• フィリピン・コタバト市の非政府組織(NGO)でモニタリング・評価・学習担当官を務めるJohn Isidore Laureさんは、地方自治体における若者のエンパワーメントに取り組んでいます。
  • 彼の活動は、ユース協議会の強化や、暴力的過激主義や誤情報といった課題への対応に焦点を当てています。
  • 2024年の国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラムに参加したことで、若手公務員を育成するプロジェクトをより洗練させることができました。
  • 彼は、若者が変革の推進者であることの重要性を強調し、彼らの声を世界に広めるさらなる機会の必要性を訴えています。
© John Isidore Laure

2025227日、広島 – フィリピン・コタバト市の若き活動家であるJohn Isidore Laureさんは、現在、地元の非政府組織(NGO)でモニタリング・評価・学習担当官を務め、青年協議会(Sangguniang Kabataan)と協力しながら、ガバナンスの向上と地域社会の発展に尽力しています。 10代の頃には、地域における暴力的過激主義や誤情報の防止を目的とした組織を共同設立しました。この経験を通じて、彼は若者のエンパワーメントと社会課題への対応に対する強い決意を培いました。

絶望の中から希望を見出す

2017年、フィリピン南部のマラウィで、政府軍と武装勢力の間で武力衝突が発生しました。暴力は5か月間続き、市内人口の98%が避難を余儀なくされ、多くの市民が命を落とし、市民インフラにも甚大な被害がもたらされました。

このマラウィの戦いは、若者が過激思想に影響を受けやすい現実をJohnさんに強く認識させ、彼と仲間たちが、学生に対してソーシャルメディアの適切な活用やフェイクニュースへの対処方法を教える組織を設立するきっかけとなりました。彼の目標は、この危機から得た教訓を他の学生に伝え、平和構築を持続的な取り組みにすることでした。この活動が、現在のNGOでの役割の礎となり、彼は今もなお、若者のエンパワーメントを推進し続けています。

国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラムでの成功

UNITAR

Johnさんは、2024年度国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラムに参加しました。本プログラムは、国連ユニタールとITS Education Asiaによって実施され、「グローバルな課題へのローカルな解決策:若者のエンパワーメントと地域社会への影響」をテーマに、持続可能な開発目標(SDGs)への理解を深め、起業家精神を育み、地域の課題解決に向けたアイデアを発展させることを目的としています。

プログラムに興味を持ったJohnさんは参加費の捻出に不安を感じていましたが、民間企業の支援もあり、参加が可能となりました。10週間のプログラムを通じて、彼はアジア太平洋地域の若き変革者たちと交流し、社会の喫緊の課題や革新的な解決策について学びました。研修では、各自のプロジェクトを発展させ、資金調達やパートナーシップ構築に不可欠なプレゼンテーション能力とプロジェクト提案のスキルを磨きました。

Johnさんは、国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラムの最終ピッチ大会で、コタバト市のユース協議会の能力強化を目的とした1年間の取り組みについて発表し、最優秀プレゼンテーション賞を受賞しました。20247月に終了したこの取り組みでは、50名以上の若手リーダーを対象に、能力開発、キャンペーン企画、運動型アドボカシーの研修を実施しました。本プロジェクトは、若手公務員が効果的なキャンペーンを展開し、地域社会に意義のあるサービスを提供できるよう支援することを目的としています。

この取り組みは参加者から好評を博し、さらなるインパクトを生むために再実施を望む声も多く寄せられました。Johnさんは、国連ユニタール青少年大使として学んだスキルと知識を活かし、資金調達やパートナーシップの構築を通じて、この取り組みをさらに拡大することを目指しています。

青少年大使の仲間たちとの出会いを通じて、どの地域社会も完璧ではないと実感しました。しかし、共に取り組むことで解決策を見つけることができるのです。— John Isidore Laure, 国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラム 修了生(フィリピン)

若者へのメッセージ

© John Isidore Laure

限られたリソースや社会の懐疑的な視線など、若者が行動を起こす際にはさまざまな障害が立ちはだかります。しかし、Johnさんの不屈の精神と強い決意は、情熱と連携、そして明確なビジョンを持つことで、こうした課題を乗り越えられることを示しています。

私たち若者には限られた時間しかありません。時は止まりません。だからこそ、チャンスを逃さないでください。何かを成し遂げたいなら、まずは挑戦してみましょう。— John Isidore Laure、国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラム修了生(フィリピン)

気候変動、社会的不平等、政治不安といったグローバルな課題に対し、若者がリーダーシップを発揮する場面がますます増えています。こうした中で、Johnさんは若者に対し、情熱を追求し、周囲の支援を求め、自らの変革力を決して過小評価しないよう呼びかけています。

また、彼は国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラムのように、あらゆる境遇の若者が参加できるプログラムの重要性を訴えています。若者に必要なツールとインスピレーションを提供し、活動の継続を可能にするこのようなプログラムは、若者の成長への投資であり、若い世代が存分に力を発揮できる環境を整えるべきだという、より大きな提言にもつながります。

すべてのアイデアには価値があり、無駄な努力はありません。ともに、若者が前線で活躍する未来を築いていきましょう。— John Isidore Laure、国連ユニタール青少年大使・アジア太平洋プログラム 修了生(フィリピン)

英文は以下からご覧いただけます。

Empowering Filipino Youth for Peace: John Isidore Laure | UNITAR

本記事は、国連ボランティアのFaiz Rahmatullah Nugrohoさんの貢献により作成されました。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2023年には、世界中で54万人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくはウェブサイトから(国連訓練調査研究所(ユニタール) 広島事務所 )。

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