- 国連ユニタールは、2月4日にエジプト、イラク、レバノンから17名の専門家を日本に迎え、「エジプト、イラク、レバノンにおける食料安全保障と経済発展の促進のための起業家精神とイノベーション」研修事業の第3フェーズのワークショップを開始しました。
- 本ワークショップは2月4日から2月11日まで、東京と広島で実施されます。
- 研修事業の最終フェーズとなる本ワークショップでは、参加者がこれまでの研修で練り上げてきた農業・食品分野のビジネス計画を、実行可能なものへと仕上げるため、実践的な演習に取り組みます。
- 最終日には、参加者が計画案の発表を行い、地域の雇用創出やレジリエンス強化に大きく貢献し得る、革新的で実践的なビジネスアイデアを発表する予定です。
- 本プログラムは、中小零細企業の若き起業家、リーダーや革新的事業に取り組む人々を対象に、日本政府の支援を受けて、国連ユニタールが実施しています。
2025年2月4日 、 広島-国連訓練調査研究所(ユニタール)は、エジプト、イラク、レバノンの中東・北アフリカ地域3か国の実務者17名を日本に迎え、「エジプト、イラク、レバノンにおける食料安全保障と経済発展の促進のための起業家精神とイノベーション」研修事業の第3フェーズの一環として、日本でのワークショップを開始しました。この研修事業は、日本政府の支援を受けて国連ユニタールが実施するもので、ビジネス開発を通して持続可能でレジリエンスある経済発展と食料システムの構築に貢献する人材を育成することを目指しています。
同ワークショップは、東京(2月4日~5日)と広島(2月6日~11日)で8日間の日程で開催されます。この研修を通して、研修参加者は地域のニーズや課題に対応するビジネスアイデアや取り組みを試作・デザインします。
日本でのワークショップ
この研修の第3フェーズの一環として実施される対面式ワークショップには、これまでのオンライン研修フェーズで優秀な成績を収めた研修参加者17名が参加します。オンラインで実施された第1フェーズでは約200名がオンライン研修を修了し、第2フェーズでは86名がさらに具体的な内容を学びました。最終段階となる第3フェーズでは、これまでの研修で磨き上げた内容を基に、農業・食品分野におけるビジネスや事業計画を実行可能なものへと仕上げるため、実践的な演習に取り組みます。
専門家による講義では、持続可能なビジネスモデル、財政的持続可能性、気候レジリエンスと適応、地域社会の参加、デジタルマーケティング、ブランディング、ピッチング、リーダーシップなどのテーマを取り扱います。また、日本の起業家による講義(広島県尾道市、ピッチフォークファームズ起業家)や視察(株式会社サタケ本社、広島中央エコパーク)の他、メンター指導セッションやグループワークが予定されています。戦後の復興を遂げた日本や広島の経験や、日本の持続可能な農業イノベーションやアグリテックに関する講義も行われます。これらを通して、参加者には日本の最良事例から多くを学び、知識や視野をさらに広げる機会が提供されます。
ワークショップ最終日(2月11日・広島)には、それぞれのビジネス計画を発表するピッチング・セッションが行われます。参加者は、雇用創出と地域経済のレジリエンス強化に大きく貢献する可能性を持ち、すぐに立ち上げ可能で革新的なビジネス計画を示すことが期待されています。
中小零細企業を通じた持続可能なビジネスの推進
近年、中東・北アフリカ地域では、紛争や気候変動、経済の低迷、不安定な政治情勢が重なり、特に社会的に最も弱い立場にある人々に深刻な影響を与えています。失業率の増加や食料不安、貧困が大きな課題となる中、地域社会の生計向上や生活基盤を支えるための取り組みが急務となっています。
中東・北アフリカ経済の中核を担う中小零細企業(MSMEs)は、地域経済の活性化や、新たな雇用機会の創出の提供において、重要な役割を果たしています。国連ユニタールは、2016年から持続可能な繁栄局の社会的起業領域プログラムの一環として、同地域向けに中小零細企業や起業活動に焦点を当てた研修を実施してきました。2024年度の研修事業では、中小零細企業の若き起業家、リーダーや革新的事業に取り組む人々を対象に、地域のニーズや課題に対応するビジネス事業の開発や運営能力を高めるための研修を提供しています。
主な研修日程
2月4日~5日:東京
外務省表敬訪問、駐日イラク共和国大使館表敬訪問、Tokyo Innovation Base (TIB) 訪問、渋谷キューズ訪問、他
2月6日:広島
広島県知事表敬訪問、広島平和公園視察、広島平和記念資料館見学、他
2月7日~9日:東広島
専門家による講義、グループ演習、他
2月10日:東広島
株式会社サタケ視察、広島中央エコパーク視察、広島県尾道市の起業家(ピッチフォークファームズ)による講義、専門家講義・パネルディスカッション
2月11日:東広島
ピッチング準備、ピッチング・セッション、専門家および起業家の講義、修了式
「エジプト、イラク、レバノンにおける食料安全保障と経済発展の促進のための起業家精神とイノベーション」研修事業について
同研修事業は、国連ユニタールが日本政府の支援を受け、エジプト、イラク、レバノンにおける中小零細企業の起業家、幹部および社員を対象に実施しています。研修では、営利・非営利目的のビジネスアイデアを、地域の課題に即した、レジリエンスのある農業セクターの構築に貢献するビジネスモデルに発展させるために必要な知識、スキルおよび人的ネットワークを提供します。
同研修は英語で、2024年7月から2025年2月まで3つのフェーズに分かれて実施されています。
- 第1フェーズ:2024年7月から10月にかけて、起業家精神とアグリビジネスに焦点を当てたオンライン研修を実施。約200名が修了。オンラインモジュール、参加者同士の対話型ディスカッション、課題、国際的な専門家による講義ウェビナーを含みます。
- 第2フェーズ:2024年10月から11月にかけて、成績優秀者に対して専門的なオンライン研修とメンタリングを実施。86名が修了。参加者は、各自のビジネスやプロジェクトを設計し、プロトタイプを制作しました。
- 第3フェーズ:2024年12月から2025年2月にかけて、成績優秀者17名を対象にオンラインメンターセッションと日本(東京・広島)での対面ワークショップを実施。参加者は、ビジネス計画をさらに磨き、ワークショップ最終日にビジネス・ピッチングで発表します。
詳しくは以下のページをご覧ください。
Call For Applications: Entrepreneurship and Innovation | UNITAR
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、54万人以上が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。