• 矢加部真怜(やかべ・まさと)さんは開発および緊急人道支援分野で活躍する日本出身の専門家です。現在はヨルダン・アンマンで、国際移住機関(IOM)のプログラム支援・報告担当官(Program Support and Reporting Officer)として勤務しています。
  • 外務省委託(2025年度)平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業「プライマリー・コース」に参加しました。本プログラムは、事前のオンライン学習と広島・東京での対面研修を組み合わせて実施されました。
  • 研修では、グローバル市民として生きていくために必要なことを再確認し、国連での仕事に必要な実践的なスキルを高めました。また、自らが今後どのようなキャリアを歩んでいきたいか具体的に考えることができました。
  • 本プログラムは、広島大学が国連ボランティア計画(UNV)および国連訓練調査研究所(ユニタール)と連携して実施しています。
Hiroshima University and UNITAR

2026619日、広島―矢加部真怜さんは日本のNGOで、4年間にわたりパレスチナ・ガザ地区で活動してきました。外務省委託(2025年度)平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業の「プライマリー・コース」に参加したことで、人道分野でのキャリアの方向性をより明確にしました。

現場での経験を次のステージへ

真怜さんはガザ地区において、地域社会と密に連携しながら、草の根レベルでの支援を行ってきました。NGOでの経験に大きな価値を感じる一方で、より長期的で持続可能なインパクトを生み出すにはどうすればよいのか、また、緊急支援にとどまらず、長期的な課題解決につながる方法はあるのかを考えるようになりました。

そのような折に、研修を経て国際機関で活躍している友人たちの姿を見て、自身も「プライマリー・コース」に応募する決意をしました。この研修を通じて、国際協力の専門家として視野を広げ、国連システムの中で新たなキャリアの可能性を探りたいと考えました。

グローバル市民に求められる資質

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本事業は、この分野で活動する個人の能力強化を図ることを目的として展開されており、そのうち「プライマリー・コース」は若手実務家を対象としています。2024年度から広島大学が受託し、国連ボランティア計画(UNV)および国連訓練調査研究所(ユニタール)と連携して実施しています。2025年度のプライマリー・コースでは、10月のオンライン研修と113日から30日までの対面研修(東京・広島)を組み合わせ、日本から12名、アフリカ連合委員会(AUC)、アルメニア、イラク、エクアドル、カンボジア、カメルーン、グアテマラ、ネパール、パプアニューギニア、パレスチナ、東ティモール、および南スーダンから各1名が参加しました。

研修の中でも、真怜さんにとって最も深い学びとなったのは、グローバル市民であるために必要な資質を、他の研修員や講師の発言、行動から学べたことでした。

……30年後、40年後には、研修で話し合ったSDGsや直近の課題は、もう過去のものになっているかもしれません。しかし、普遍的で変わらないものが必ずあります。それこそが、よきグローバル市民であるための資質です。……そうした資質を、他の参加者や講師との関わりの中で学ぶことができました。 ― 矢加部真怜(日本)、プライマリー・コース研修生

実践演習を通じた学びとキャリアの再発見

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このような気付きとともに、研修は真怜さんの実践的なスキルをさらに高める機会にもなりました。コースの中核的なセッションのうちのひとつでは、グループで特定のケーススタディに取り組みました。これまでにもプロジェクト開発や管理の経験はありましたが、本セッションは国際機関の運営環境により近い形で設計されており、これまでの経験との違いに驚いたと言います。

これまでに、ニーズ評価、提案書の作成、プロジェクト管理など、一連のプロセスを経験したことはありました。しかし、多様な背景を持つ参加者と調整を行い、専門家からフィードバックを受けるという経験は、私にとってまったく新しいもので、視野を広げるきっかけとなりました。

また、真怜さんは、研修の中で、自分のこれまでの経験やキャリアを振り返る機会があったことも非常に印象に残っていると言います。研修参加前から国際機関でのキャリアを真剣に考え始めてはいたものの、これまでの経験を将来のキャリアにどのように活かせるのか、明確なイメージを持てていませんでした。キャリア構築のセッションを通じて、自身のこれまでの歩みを振り返り、強みと弱みをより深く理解するとともに、国連でのキャリアを見据えて今後さらに伸ばすべき分野を明確にすることができたと述べています。

経験と挑戦の先に見つけた、自分の道

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真怜さんはこれまでの人生において、最も目指していたものを手にすることができず、別の道を模索しなければならない局面が多くあったと振り返ります。しかし、その経験の中で自分の道を見出し続け、そして今、さまざまな困難を経て、心から情熱を持って取り組める分野に出会うことができたと言います。

また、国際機関でのキャリアを目指す人こそ、「プライマリー・コース」に参加してほしいと述べています。選考に応募するプロセス自体にも価値があり、自身のこれまでのキャリアを振り返り、経験や動機を言語化する貴重な学びの機会になると考えています。

同じ志を持つ仲間との出会いや交流は、人生を変え、自分自身を成長させるきっかけになると思います。

こうした経験と学びを礎に、真怜さんは現在、ヨルダンにて、国際移住機関(IOM)のプログラム支援・報告担当官(Program Support and Reporting Officer)として勤務しています。これからも中東地域を中心に、社会的に弱い立場に置かれた人々の命と尊厳を守ることに貢献したいと考えています。

外務省「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」について

麻生太郎外務大臣(当時)の政策演説「平和構築者の『寺子屋』を作ります」を受け、2007年から外務省が平和構築分野の人材育成事業を実施してきました。2015年度からは、国際機関での人材の発掘・育成・キャリア構築を包括的に実施するため事業内容を刷新・拡大し、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を開始。2024年度から、広島大学が外務省より委託を受け、UNV及び国連ユニタールとの協力のもと、事業の実施・運営を行っています。

外務省ホームページ(日本語):トップページ
Global Peace and Development Career Network

広島大学について

広島大学は、人類史上初めて原子爆弾が投下された被爆地広島に1949年に創設された国立の総合研究大学です。広島大学は、国立大学としての使命を果たすため、活動の基本原則として広島大学憲章を次の通り定めています。それは、平和を希求する精神、新たなる知の創造、豊かな人間性を培う教育、地域社会・国際社会との共存、絶えざる自己変革という理念五原則の下、自由で平和な社会を実現し、人類の幸福に貢献することです。また、一人ひとりの人権と人格を尊重し、教育や研究を通じて、地域社会及び国際社会に貢献するとともに、平和で持続的な発展を可能とする社会の実現に向けて、貧困や紛争、人権の抑圧、感染症、環境や資源・エネルギー問題など地球規模の課題に対する先端的な解決策を世界に先駆けて実践しています。

国連ボランティア計画について

世界中でボランティアリズムを通じて平和と開発に貢献する国連ボランティア計画(UNV)は、パートナーと連携し、資格を持ち、高い意欲と十分な支援を受けた国連ボランティアをさまざまな国連機関に派遣しています。その中でもプライマリー・コースでは日本人研修員を国連ボランティアとして海外派遣する業務を実施しています。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研修所(ユニタール)は、1965年に設立された研修事業に特化した国連の専門機関です。質の高い研修と研究、革新的な学習ソリューションを通じて、人々の知識とスキルの向上を図ることを使命としています。

国連ユニタールは、戦略的パートナーシップとグローバルな学習プラットフォームを通じて、個人の能力開発と、特に脆弱な状況下にある機関・組織の能力強化に取り組み、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」および「未来のための協定(Pact for the Future)」の実現を推進しています。

詳しくは国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所をご覧ください。

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