- Nawidさんはアフガニスタン出身の起業家で、食料品、電子機器、アパレル業界でいくつかの事業を経営しています。
- Nawidさんは、日本政府の支援を受け行われた国連ユニタール「グレート・アイデア・スペース 2023:アフガニスタンの食料安全保障と雇用創出のための起業家精神とイノベーション」研修事業に参加しました。
- 同研修への参加を通して、Nawidさんは事業経営とマーケティングの知識および財務戦略の策定について学ぶことができました。
- Nawidさんは、アフガニスタンの人々が協力して課題を克服し、お互いに支え合えるようになることを望んでいます。
自分のためだけでなく、アフガニスタンの人々のために
数年前に起業家としてビジネスを始めた時、Nawidさんは自分のためだけでなく、アフガニスタンの人々のために事業を運営すると誓いました。すべてを失い、どん底に落ちた時でも、それは彼を支え続ける原動力となりました。また、それは彼の現在のビジネスにも生きています。
Nawidさんが最初に始めた事業は、魚を養殖し、新鮮なオーガニック食材を提供することで、地域社会の食料不足に対処するものでした。同社はアフガニスタンのお菓子の製造と販売ビジネスを拡大しており、持ちお運びに便利で保存が効き、栄養となる食品も開発中です。
彼の 2 番目の事業は、ソーラー パネルやエネルギー効率の高い照明システムなどの再生可能エネルギーソリューションを供給および設置することで、地域コミュニティの継続的なエネルギーを確保し、安全を維持できるよう支援しています。また、8 時間から10 時間持続するパワーバンクも提供することにより、防犯カメラ向けに安定したエネルギーを供給しています。
3つ目の事業として、Nawidさんはアフガニスタンの民族衣装を提供している女性経営者が収入源を確保できるよう支援したいと考えています。
3つ目の事業の確立と国連ユニタールの研修事業
Nawidさんは、3つ目の事業案を国連ユニタールの「グレート・アイデア・スペース 2023:アフガニスタンの食料安全保障と雇用創出のための起業家精神とイノベーション」研修事業で練り上げました。研修では、ビジネススキルの基礎や海外市場、マーケティング戦略について学びました。同研修は2023年8月から2024年3月に実施され、アフガニスタンの起業家に食料不安や失業、その他の社会課題に立ち向かうための革新的なソリューションについての知識やスキルを提供しました。
本研修では、合計で270名のアフガニスタン起業家に対し、起業の基礎や革新についてオンラインの学びの場を提供しました。その後、優秀な成績を収めた参加者は、対面式のワークショップに参加し、協力しながら即実行できるビジネス計画の策定に取組みました。Nawidさんの事業計画内容は、アフガニスタンの女性が作った手作りの伝統的なアフガニスタン衣装のオンラインビジネスの立ち上げでした。Nawidさんは、女性がオンライン店舗を通して海外市場にアクセスし、食料を購入するための収入源を確保できるようになることを期待しています。
国連ユニタールの研修事業は私自身と私の事業に大きな影響を与えました。この研修への参加を通して、革新的な戦略とアプローチを学びました。既存のビジネスモデルに変更を加え、マーケティング戦略を改善し、新しい財務戦略を開発することができました。また、この研修を通して、同じ考えを持つ起業家同士で助け合ったりコラボレーションをしたりと、貴重なネットワークづくりもできました。– Nawid、国連ユニタール研修修了生 (アフガニスタン)
Nawidさんは研修講師との交流により、新たなアイデアについて考えを深めたり、示唆に富んだフィードバックを受けることができたことに喜びを感じるとともに、新たに得たアイデアとスキルを活かして事業を拡大することが楽しみであると述べています。特に、経営、マーケティングおよび財務戦略の策定に関するスキルを習得できたことは、オンライン事業の立ち上げと運営を成功させ、さらには複数のビジネスを拡大するために役立つと確信しています。
どんな困難も乗り越えられる
Nawidさんの思い描く未来は、現在国外に出ているアフガニスタンの人々が資源、アイデア、エネルギーを持ってアフガニスタンに戻り、アフガニスタンの人々を支え、機会を創出し、そしてこの国が直面する課題を解決するために協力していくことです。
また、Nawidさんは、自分のようなアフガニスタンの起業家に学びの機会を提供してくれた日本政府と日本の人々の支援に対し、感謝の意を表しています。
国連ユニタールの研修事業への経済的支援をしていただいた日本政府と国民の皆さまに深く感謝の意を表したいと思います。皆さんの寛大なご厚意により、私たちは母国に大きく貢献するために必要な知識とツールを得ることができました。私たちの力を信じ、明るい未来に向かうための旅路を支えていただき、誠にありがとうございました。 – Nawid、国連ユニタール研修修了生 (アフガニスタン)
ビジネスでは、課題が多くあるところには数々のチャンスもあります。Nawidさんは自身の経験から、未来の起業を目指す人々に、自分のペースを保つことを勧めています。粘り強く、目標に忠実に、夢をあきらめないでほしい、とエールを送っています。
英文記事は以下からご覧いただけます。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。