- Emmanuel Mutabaziさんは、ルワンダでデジタル格差の縮小に取り組み、デジタルスキルの普及を推進する活動家です。彼は、自身の財団を通じて、デジタル情報へのアクセスが限られているコミュニティに包括的なデジタルスキル研修プログラムを提供しています。
- ICT(情報通信技術)と若者のエンパワーメントを専門とするMutabaziさんは、デジタルスキルの格差を埋め、ルワンダの若者や女性に対するデジタル平等を推進することを目指しています。
- 彼は国連ユニタールの研修「アフリカの女性と若者のためのエッセンシャル・デジタルスキル開発:デジタル経済における雇用機会と生活向上の促進」に参加し、目標達成に向けたスキルをさらに磨きました。
ルワンダ農村部におけるデジタルアクセスの課題の克服
ルワンダではデジタル変革が進んでいますが、特に農村部では、限られた資源やインフラが原因で、多くの人々がデジタル資源にアクセスできない状況が続いています。Mutabaziさんは、地域に教育資源が限られていると若者が質の高い教育を受けることが難しくなることを、自身の経験からよく理解しています。しかし、地域コミュニティではデジタルスキルの重要性は適切に認識されておらず、デジタル学習を優先事項としてあげられないことが多いのが現状です。
Mutabaziさんはこうした障壁を取り除き、若者や女性が、ますますデジタル化する世界で成功するために必要な訓練を受けられるようにしたいと考えています。2019年、彼はデジタル・プラットフォームと知育玩具を使い、若者が楽しみながら必要なスキルを身につけられるプロジェクトを開始しました。
また彼は、特に若者や女性などで十分な教育を受けていない人々を対象に研修を行う非営利団体を設立しました。現在までに、この財団はルワンダの農村部で1,000人以上の女性にデジタルスキル研修を実施し、テクノロジーを駆使し、経済的自立を実現できるよう、支援しています。この団体では、人工知能、生成AI、デザイン思考、UXなどの高度なスキルを若者に教えています。
デジタルスキルがどのように生活に変化をもたらすかを見守ることは、本当に感動的です。女性たちはパソコンの使い方を学ぶだけでなく、自信と独立心も身につけています。―Emmanuel Mutabazi、財団創設者、デジタルスキル推進者、国連ユニタールの研修修了生(ルワンダ)
デジタル・アドボカシー活動への国連ユニタールの後押し
Mutabaziさんの歩みの中で決定的な出来事となったのは、国連ユニタールの研修「アフリカの女性と若者のためのエッセンシャル・デジタルスキル開発:デジタル経済における雇用機会と生活向上の促進」への参加でした。2023年11月から2024年2月まで3つのフェーズに分けて実施されたこの研修は、デジタル技術が主流となる世界に対応するために、デジタルスキルを身につけ、アフリカの女性と若者の雇用機会と競争力を高めることを目的として開催されました。この研修は、日本政府の支援により、無料で提供されました。Mutabaziさんは、この研修が自分のデジタル・トランスフォーメーション(DX)のアプローチを強化し、アフリカ全体でネットワークを広げるための大きな可能性を秘めていることにすぐに気づき、応募しました。
この研修では、参加者はMicrosoft社またはIBM社のコースを選択し、自主学習、個々人で取り組むプロジェクト、ブートキャンプ、ウェビナー、ハッカソン、そして、コミュニティの持続可能性に関するワークショップに参加しました。Mutabaziさんは、デジタルスキルを向上させるためにクラウドツールを活用するMicrosoft社のトラックを選びました。
オンライン研修フェーズを終えた後、Mutabaziさんは学んだことを活かして、コミュニティのためにデジタルリテラシーのブートキャンプを開催しました。また、中古の電子機器の責任ある再販を促進するアプリのコンセプトも立案しました。このアプリは、電気電子機器廃棄物を削減し、持続可能性、コミュニティ参画、デジタルインクルージョンを促進することを目的としています。
Mutabaziさんは、国連ユニタールの研修が創造性と技術的スキルを組み合わせてポジティブな変化を促すことの重要性を強調していた点を高く評価し、これらの教訓を自分のデジタルリテラシー研修にも活かしていくつもりです。また、アフリカ大陸全体の20か国以上の参加者とともに取り組み、ネットワーキングの機会を持てた有意義な経験は、アフリカのイノベーションに対する彼の視野を広げ、新たなコラボレーションの機会を開くきっかけとなったと語っています。
国連ユニタールの研修プログラムを通じて、デジタルイノベーションとは単なる技術にとどまらないことを学びました。それは、コミュニティに利益をもたらす持続可能な解決策を開発することに焦点を当てるイノベーションなのです。―Emmanuel Mutabazi、財団創設者、デジタルスキル推進者、国連ユニタールの研修修了生(ルワンダ)
デジタル未来に向けたルワンダの若者と女性への研修活動
Mutabaziさんは、困難をモチベーションに変え、デジタル教育を最も必要としているコミュニティに提供するための創造的な方法を見つけ出しています。彼は、デジタル教育とイノベーションが、特に支援が行き届いていないコミュニティにおいて、人生を変える力があると信じています。すべての若者が、成功するために必要なデジタルスキルにアクセスできるべきだと考えているのです。
彼は、デジタルスキルの開発において地域のリーダーになることを目指しており、政府、NGO、国際機関と連携して、技術力と経済的安定のあるアフリカを築くための支援を行う計画です。
アフリカの未来はアフリカの若者たちにかかっています。彼ら彼女らが適切なデジタルスキルを身につけることで、私たちの大陸に多くの機会を生み出すことができます。―Emmanuel Mutabazi、財団創設者、デジタルスキル推進者、国連ユニタールの研修修了生(ルワンダ)
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2023年には、世界中で54万人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくはウェブサイトから(国連訓練調査研究所(ユニタール) 広島事務所 )。