- 9月19日、「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」(日本政府拠出)の第2フェーズの一環として国連ユニタールが実施した、ジャカルタでのワークショップが終了しました。
- アジア12か国からの約80名の参加者は、ワークショップで得た知識やスキルを活用し、それぞれの地域特有の海洋と人間の安全保障の課題に対する解決策について考え、発表しました。
- ワークショップのハイライトの一つには、9月12日のタンゲラン市の視察ツアーがあり、参加者は都市型養殖施設を訪れ、マングローブ植樹などの実習を通じて、持続可能な養殖の実践についての知識を深めました。
現地視察、専門家、そして仲間からの学び
10日間にわたり、参加者は専門家による特別講義、インドネシア・タンゲラン市での視察ツアー、グループワーク、メンター指導を通じて、海洋と人間の安全保障についての見識と理解を深めました。
同ワークショップのハイライトの一つは、9月12日にタンゲラン市で行われた視察ツアーです。参加者は都市型養殖施設を訪れ、マングローブ植樹などの実習を通じて、持続可能な養殖の実践についての知識を深めました。また、地元の専門家からの講習を受け、マングローブが沿岸地域の生計維持や気候変動対策にどのように役立っているかに関する認識を高めました。
専門家による講義では、環境安全保障、海洋安全保障、食料安全保障、ジェンダーと平等、気候変動、資金調達、若者のエンパワーメント、ブルーエコノミー、リーダーシップ開発などのテーマが取り上げられました。参加者は、自身のリーダーシップスキルなどの能力を向上させる一方で、それぞれの地域特有の課題に取り組むプロジェクト設計に取り組みました。さらに、セクター別のグループワークを通して、海洋と人間の安全保障に関するさまざまな課題への解決策を構想し、地域における政策提言を検討しました。
ワークショップ修了と今後に向けて
9月19日のワークショップ閉会式で国連ユニタール広島事務の三上知佐所長は、地域の連携を体現する参加者の協力的な成果に祝辞を述べました。三上所長は、今回のワークショップで築き上げた有意義なつながりを今後も育み続けること、そして、ここで培った関係を活かして、今後もそれぞれの地域やインド太平洋地域における海洋と人間の安全保障の課題に協力して取り組んでいくことを参加者に呼びかけました。
閉会式には紀谷昌彦東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部大使のご臨席を賜り、参加者に祝辞を述べられました。紀谷大使は、インド太平洋地域の連結性を高め、力や威圧とは無縁で、自由と、法の支配等を重んじる場として育て、豊かにしていくために、「自由で開かれたインド太平洋」のコンセプトが果たす役割の大きさを強調しました。また、アジア各国のリーダーたちに学習の機会を提供し、将来のキャリアに多大な利益をもたらすこの研修事業の実施に感謝の意を表しました。
ワークショップの終わりには、約80名の熱心な参加者に向けた修了式が行われ、紀谷昌彦ASEAN日本政府代表部大使より、参加者に修了証が手渡されました。
弊機関は、日本政府と日本国民の皆様の日頃のご支援と、インドネシア政府の温かいご支援に心より感謝申し上げます。
「自由で開かれたインド太平洋のリーダー育成研修:海洋と人間の安全保障」(FOIP)研修事業について
FOIP研修事業は、日本政府の支援を受け、2024年6月から2025年2月の期間で国連ユニタールが実施しています。この事業の主な目的は、参加者に気候、社会、経済、食料、海洋に関わる安全保障の強化のために必要なスキルや知識を提供し、インド太平洋地域全体での連携メカニズムの構築を支援することです。同研修事業は、日本が支援する「しまなみコレクティブ」プログラムの一環として実施されており、特に若者や女性のエンパワーメントに焦点を当て、災害に対するレジリエンスと海洋と人間の安全保障を強化することを目的とした複数の研修事業を実施しています。
FOIP研修事業の第1フェーズでは、2024年8月末に、400人を超える参加者が2か月のオンライン研修を修了しました。第2フェーズは、2か所に分けてのワークショップを開催します。2024年9月にインドネシアのジャカルタでアジア地域の参加者約80名、2024年10月にフィジーのナンディで太平洋地域の約80名を対象に、実施しています。このフェーズでは、合計約160人のリーダーに対して実践的な学びの機会が提供されます。2025年初頭には、研修の第3フェーズとして、アジアと太平洋の両地域から選抜された50名の参加者を招待し、日本での対面型ワークショップが予定されています。
国連ユニタールについて
国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。2023年には、50万人以上 が受講。ジュネーブ本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、様々なネットワークをもっています。2019年からは持続可能な繁栄局(Division for Prosperity)のもと、広島事務所と、ジュネーブ本部の財政・貿易ユニットの職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについてプログラムを展開しています。紛争後復興の過程にある国の人々への研修などには、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして講義に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。
日本での公的な支援組織として、2019年に一般社団法人「国連ユニタール協会」が設立され、国連ユニタールの広報・啓発活動に協力しています。同法人では、「スポーツと平和」、「SDGsと教育」、「女性のエンパワーメント」を柱とする事業も展開しています。
お問い合わせ
田村 萌々花 ✉ Momoka.TAMURA@unitar.org
Parkpoom KUANVINIT ✉ parkpoom.kuanvinit@unitar.org
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