• 国連ユニタールの研修修了生であるKarmen Chebibさんは、レバノン教育高等教育省の教育研究開発センター情報・広報部門の責任者です。
  • Karmen Chebibさんは、国連ユニタール「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント(GEWE)」研修を修了しました。
  • COVID-19パンデミック以前、Karmenさんは教師たちにジェンダーステレオタイプに対処する方法について指導しており、あらゆる振る舞いや慣行を目の当たりにしていました。
  • Karmenさんは研修で学んだことを自身の仕事に活かしています。彼女の組織では、GEWEプログラムで学んだ構造化アプローチを用いて、ジェンダー関連プロジェクトの提案を作成しました。 
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2025年12月24日、広島 – 国連ユニタールの研修修了生であるKarmen Chebibさんは、レバノン教育高等教育省の教育研究開発センター情報・広報部門の責任者を務めています。彼女は教育を通じて、女性の活躍を阻む根深いジェンダーステレオタイプを解消するために取り組んでいます。 

過去3年間、Karmenさんは国連ユニタールの「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント(GEWE)」研修に参加してきました。このプログラムは、レバノン女性が直面する多面的な課題に取り組むための貴重な洞察と新たなインスピレーションをKarmenさんに与えました。 

多様なコミュニティの国で根強い価値観に挑む

レバノンの女性たちは、地域によって大きく異なる、深く根付いた性別に関する固定観念の中で生活しています。Karmenさんは、教師でさえ偏見を助長していることを指摘します。COVID-19パンデミック以前、彼女は教師を対象としてジェンダーに基づくステレオタイプに対処する方法を指導する部署を率いており、さまざまな振る舞いや慣習を目の当たりにしてきました。ある地域では、幼い女の子が結婚を強いられたり、女性の相続が認められなかったり、女性に対する暴力が容認されていたのです。   

Karmenさんは、具体的な地域の例を示し、価値観に疑問を投げかけることで、こうした考え方を変えようとしています。 

私は、とあるコミュニティでの具体例を示してきました。それが、私の国なのです。誰かが「親から相続を受けられなくても大丈夫」と言ったとき、私は「なぜですか?」と尋ねました。

—Karmen Chebib、レバノン教育高等教育省教育研究開発センター 情報・広報部門責任者(レバノン) 

レバノンの文化的および宗教的多様性は、各コミュニティに効果的な介入を行うことを難しくしており、レバノンの深刻な経済危機、難民の流入、中東の不安定性にも直面しています。、このような中でも、Karmenさんは、ジェンダーに基づく暴力に対処し、意識を高め、より公正な社会を促進する緊急の必要性を強調しています。 

国連ユニタールGEWEプログラム

Karmenさんは2012年に所属部門のジェンダー担当者としての役割を引き受け、2021年に国連ユニタール GEWEプログラムの第1フェーズに参加することになりました。プログラムを通じて、Karmenさんは知識を深め、ジェンダーに関連する複雑な課題に対処するための新しい視点を得ることを期待していました。 

国連ユニタールGEWEプログラムは、キプロス政府とUN Women(国連女性機関)の支援を受けて2021年に開始されました。このプログラムは、ヨルダン、イラク、レバノンでジェンダー問題を担当する政府職員の能力を向上させ、それぞれの国のジェンダー平等に関する行動計画をより効果的に策定・実施できるようにすることを目的としています。 

プログラムは、2022年に第2フェーズ、2023年に第3フェーズへと拡張されました。 

新しいリーダーシップの考え方

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GEWEプログラムは、Karmenさんにジェンダー平等の活動を支援するためのツールや方法論を提供しました。彼女が特に感銘を受けたのは、リーダーシップがジェンダーと交差するという考え方でした。彼女がそれまで考えたことのなかった視点でした。 

私たちはしばしば、「ああ、実は自分なりの方法で、自分は変化を起こしている、他の人に何かを教えている」ということに気づいていません。だから、このような気づきを得ることは非常に良いことだと思います。

彼女は、ヨルダン、イラク、レバノンからの参加者が共有した多様な視点を大切にしており、それが経験や戦略の豊かな交流を促進し、彼女のアドボカシーのアプローチを向上させました。 

Karmenさんは、プログラムで学んだことを仕事に応用しています。彼女の所属する組織では、GEWEプログラムで学んだ体系的なアプローチを用いて、ジェンダーに関連するプロジェクトの提案を作成しました。また、新しい概念として、予算編成過程にジェンダーの観点を取り入れました。 

プロジェクトの承認を待つ間も、Karmenさんは、この取り組みが教育分野におけるジェンダーの壁を取り除く上で与える積極的な影響について楽観的に捉えています。さらに、ジェンダーに関する教員研修を再開できることも期待しています。 

将来的には、ジェンダー学をさらに深く学びたいと考えています。長期的な目標としては、ジェンダーの高等課程の学位を追求し、とくにレバノン人としての視点からジェンダーを探求し、地域に根ざした研究に貢献することを目指しています。 

女性へのメッセージ

Karmenさんは、同じ専門職の仲間や女性のエンパワーメントのために働く女性たちに、積極的に研修の機会を活用し、擁護者となることを呼びかけています。彼女は、ステレオタイプに挑戦し、障壁を打ち破り、誰もが恩恵を受けるより包括的で平等な社会を築くためには、集団の努力の力が重要であることを強調しています。 

Karmenさんの取り組みは、より公平で正義ある社会を目指すための呼びかけであり、私たち一人ひとりが意味のある変化をもたらす力を持っていることを思い出させてくれます。 

英文記事はこちらからご覧いただけます。 

Changing Gender Attitudes in Lebanon Through Schools: Karmen Chebib, UNITAR Alumna | UNITAR 

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。2003年に設立された国連ユニタール広島事務所は、平和と復興の象徴である広島を拠点に、平和構築や核軍縮、紛争や災害からの復興に関する国際的な研修を展開し、世界の持続可能な平和と繁栄の実現に貢献しています。https://unitar.org/ja/hiroshima

本記事の執筆には国連オンラインボランティアEmily Ekshianさんが協力しました。  

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