• 2025910日、国連ユニタールは、アジア太平洋地域をはじめとする世界83か国からの参加者1,100名以上を迎え、「津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」を開講しました。
  • 本研修は、参加者に災害リスク軽減に関するスキルの習得に加え、女性のリーダーシップの育成を目的としています。
  • 1フェーズは20259月から11月までオンラインで実施され、参加者は自らの地域や国に即した包摂的な災害リスク軽減計画を策定します。
  • 20263月には、第1フェーズで優秀な成果を収めた参加者が専門家との集中研修に招待されます。
UNITAR

2025年9月22日、日本・広島 ― 2025910日、国連研修調査研究所(ユニタール)は、日本政府の支援を受けて実施する「津波防災に関する女性のリーダーシップ研修」を開講しました。本研修にはアジア太平洋地域をはじめ、世界83か国から1,100名以上の参加者を迎えました。同研修は、20259月から20263月にかけて2段階の研修フェーズで実施され、地域に根ざした早期警報システムや災害対応における女性のリーダーシップの育成を目指します。特に、女性が災害の影響を受けやすい現実を踏まえ、女性・平和・安全保障(WPS)の原則を取り入れ、太平洋地域の気候変動や災害リスク軽減において女性を中心的な担い手として位置づけています。

研修の第1フェーズは導入ウェビナーからスタートしました。本セッションでは、プログラムの概要や目的に加え、国連ユニタールの活動紹介および災害リスク軽減の基礎についての説明がなされました。国連ユニタールによる冒頭の挨拶では、「女性は災害によって特に影響を受けやすく、女性が防災の準備や対応に参画することは、レジリエンスのある地域社会の構築に不可欠である」と強調されました。

災害は最も脆弱な人々に不均衡な影響を及ぼします。多くの文化圏において、女性は災害時にケアの最前線に立たされています。女性が防災の準備や対応に積極的に関わることは、公平性の問題であるだけでなく、レジリエンスのある地域社会を築くための重要な一歩です。

島津準子、 国連ユニタール広島事務所 プログラム・オフィサー/チームリーダー

その後、参加者たちは自国における女性の社会的役割や、その役割が災害リスク軽減の取り組みにどのように影響しているかについて意見を交換しました。

2つの研修フェーズを通して、基礎から実践へ

1フェーズ ― オンライン学習(20259月~11月)

今後10週間にわたり、参加者はオンライン学習モジュールを受講し、複数のオンラインセッションに参加します。内容は、仙台防災枠組、国際・地域レベルの災害リスク軽減の枠組み、生態系に基づくアプローチをはじめ、気候変動と災害リスク、地域社会を基盤とした災害リスク軽減、地域に根差したアプローチ、全社会型アプローチ(all of society approach)、2011年東日本大震災と津波からの教訓、ジェンダーに配慮したリーダーシップ、平和と気候レジリエンス、アジア太平洋地域の好事例、生物学的な災害を含むマルチハザードへの対応、多様なステークホルダー連携などを幅広く取り上げます。第1フェーズ終了時には、参加者自身の地域社会に即した包摂的な災害リスク軽減計画を策定します。

2フェーズ  ― 専門家による集中研修(20263月)

オンライン研修を経て優秀な成果を収めた参加者は、20263月に実施される専門家との集中研修に招待されます。この研修では、地域に即した学びと専門性の高い研修を組み合わせ、災害リスク軽減とその評価ツールに関する技術的理解を深めます。同時に、防災における効果的なコミュニケーションやリーダーシップのスキルを磨き、災害の予防、対応、復興に役立つ実践力を培います。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で約55万人が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。2003年に設立された国連ユニタール広島事務所は、平和と復興の象徴である広島を拠点に、平和構築や核軍縮、紛争や災害からの復興に関する国際的な研修を展開し、世界の持続可能な平和と繁栄の実現に貢献しています。https://www.unitar.org/ja/hiroshima

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