- タンザニア出身のGloria Loishiyeさんは、結果を重視してサステナビリティ領域に熱心に取り組む起業家です。彼女はビジネス哲学として、目的意識の明確化、多角化、戦略的な計画を大事にしています。
- 彼女は「2023年度ジェンダー平等と女性のエンパワーメント促進のための起業家精神と金融リテラシー」研修事業 に参加しました。
- Gloriaさんにとって、このプログラムは大きな気づきを与えるものであり、彼女は新たに得た知識やスキルを活かして事業拡大に取り組んでいます。
- このプログラムは、国連訓練調査研究所(ユニタール)が国連開発計画(UNDP)と協力し、カナダ政府の支援を受けて実施されました。
2024年5月23日 広島、日本 — Gloria Loishiyeさんは、国連ユニタール「2023年度ジェンダー平等と女性のエンパワーメント促進のための起業家精神と金融リテラシー」研修事業 の2,000人以上の研修修了生のうちの一人です。彼女はタンザニアの起業家で、造園、園芸、環境保全といった事業を手掛けています。
彼女は2022年に会社を設立し、2023年1月から本格的に事業を開始しました。現在、同社はタンザニアの主要都市ダルエスサラームとザンジバルで事業を展開しており、専門的な清掃、造園、園芸サービスを提供するとともに、海岸清掃や植樹活動など、環境保全や持続可能性を重視したサービスも行っています。
また、中等教育を修了できなかった若者に対する支援も行っています。地域社会において多くの若者が進むべき方向を見失っていることを認識したGloriaさんは、彼らに研修の場を提供し、実践的なスキルの習得を支援しています。研修修了後に自社で雇用するケースもあれば、他の仕事に活かせる市場価値のあるスキルを身につけ、安定した生活を送れるようにしています。
発想から拡大へ
当初、彼女はカーペットクリーニング事業の立ち上げを構想していました。しかし、友人からサービスを限定しない方がいいと助言され、総合的な清掃サービスへと事業を拡大しました。その後造園、園芸、さらには環境保全分野へと事業領域を広げていきました。
タンザニアで造園業界に新しいビジネスが次々と参入する中、Gloriaさんは競争力を維持し、持続可能なサービスに注力するための戦略を見つける必要がありました。また、業界の専門家から学ぶ機会を積極的に捉え、公共の庭園でともに働き、そこで学んだことを自身のビジネスの成長のために取り入れました。
現在は、地域社会における海洋清掃や植樹活動に焦点を当てたプロジェクトを推進しています。これらのプロジェクトは、公共の意識を高め、コミュニティのメンバーが国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った持続可能な環境づくりを地域住民に啓発する取り組みを進めていく上での設計図となっています。
国連ユニタールでの貴重な経験
Gloriaさんは、自身の受信箱に届いたメールを通じて、国連ユニタールの「2023年度ジェンダー平等と女性のエンパワーメント促進のための起業家精神と金融リテラシー」研修事業のことを知りました。このプログラムで得られるもの、そして女性のエンパワーメントに焦点を当てている点に魅かれ、応募することに決めました。プログラムが始まると、その包括的で総合的なアプローチは評価に値するものであると感じました。
思いのほか実践的な内容で、サポートが手厚く、とても良い経験になりました。―Gloria Loishiye、起業家/国連ユニタール研修修了生(タンザニア)
彼女がプログラムを通じてまず学んだことの一つは、アフリカ地域における女性のビジネスが男性に比べて小規模に留まりがちであるという現状でした。
女性たちは自分たちや子どもたちを養うために小規模なビジネスをしているのだとGloriaさんは言います。彼女は、同様の課題に直面している女性起業家が地域全体に存在することを知りました。
「あなたが事業を営む女性であるとしましょう。当然ながら男性の方がより尊重されます。どこでも同じです。この課題は国境を越えて存在しています」とGloriaさんは続けます。
そこで彼女は、このプログラムでアフリカの女性起業家向けの資金調達の機会について学ぼうと決意しました。特に、国内外で協働する場合にはその可能性が広がります。さまざまな可能性を感じ、Gloriaさんと他のタンザニアの研修修了生たちは、互いをよく理解し、相乗効果を見つけるために情報共有しています。
研修を経て、彼女の経営スタイルは大きく変わりました。会計やリスクマネジメントの実践的スキルを活かし、目的意識を持ち、結果を見据えて行動する姿勢を徹底するようになりました。また、ジェンダー視点への意識も高まり、経営判断や地域社会との関わりにおいて重要な軸となっています。
未来へ向けて
Gloriaさんは起業家仲間に対して、意図的に行動することを心掛けるよう勧めています。彼女は、見通しを立てて戦略的に考え、多角的な視野で事業を展開し、短期的な利益ではなく持続可能性を見据えることを強調しています。また、困難に直面したときには、専門家に助けを求める勇気を持つよう呼びかけています。彼女の目標は、より多くの都市に事業を拡大し、都市を緑豊かにすると同時に人々の生活を改善することです。
私は単に街を緑にしたいだけで、将来的にはそれを行っている人の一人になれればと思っています。―Gloria Loishiye、起業家/国連ユニタール研修修了生(タンザニア)
英文記事はこちらからご覧いただけます。
“Build Your Business for Scalability”: Tanzanian Entrepreneur Gloria Loishiye | UNITAR
本記事の執筆には国連オンラインボランティアAnuoluwapo O. Ajaoさんが協力しました。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくは国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所をご覧ください。