オンラインパネルディスカッション「核兵器廃絶と我らの持続可能な未来 」
2021年8月5日・広島 - 昨今の新型コロナウイルスの世界的流行により、持続可能な未来の構築を目指す国際社会において、不測の事態に備える重要性が浮き彫りになりました。こうした背景を踏まえ、今般、国連経済社会局(UNDESA)、国連ユニタール主催、広島県とへいわ創造機構ひろしま(HOPe)の協力により、国連ハイレベル政治フォーラム特別イベントとして「核兵器廃絶と我らの持続可能な未来」を巡るオンラインパネルディスカッションを開催しました。
湯崎英彦氏(広島県知事兼HOPe代表)のビデオメッセージに続き、島田久仁彦氏(HOPeプリンシパル・ディレクター)をモデレーターとして迎え、ニキル・セス氏(国連事務次長補兼国連ユニタール総代表)、ダグラス・ショー氏(核脅威イニシャティブ・シニアコンサルタント)、バンダ・プロスコヴァ氏(プラハビジョン持続可能な安全保障研究所副会長)、鈴木健斗氏(自分ごと化プロジェクト代表)の4名のパネリストが、新型コロナウイルスと核問題という2つの社会課題を巡って討議しました。各パネリストは、国際社会には、目下のパンデミック危機に対応するだけではなく、今回の教訓から学び、核戦争などのリスクの顕在化を防ぐ対策が求められている、と警鐘を鳴らしました。
核問題と持続可能な未来の接点について、セス総代表は「万が一核兵器が使用されれば、深刻な健康被害や環境破壊をもたらし、持続可能な開発目標(SDGs)のすべての項目達成において大きな妨げとなる。今こそ、核戦争のリスクを回避、根絶すべく、各セクターの関係者が協力するべきである」と提言しました。
これに加えて、ショー氏は、「非常時に最も打撃を受けるのは、社会的に弱い立場にある人々である。核兵器根絶に向けて、具体的な政策について議論は進んでいるが、政治的意思が欠如しており、実践に至っていない」と核問題解決に向けた取組みの現状について説明しました。
本イベントで若者の声を代弁したプロスコヴァ氏は、核兵器の脅威を認識した上で、「市民組織団体や若者の活動に希望を見出している。我々若者には、より良い世界を構築する力がある」と前向きな姿勢を示しました。また、鈴木氏は、核兵器保有国と非保有国の間には大きな隔たりがあると述べ、国際社会における課題を自分自身に関連する問題として捉えるきっかけを提供する「自分ごと化プロジェクト」を紹介。さらに、「我々の行っているような活動を量・質ともに拡充することで、2030年まで、遅くとも2045年までには核兵器を廃絶することが可能になる」と熱く語りました。
締めくくりに、「核兵器のない世界を実現するため、原動力となる若者には、理想と志を高く持って欲しい」とセス代表は若者の担う役割の重要性を強調。「持続可能な開発や人権の尊重と、平和と安全は切っても切れない関係にある」と訴えました。国際社会には、2030年以降のSDGs推進を見据えた核兵器廃絶への取り組みにおいて、更なる貢献が期待されます。