• 南スーダンで法学を学ぶHanna Nyamal Yohanisさんは、地元コミュニティで若者に教育の機会を提供する非政府組織(NGO)を立ち上げました。
  • Yohanisさんは、「グレート・アイデア・スペース2023:南スーダンの食料安全保障のための起業家精神とイノベーション」研修の受講生として、東京と広島を訪れました。
  • 国連ユニタールの同研修事業は、Yohanisさんにとって、NGOのマネジメントや組織の発展に役立ったのみならず、その過程で直面する試練を乗り越えるための強い意志と自信を培うきっかけとなりました。
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2024年8月23日、広島、日本 ― 自国・南スーダンで法学を学ぶ、Hanna Nyamal Yohanisさんは、自分自身の可能性を最大限に発揮できる世代を育てたいと願っています。2023年、Yohanisさんは「グレート・アイデア・スペース2023:南スーダンの食料安全保障のための起業家精神とイノベーション」研修事業の募集要項を目にしました。そして彼女は、南スーダンにおける食料安全保障と若者の雇用に焦点を当てた同研修の趣旨に惹かれ、応募を決めました。同研修は、若者への教育機会づくりのサポートや、南スーダンの発展に貢献することを目指す彼女のNGOの躍進を助けることとなりました。

国連ユニタール研修を通した日本での学び

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「グレート・アイデア・スペース2023:南スーダンの食料安全保障のための起業家精神とイノベーション」研修事業は、知識や技術の習得および人脈形成を通じて、ソーシャルビジネスや営利ビジネスのアイデアを、南スーダンにおける食料安全保障の改善、雇用機会の創出、レジリエンスのある持続可能な食料システムの構築に貢献するビジネスモデルに具体化することを目的としています。本研修事業は、20238月から20243月にかけて3つのフェーズで構成され、日本政府の資金提供のもとで実施されました。

本研修事業では、まず初めに南スーダンからの参加者326名が、起業と農業ビジネスの基礎を学ぶオンライン講義を受講しました。この集中研修はオンライン自主学習型という時間や場所に柔軟性のある研修体制だったため、過密なスケジュールの中でもやり遂げることができた、とYohanisさんは話しています。

この研修事業は、内容と期間が凝縮されていたため、私の想定を遥かに凌ぐ大変さでした。自主学習型でしたが、自分のスケジュールと調整し、なんとか最後まで受講することができました。― Hanna Nyamal YohanisNGO創設者、国連ユニタール修了生(南スーダン)

その努力が実り、彼女は日本での対面式研修に参加できる成績優秀者19名のうちの1人に選ばれました。日本で広島と東京の文化や歴史を学ぶ中で、Yohanisさんは日本の戦後復興と南スーダンの成長の可能性を結びつけるものがあることを発見し、南スーダンの未来に希望を見出しました。

広島と長崎が経たことは、私の心に深く響きました。今は道を見失ったように感じたとしても、もし日本が乗り越えることができたならば、そう、もし他の国ができているならば、私たちにもできると思えるのです。― Hanna Nyamal Yohanis NGO創設者、国連ユニタール修了生(南スーダン)

若者を助けるNGOの設立

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国連ユニタールの研修に参加する中でYohanisさんが考えを具体化させたのは、研修プログラムとガイダンスを提供することを通して若者への教育機会づくりを支援するNGOの設立です。Yohanisさんと彼女のチームは、高校を修了して大学の奨学金に応募する若者向けのパーソナライズされた情報通信技術(ICT)研修を提案しました。

「日本での対面式研修に参加する前から初めていたプロジェクトですが、研修で学んだことや基本原則を頼りに、とても順調に進んでいます」と彼女は言います。

Yohanisさんは、より多くの若者が安全で輝かしい未来を描けるようにするために、国連ユニタールの研修事業とリソースを活かして、最終的には自身のNGOをケニアの難民を含むより多くのコミュニティに拡大したいと考えています。

志を同じくする人々から刺激を受ける

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国連ユニタールの研修でYohanisさんは、志を同じくする起業家と専門家に出会い、貴重な意見と自身のNGOの進歩を加速させる助けを得たと語ります。

高い専門性とスキルを持つ多くの方々と出会い、研修を通してより実践的なことを学べたことは非常に素晴らしかったです。 ― Hanna Nyamal YohanisNGO創設者、国連ユニタール修了生(南スーダン)

この経験によってYohanisさんは、行動を起こし、世界に影響を与えたいという志を再認識しました。また、強い意志と試練を乗り越え、他の若者が情熱を追求することを支援するのだという自信を得ました。彼女は、現在の教育課程の修了後、法学のキャリアに進み、自身のNGOの影響力をさらに拡大したいと決意しました。

Yohanisさんは、恐れや試練に直面したとしても、情熱に従って行動してほしい、と同志の起業家たちを鼓舞しました。そして、課題を先延ばしにするのではなく、積極的に取り組むことの重要性を強調しました。

私の同志の皆様には、ぜひ情熱に従い、自らが情熱を注ぐことや重要だと考えることをする強みを見出してほしいです。時に足がすくんでも、やるしかないのです。 ― Hanna Nyamal YohanisNGO創設者、国連ユニタール修了生(南スーダン)

国連ボランティアDarling Serwaa Boatengさんのご協力のもと記事化されました。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

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