い実務者にとって重要な学びの機会となっています。2024年度から、広島大学が外務省より委託を受け、国連訓練調査研究所(国連ユニタール)と連携し事業の実施・運営を行っています。

外務省ホームページ: https://www.mofa.go.jp/fp/ipc/pagewe_000001_00215.html

Global Peace and Development Career Networkhttps://gpad.hiroshima-u.ac.jp/en/

広島大学について

広島大学は、人類史上初めて原子爆弾が投下された被爆地広島に1949年に創設された国立の総合研究大学です。広島大学は、国立大学としての使命を果たすため、活動の基本原則として広島大学憲章を次の通り定めています。それは、一人ひとりの人権と人格を尊重し、自由で平和な持続的発展を可能とする社会の実現に貢献する人材を育成し、社会に開かれた大学、社会から信頼される大学として地域社会および国際社会に貢献することです。さらに地球規模の課題に対する先端的な解決策を世界に先駆けて実践していきます。これにより広島大学の使命である、多様性を育む自由で平和な国際社会の実現に貢献する「平和を希求しチャレンジする国際的教養人」を育成することを目指します。

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