2021年7月16日・広島 ― 400mハードル日本記録をもつ、元陸上選手の為末大さんが、国連ユニタール親善大使に就任しました。14日にオンラインで開催された記者会見で、「アジアの選手たちへのトレーニングを行いながら各国の選手の友好を広げる活動を行っていたので、ユニタールの活動に共感しました。ユニタールの活動をみなさんに知っていただきたい」と抱負を語りました。
為末さんは、スプリント種目の世界大会で日本人として初めてメダルを獲得し、シドニー・アテネ・北京と3度のオリンピックに日本代表として出場しました。2001年に男子400メートルハードルで日本記録を樹立され、2021年7月現在もその記録は破られていません。
広島市出身で、被爆三世でもあり、これまで様々な方法で世界中に平和や持続可能な社会のための対話を呼び掛けてもきました。現在は執筆活動や会社経営に取り組んでおり、新豊洲Brilliaランニングスタジアムの館長としてパラスポーツの推進にも尽力。東日本大震災発生後には積極的にスポーツ界に被災地支援を呼び掛けたほか、国際レベルのコーチが少ない発展途上国で、国際競技力向上の支援も行ってきました。
14日の会見では、国連ユニタール持続可能な繁栄局長の隈元美穂子とともに、国連ユニタール親善大使の取り組みや就任への経緯などを説明。為末さんは、「私たち人類の間には様々な違いがありますが、同時に同じ船に乗っている仲間でもある。私はスポーツを通じて違いを乗り越えるという体験をすることができました。私たちは仲間であるという感覚を伝え続けることが大切」と意気込みを語りました。
同日、広島県の湯崎英彦県知事をオンラインで表敬訪問しました。湯崎知事は為末さんを「アスリート兼思索家」と評し、ともにユニタールを力強く応援していこうと激励をいただきました。
為末さんは、2022年7月までの1年間、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けてなど様々な啓発活動やユニタールの周知広報活動に無償で協力します。8月6日にオンラインで開催される特別セッションにも参加する予定です。
以下のサイトやSNSなどを中心に、発信・対話を続けていきますので、お楽しみに!
国連訓練調査研究所(ユニタール)とは
国連ユニタールは、成人への研修を通じて開発途上国の国づくりなどを支える人材の育成をはかる国連機関です。1963年に設立され、2020年は322,410人に学びの機会を提供しました。スイス・ジュネーブの本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所があり、世界中に様々な拠点やネットワークをもっています。持続可能な繁栄局では、広島事務所とジュネーブ本部の職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについて世界レベルの知識や技術の共有を進めています。アフガニスタン、南スーダン、イラクなど紛争後復興の過程にある国の人々へのプログラムなどには、広島という立地を生かし、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして研修に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。